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武林製作所
〜金型の底力〜

歯ブラシの安全を追求
精密技術で自社ブランド

武林  美孝社長

 大人用や子供用、ホテル向け、歯科向け—。ヘルスケアや医療の現場で欠かせない歯ブラシ。そのプラスチック金型を手掛けるのが武林製作所だ。創業から今年で48年、歯ブラシ一筋。その品質の高い金型に取引先は信頼を寄せる。根底にあるのは、使う人の安全と取引先の生産性を突き詰める金型づくりだ。

 武林製作所は全国有数の歯ブラシ産業の集積地、大阪府八尾市にある。本社に足を踏み入れると、ショーケースにデザイン豊かな歯ブラシが並ぶ。全て同社の金型で作られたものだ。

昨年導入した高精度MC

 歯ブラシは手で持ち、口に入れる。そのため小さな凹凸が皮膚を傷つけかねない。武林美孝社長は、「金型づくりで最も気を配るのは歯ブラシを使う人の安全。安心して使える歯ブラシを生み出す金型でなければ」と話す。

 凹凸は金型の表面のざらつきや、グイチと呼ばれるパーティング面のズレが原因でできる。そのため同社が目指しているのが『オール鏡面、グイチゼロ』だ。

 磨きを担当する技術部の山中慎也さんは、「神経を研ぎ澄まし、金型に顔が映るほど磨き抜く」。仕上げの責任者、角谷秀利工場長は、「僅かなズレも見つけ、修正する」。

 二人はそれぞれの技能で「なにわの名工」に選ばれたほどの達人。加工や設計にも技能者がおり、匠の技の集合で凹凸を出さない金型ができあがる。

金型の開発に取り組む角谷工場長

 歯ブラシは、自動車や電子機器などと比べてライフサイクルが長い。多い時には何百万個も生産し、金型は20~30年使い続ける。金型には同じ品質で成形し続ける耐久性や、故障した時の修理のしやすさが求められる。

 そのための時間とコストを惜しまない。常に新たな加工技術や材料を取り入れる。初めてのデザインや樹脂の場合は試作型をつくり成形テストをする。そして補修の際、分解しやすい構造に。

 武林社長は、「使う人の安全ともう一つ大事にしているのが取引先の生産性。品質の良い歯ブラシを作り続け、トラブルから早期に復旧する。そんな金型を追求している」。

 歯ブラシの金型は近年、中国など海外製が日本にも参入している。しかし取引する日本の大手、中小歯ブラシメーカーのほとんどが技術力を信頼し何十年も取引を続けているという。

 創業から長らく金型専業だったが、3年前に自社ブランド「ITADAKI」を立ち上げた。菊や梅、桜など四季の花の微細な模様を施したカトラリーレストを発売。翌年ボトルコースター、今年はネクタイピンにも展開を広げ、ホテルやギフト向けに販路を広げる。

 ITADAKIには『最高峰の技術を追求し続ける』という思いを込めた。武林社長は、「金型で培った精密加工の技術を活かし、挑戦したい。いつか金型に次ぐ二つ目の事業の柱にしたい」。

ITADAKIの製品・左下がネクタイピン
  • 住 所 : 大阪府八尾市萱振町7-5-2
  • 電 話 :072-998-1207
  • 代表者 : 武林美孝社長
  • 創 業 : 1972年
  • 従業員数: 21人
  • 事業内容: 歯ブラシのプラスチック、金型の設計製作

 

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

若手をISOの管理責任者に

 ISOの管理責任者を数年おきに交代しています。この春には中堅社員が4代目の責任者に就任しました。責任者は全てのセクションがISOで定めた活動をしているか管理する。そのため仕事の視野が広がります。その一方、これまでの現場の経験を活かし活動の改善点を提案できる。責任者を任せることで俯瞰する目を養い、また活動の活性化につなげています。(武林美孝社長)

金型新聞 2020年6月4日

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