金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

19

新聞購読のお申込み

アイジーエヴァース
〜金型の底力〜

航空機や医療部品も視野

稲垣徹也社長

 「いらっしゃいませ」。社員が立ち上がり大きな声で挨拶する。工場も同じく丁寧な対応で迎えた。来訪者へのおもてなしを大事にする、それがアイジーエヴァースだ。ギアなど自動車部品向けの冷間鍛造からダイカスト、プレス、プラスチックなど多様な金型を製作。特に5軸加工や複合加工といった最先端加工技術を研究し、顧客に高精度かつ短納期な金型を提供するのが強み。昨年はDMG森精機主催のドリームコンテストに初出品(ブルジュ・ハリファ)し、見事銀賞に輝くなど、今注目の金型メーカーだ。

 今年4月、創業60周年を機に稲垣鉄工からアイジーエヴァースに社名変更。アイジーはIとGで、Iはイノベーション、Gはジェネシス、併せて「技術革新の創世記」を表す。「革新や進化などの言葉が好き」と話すのは稲垣徹也社長。エヴァースは造語で「地球を進化させる」を意味し、新社名のもと全社員一丸で乗り切る構えだ。

DMG森精機の5軸加工機

 特色は最先端設備を活かした切削加工技術。長年取り組む同時5軸の加工精度は±5μを保証。「5軸加工では他社に負けない」と、10数年前から加工プログラム、工具姿勢、治具製作などトライ&エラーを繰り返し、ギアの深い部分も高面品位な加工を実現。現在も研究を重ね、さらに3μの精度を目指す。また、その加工技術を用いて工程短縮も図り、従来放電加工を必要とする冷間鍛造金型の加工工程を5軸加工機に集約。直彫り加工で高品質かつ短納期化を実現したことで「顧客からの信頼を得た」と、稲垣社長は自信を見せる。その研鑽された加工技術で次のステージにのぼる。

 まずは、トランスミッションやドライブシャフト、ブレーキシステムなど試作部品の総切削加工。さらにHV用モータジェネレーター(MG)のセグメントコイル成形用治具の製作だ。「詳しくは言えないが、MGは特殊な5軸加工法とアッセンブリ製作している」という。しかし、稲垣社長はそこで満足しない。「自動車分野への依存度が高く、CASE時代では自動車だけで売上拡大は難しい。コロナウィルスの影響もあり、無駄な在庫や工具、人の動きを見直し、テスト加工など技術を高める」。

冷間鍛造5軸直彫り型のワーク

 加工テーマの1つが微細加工だ。恒温工場を作り、最小R5μの超硬エンドミルを使い、凹R5μのリフレクターといったプラスチック金型の加工に挑戦。さらに、工場環境改善のため切削油も検討し、ブラザー・スイスルーブ製を採用。「異臭防止だけでなく、適切な管理でコスト低減と生産性も向上した」と話す。目指すは他社にない切削加工技術のブランド企業。その視線の先には金型分野のみならず、航空機や医療向けの樹脂やチタン、CFRPといった材料の1品加工も視野に入れ、現状の売上高21億円から2030年には30億円を目標に加工技術の強化を図る。

 

本社工場
  • 住  所: 愛知県刈谷市小垣江本郷下55-1
  • 電  話:0566-21-3287
  • 代表者: 稲垣徹也社長
  • 創  業: 1960年
  • 従業員数: 90人
  • 事業内容: 冷間鍛造など多様な金型の設計製作

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

A.多能工を育成、女性活躍も

 各部署にOJTプログラムを設定、ローテーションで教育を行う仕組みを構築しています。また、ジョブローテーションによるキャリアアップや多能工化
を積極的に推進しているほか、女性も採用し、精密加工工場で活躍しています。女性は手際も良く、精密加工に向いていて男性も刺激を受けています。女性活躍を促すため明るい職場や環境作りも力を入れています。(稲垣徹也社長)

金型新聞 2020年5月14日

関連記事

MOLDINO 立壁・底面仕上げの修正を削減

8枚刃エンドミル MOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、立壁/底面仕上げ用 8枚刃エンドミル「ER(S)8WB‐ATH」を発売した。金型の立壁・底面仕上げ加工の修正を削減し、加工の省人化を実…

―成形をゆく― <br>藤川金属工業(大阪市西成区)

―成形をゆく―
藤川金属工業(大阪市西成区)

アルミインパクトプレス加工 車載用高精度品を強化  「インパクトプレス成形」という工法を藤川金属工業(大阪市西成区、藤川浩史社長)ではじめて知った。自動車パーツ部品などの機能部品を平板から金型1型で三次元形状品に絞る順送…

金型取引環境改善へ<br>自工会が自主行動計画

金型取引環境改善へ
自工会が自主行動計画

 取引環境の改善に向けた動きが本格化している。昨年末、中小企業庁と公正取引委員会が取引の現金化を促すなど下請法の運用の強化を通達。これに応じる形で、日本自動車工業会(自工会)は金型管理や代金支払法の適正化などを重点的に進…

イースタン技研 河西正彦会長が死去

放電加工周辺機器の販売やプレス金型製造などを手掛けるイースタン技研(神奈川県大和市、046-269-9911)会長の河西正彦(かわにし・まさひこ)氏が8月19日午後3時47分、死去した。79歳。東京都出身。通夜・告別式は…

伊藤製作所 テクニカルセンタを開設 金型部門を集約

稼働状況をモニタリング 順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所(三重県四日市市、059-364-7111)は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約。IoTを用いて稼働状況の可視化を図るほか、センシング技術…

関連サイト