金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

04

新聞購読のお申込み

アイジーエヴァース
〜金型の底力〜

航空機や医療部品も視野

稲垣徹也社長

 「いらっしゃいませ」。社員が立ち上がり大きな声で挨拶する。工場も同じく丁寧な対応で迎えた。来訪者へのおもてなしを大事にする、それがアイジーエヴァースだ。ギアなど自動車部品向けの冷間鍛造からダイカスト、プレス、プラスチックなど多様な金型を製作。特に5軸加工や複合加工といった最先端加工技術を研究し、顧客に高精度かつ短納期な金型を提供するのが強み。昨年はDMG森精機主催のドリームコンテストに初出品(ブルジュ・ハリファ)し、見事銀賞に輝くなど、今注目の金型メーカーだ。

 今年4月、創業60周年を機に稲垣鉄工からアイジーエヴァースに社名変更。アイジーはIとGで、Iはイノベーション、Gはジェネシス、併せて「技術革新の創世記」を表す。「革新や進化などの言葉が好き」と話すのは稲垣徹也社長。エヴァースは造語で「地球を進化させる」を意味し、新社名のもと全社員一丸で乗り切る構えだ。

DMG森精機の5軸加工機

 特色は最先端設備を活かした切削加工技術。長年取り組む同時5軸の加工精度は±5μを保証。「5軸加工では他社に負けない」と、10数年前から加工プログラム、工具姿勢、治具製作などトライ&エラーを繰り返し、ギアの深い部分も高面品位な加工を実現。現在も研究を重ね、さらに3μの精度を目指す。また、その加工技術を用いて工程短縮も図り、従来放電加工を必要とする冷間鍛造金型の加工工程を5軸加工機に集約。直彫り加工で高品質かつ短納期化を実現したことで「顧客からの信頼を得た」と、稲垣社長は自信を見せる。その研鑽された加工技術で次のステージにのぼる。

 まずは、トランスミッションやドライブシャフト、ブレーキシステムなど試作部品の総切削加工。さらにHV用モータジェネレーター(MG)のセグメントコイル成形用治具の製作だ。「詳しくは言えないが、MGは特殊な5軸加工法とアッセンブリ製作している」という。しかし、稲垣社長はそこで満足しない。「自動車分野への依存度が高く、CASE時代では自動車だけで売上拡大は難しい。コロナウィルスの影響もあり、無駄な在庫や工具、人の動きを見直し、テスト加工など技術を高める」。

冷間鍛造5軸直彫り型のワーク

 加工テーマの1つが微細加工だ。恒温工場を作り、最小R5μの超硬エンドミルを使い、凹R5μのリフレクターといったプラスチック金型の加工に挑戦。さらに、工場環境改善のため切削油も検討し、ブラザー・スイスルーブ製を採用。「異臭防止だけでなく、適切な管理でコスト低減と生産性も向上した」と話す。目指すは他社にない切削加工技術のブランド企業。その視線の先には金型分野のみならず、航空機や医療向けの樹脂やチタン、CFRPといった材料の1品加工も視野に入れ、現状の売上高21億円から2030年には30億円を目標に加工技術の強化を図る。

 

本社工場
  • 住  所: 愛知県刈谷市小垣江本郷下55-1
  • 電  話:0566-21-3287
  • 代表者: 稲垣徹也社長
  • 創  業: 1960年
  • 従業員数: 90人
  • 事業内容: 冷間鍛造など多様な金型の設計製作

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

A.多能工を育成、女性活躍も

 各部署にOJTプログラムを設定、ローテーションで教育を行う仕組みを構築しています。また、ジョブローテーションによるキャリアアップや多能工化
を積極的に推進しているほか、女性も採用し、精密加工工場で活躍しています。女性は手際も良く、精密加工に向いていて男性も刺激を受けています。女性活躍を促すため明るい職場や環境作りも力を入れています。(稲垣徹也社長)

金型新聞 2020年5月14日

関連記事

独自の型構造を採用
トヨタ自動車

アンダーカットで新工法  トヨタ自動車は独自の金型構造を採用した新たなアンダーカットの処理方法を開発した。これまでに比べて高い意匠面が得られるほか、設計時間の短縮や、金型の保全の手間削減にもつながる。この機構は特許も取得…

日本金型工業会 牧野 俊清会長<br>「元気な業界」として乗り切る

日本金型工業会 牧野 俊清会長
「元気な業界」として乗り切る

課題解決に大きな役割  平成30年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。  日本の金型業界はリーマンショックによる世界同時不況の影響により大打撃を受けましたが、2010…

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

米谷製作所 ギガキャストに対応、超大物金型の加工に挑む【Innovation !〜革新に挑む〜vol.11】

自動車産業で急速にニーズが高まっている超大型のアルミダイカスト技術「ギガキャスト」。部品点数の削減や製造工程の簡素化などといった利点があり、国内外の自動車メーカーで導入が進んでいる。新潟県柏崎市に本社を構える米谷製作所は…

リヒト精工 ヘッドランプ金型向け窒化処理技術を開発

高い鏡面性を実現 熱処理から表面処理まで独自技術を持つリヒト精光(京都市南区、075-692-1122)はインターモールド2022大阪でエジソンハード処理(新ガス窒化処理法)の新技術を披露した。成形時のキズや摩耗の激しい…

トピックス

関連サイト