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【金型の底力】三嶋彫刻 車部品やマグネット製品の一貫生産で活路

成形の一貫生産で活路
新工場で車部品やマグネット製品

三嶋  勝社長

 三嶋彫刻は今から55年前、金型刻印のメーカーとして創業した。彫刻の精密加工技術を生かし、金型部品や金型、成形も手掛け、事業を伸ばした。しかし近年、日本の金型には強い向かい風が吹く。いま挑むのは金型と成形による自動車部品の一貫生産。苦境を切り抜ける新たな道を拓く考えだ。

 山に囲まれ、川沿いにのどかな田園風景が広がる。夏になると蛍が光り、サンショウウオも顔を出す。豊かな自然が残る大阪府の最北端、能勢町だ。

金型刻印

 三嶋彫刻は今年5月、この能勢町に工場を新設した。約9900㎡の敷地に5棟の建屋が並ぶ。ある成形メーカーの紹介で自動車部品を受注したが、量産施設を持たないため立ち退いた工場を買い取った。

 生産するのは自動車の空調の部品。ブロー成形した後、発泡ビーズを内部に詰め込み、それによって耐熱性や耐久性を高める。

 ブロー成形の技術や自動車部品量産の経験は無い。しかし金型やメンテナンスで取引のあるYUKA MOLDING(堺市美原区、安田英弘社長)と技術提携。設計や金型、成形、2次加工など一貫生産の実現を目指す。

 新工場にはブロー成形機や発泡ビーズを詰め込む装置を導入。瓜破工場(大阪市平野区)で作った金型を持ち込み、研究開発を重ねてきた。開発担当の三嶋茂氏は「ようやく技術的な課題には解決のメドがついた。来年7月には共同開発中のウルトラブロー成形機も導入する」と話す。

瓜破工場の高精度微細加工機
マグネット

 三嶋勝社長は「刻印の精密技術でプラ、プレス、鍛造など様々な種類の金型部品や金型、成形を手掛けてきた。そのノウハウを生かし交流すればどんな壁も越えられる」。

 政府の設備投資助成金を受け、マシニングセンタや放電加工機も購入。いずれブロー成形の金型も設計製作し、金型と成形の一貫生産を始める。

 自動車部品に挑戦するのは、主力の刻印や金型部品に逆風が吹いているためだ。ここ十数年、日本の製造業が海外移転し、金型の国内市場は縮小。そこに新型コロナウイルスの影響で需要はさらに冷え込んでいる。

 新工場では瓜破工場で生産するマグネットクリップや新型コロナの感染拡大を機に始めたマスクの金型や設備も移管し、生産する計画。三嶋社長は「これらが軌道に乗れば業績を回復し、さらに伸ばせる。夢が広がる」と期待を込める。

 ただ三嶋社長には新工場にはもう一つ夢がある。それは金型向け工作機械のショールームをつくること。マシニングセンタや放電加工機、研削盤を展示。来訪者はその機械でテスト加工し、様々な技術者と意見を交わせる。

 三嶋社長は「ショールームが目指すのは金型メーカーの技術交流センター。1社では立ち向かえない難局でも、金型メーカーが意見を語り合い、新たな出会いが生まれ、夢を叶えることができる環境を創りたい」。

金型と成形品を一貫生産する能勢工場
  • 本   社 : 大阪市東住吉区 6-5-27
  • 電   話 : 06-6703-3404
  • 代 表 者 : 三嶋勝社長
  • 創   業 : 1963年
  • 従 業 員 : 25人
  • 事業内容  : 金型や金型用刻印、金型部品の設計製作、成形品の量産。

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

金型づくりの全ての工程理解し応用力を

 金型を作る全ての流れを理解するように、と指導しています。技術者がひとりで加工し仕上げた頃と違い、今は効率化や合理化のため一つの工程に専属する。けれどその工程の技能や知識しか持っていないから応用が利かない。工程ごとの分業ではありながら、全体の最適を導き出せる俯瞰的な視点や総合的な技術を身につけて欲しいと感じています(三嶋勝社長)。

金型新聞 2020年9月10日

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