自動車やオートバイ用エンジンなどの金型を手掛けるフジは、金属積層造形(AM)と5軸複合加工ができるDMG森精機の「LASERTEC65 DED hybrid」を2022年6月に導入した。国内で約10台しか導入されていない…
この人に聞く
ツバメックス 山村福雄 社長
サンスターグループ傘下に広い視点で金型づくり
なぜサンスターグループの傘下に入ったか。
当社の株式は4年ほど前から投資ファンドが保有していた。出口戦略としてサンスター技研への株式譲渡を選択したのだと思う。譲渡先がどこになるか心配だったが、当社としては幸運だった。
そう言える理由とは。
サンスターというと、一般的に歯ブラシやハミガキといったオーラルケア用品のイメージが強いが、祖業は自転車部品やパンク修理用ゴムのり。現在、自転車部品はディスクブレーキやスプロケットといった自動車やオートバイ用金属部品、ゴムのりは自動車・建築用の接着剤やシーリング材に発展している。当社が持つ技術との関連性が深く、共同開発や事業拡大など多くのシナジー効果が発揮できると考えている。
部品一式で受注
どんなシナジー効果が期待できるか。
一つのシステムとして提案できるようになるはずだ。当社の金型技術とサンスターが持つ部品加工技術や接着技術を組み合わせることで、例えば、自動車のリアやサイド、フロント一式を丸ごと受注することが可能になる。
また、自動車は近年、軽量化のため、金属と樹脂など異なる材料を組み合わせる「マルチマテリアル化」が進んでいる。異種材を接合する「異種接合」や「インサート成形」の需要は今後益々高まることが予測される。両社の技術を組み合わせることでこうしたニーズにも対応できるだろう。
その他に期待することは。
グローバル展開の拡大だ。現状、インドやパキスタン、タイなどに金型を輸出しており、海外比率は4割ほど。今後海外需要は増加するとみており、サンスターグループのネットワークを活用し、グローバル展開を加速させていきたい。
一方、そこで課題となるのが中国や韓国、台湾といった海外金型メーカーとの競争にどう勝っていくか。納期やコストに加え、日本の技術力を発揮して差別化を図っていきたい。
日本の技術力とは。
現場で起こった現象を検証し、改善する力のことだ。この力は長年蓄積してきたノウハウや経験によって身に付く。ただ、今までこうした力は個人に依存することが多かった。今後はこうしたものづくりの本質的な部分をいかに整理し、自社技術として残していけるかが重要になる。当社では以前からITを活用し、過去履歴やノウハウの「見える化」に取り組んでいる。絶えずデータを蓄積し、競争力の強化につなげていきたい。
近年、金型メーカーのM&A事例が増えています。
自動車業界で言えば、自動車メーカーの発注形態が大きく変化し、部品単体ではなく、一式で発注する傾向が強まっている。こうした案件の情報をいち早く捉え、需要に対応するには、今まで以上に自動車メーカーや部品メーカーと近い距離で事業を展開する必要がある。その一つの方法がM&Aだ。当社としても今後、金型という狭い範囲だけでなく、もっと広い視点で金型づくりを考えて事業を展開していく。
金型しんぶん 2019年12月10日
関連記事
要望に合わせ創造と変革 「色々と教えると新しい経営はできないだろうから、あなたには多くは教えない」―。工作機械業界のカリスマ、牧野二郎前社長がそう伝えるほど、全幅の信頼を置く。 顧客重視をより進化 入社時に「機械もソ…
マツキ 社長 鈴木 崇嗣さん(41) 昨年、初の自社商品としてルアーのプラスチックモデル「ルアープラモ」を発売した。クラウドファンディングサイトで目標金額の500%超を達成し、現在は全国のホビーショップや釣具店などで販売…
天性の細やかさ数値で語る力が必要 経済産業省の工業統計によると、2018年の日本の金型生産額は1兆4752億円。生産量こそ中国に抜かれて久しいが、新素材の登場や部品の複合化、微細化が進み、依然として日本の高度な金型技術…
IOTの狙いはスピード 現場の正しい情報捉え、瞬時に改善することが重要 金型メーカーが今より儲けるためには、受注を増やすか、製造原価を下げるかの2つ。では、どうやってそれを実現するか。私は「スピード」だと考えています。…

