金型の製造コストが上昇している。金型の母材として多く使われる工具鋼や、各種金型部品などが相次いで値上げされたためだ。加えて、工場稼働に必要な電気料金も依然、上昇傾向にある。金型メーカー各社は、取引先への価格の引き上げ交渉…
日本金型工業会 牧野 俊清会長
「元気な業界」として乗り切る
課題解決に大きな役割
平成30年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
日本の金型業界はリーマンショックによる世界同時不況の影響により大打撃を受けましたが、2010年の底から自動車用を中心に少しずつですが回復を続けています。しかしながら、ショック前のピーク2007年と比較して64%から87%に戻したところで、さらなる回復を期待します。
一昨年、米国の大統領にトランプ氏が選任され、保護主義等で世界経済に悪影響が無ないか懸念されました。また、昨年は、中国では習近平第2期指導部が発足し体制が強化され、韓国は文在寅大統領、フランスはマクロン大統領が就任しました。一方、北朝鮮は核実験・ミサイル発射を続け、世界・日本に脅威を与え続けています。
その中で株式市場を見ると、昨年年初と12月初旬で比較して、ダウ平均は初めて2万4000ドルの大台を突破し1万9763→2万4232ドル(123%)、日経平均1万9114→2万2819円(119%)、上海総合3104→3318元(107%)、韓国総合2026→2475ウォン(123%)といずれも活況を呈しています。
昨年は、国内車両生産台数が回復したこともあり、我々の需要業界である素形材産業の景況が、前年比102%~110%といずれも好調でした。また、中国の日本からの工作機械輸入は2015年3月301億円でしたが、中国経済の悪化で2016年3月136億円となりました。2017年3月は367億円となっています。中国経済が好転していると思われます。株価は景気の先行指標とも言われており、本年は日本経済が良くなる期待が大であります。
平成30年の干支は「戊戌(つちのえいぬ)」で、60年に一度巡ってきます。昨年の「酉」は、果実が極限まで熟した状態とのことで、「戌」は収穫するという意味もあるそうです。
良いこと、悪いことがあるが、草木が再生するために地に還るように、不要なものは切り捨てることで新たなチャンスが得られ、何を取って何を捨てるかを明確に定めるのが大事だと干支の解説にはありました。
昨年は、金型工業会にとって記念すべき年でした。11月に創立60周年記念式典を行い、「金型マスター認定制度」をスタートさせました。また、一時的に脱会していたISTMA(国際金型協会)に復帰いたしました。16代目会長に南アフリカ、副会長にポルトガル、ブラジルが選出されるように新市場BRICSへの関心が深くなっています。海外展開、周辺分野への事業展開にご活用いただけたら幸いです。
グローバルでは、製造業に関する技術戦略の競合があり、日本では、人、モノ、技術、組織等が様々につながることにより新たな価値創出を図る「Connected Industries」が提唱されていますが、ドイツの「インダストリー4.0」、中国の「メイド・イン・チャイナ2025」、米国の「先進製造業戦略(AMI)」等も出ています。いずれも、「IoT(Internet of Things)」、「AI(人工知能)」をキーワードとしています。環境対応車両、自動運転、次世代材料等技術的課題は大きいですが、金型技術は大きな役割を果たします。
2014年に「新金型産業ビジョン」を作成いたしましたが、営業力(提案力)、海外展開、周辺分野への事業展開、人材確保・人材育成、技術研究開発、連携・提携(Connected)のキーワードの重要性はさらに高まっています。また、新興国の成長を見ると設備力も重要なファクターで、補助金の有効活用等の検討が必要です。
日本金型工業会は、現在、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めており、全国からのご入会が増え、金型業界がより活性化することを期待しております。
経済産業省では中小企業のため取引条件改善に注力していただいておりますが、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室を始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。
金型新聞 平成30年(2018年)1月10日号
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