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「金型台帳」を データベース化
打田製作所
「金型メーカーが情報管理をするのは、自社の知的財産を守るためと顧客情報を守るための2つの意味で重要だ」と話すのは、飲料や化粧品などのプラスチック金型を手掛ける打田製作所の打田尚道社長。同社は15年ほど前に社内で情報システムを独自開発。自社で持つ顧客や技術などの情報を管理、保護するためにIT化を進めてきた。
顧客情報守り、自社の強み確認
同社がまず取り組んだのは、「金型台帳」と呼ばれる金型の受注情報のデータベース(DB)化だ。それまでこうした情報は紙で管理していたため、過去の履歴を調べるのに手間が掛かったり、分からないことも多くあったという。DB化によって、格段に検索しやすくなり、業務効率が飛躍的に向上。「間接人員は3分の1ほどに減らすことができた」(打田社長)。
さらに、このDBを基軸に、指示書や部品発注、図面、工程管理などあらゆる情報を紐づけ。オープンソースを活用し、金型づくりに必要なあらゆる情報を全て社内で共有できるウエブシステムを構築した。「社内の業務効率が向上しただけでなく、見積精度の向上や問い合わせへのレスポンスが良くなるなど、顧客へのサービス向上にも効果があった」(打田社長)。
ウエブシステムでは、日々の引き合いや受注、生産状況がリアルタイムで表示される。また、完成予定や製造コストの内訳、工程進捗のほか、勤怠管理なども行うことができ、「このシステムを見れば、会社の状況が一目で分かる」(打田社長)。セキュリティも万全で、役職によってアクセス制限をかけるなど情報漏えい対策をとっている。
また、こうしたデータは、営業や製造の担当者がその都度入力している。運用面で最も苦労したのが、この従業員一人ひとりに入力させる習慣を付けさせることだったという。「とにかく地道に忍耐強く定着するまで従業員に必要性を訴え続けた」(打田社長)。その結果、現在では全従業員が「このシステム無しでは仕事ができない」と言うほど、同社の業務に無くてはならないものへと発展した。
「まずどんな情報が重要か。自社の持つ強みを棚卸しする良いきっかけになった」(打田社長)。情報管理を徹底することは、顧客へのサービスや信頼性を向上させるだけでなく、自社の競争力の源泉を再認識するためにも不可欠な取り組みと言える。
同社では現状、あらゆる情報を入力し、管理している。ただ、「今後は必要な情報とそうでない情報を見直す必要がある」(打田社長)。より従業員が活用しやすい形へと改良していく考えだ。「情報管理は決して『道具論』ではない。重要な情報が何かを見直し、どう管理するかを考えてから、道具の選定に入ることが上手く運用していく上では重要だろう」(打田社長)。
金型しんぶん 2019年6月7日
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