金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

17

新聞購読のお申込み

進化への岐路
2020年 日本の金型

 2020年の金型業界はコロナ禍に翻弄された年になった。自動車産業を始めとしたユーザーの生産減や開発遅延などにより、金型需要は減少し、景況は悪化した。一方で、これまでと同じような活動ができないことで、ビデオ会議システムや様々なデジタルツールの活用が広がる契機にもなった。こうした状況を踏まえ、日本金型工業会では6年ぶりに「令和時代の新ビジョン」を作成。「工場から企業へ」の変革を促すなど、新たな経営スタイルや金型づくりが急務だと指摘している。

新たな価値創造の時代へ

 3月以降のコロナウイルスの本格的な感染拡大は金型業界にも大きな影響をもたらした。4月の緊急事態宣言の発令により、自動車生産が大幅に減少、一部では納期延期なども発生した。こうした影響で金型需要も減少した。ただ、型種やサイズで生産活動にはバラつきがあったようだ。

 ある大型のダイカスト金型メーカーでは「春先まで受注は好調に推移した。納期が長いことから、8月までは工場の稼働率は高かった」。一方で「秋以降の受注は大きく減っている」と年明け以降の不安を口にする。

 一方、自動車生産の影響を受けやすい冷間鍛造型では5月以降に需要が急減。ある鍛造型メーカーは「5、6月は対前年比で5割以下に減少した」。逆に自動車生産が戻りつつある秋以降は持ち直しているという。

 経済産業省の1‐9月期の機械統計によると、8月の金型生産額は対前年同期比26%減の238億円と最も落ち込んだ。しかし、9月は同7.7%減の305億円となっており、回復を期待する声は多い。

迫るデジタル活用の波

 コロナ禍は景況悪化をもたらした一方、ビデオ会議やデジタルツールを活用した新たな営業活動や金型づくりが広がる契機にもなった。

 その一つがビデオ会議による営業や打ち合わせ。あるプラスチック型メーカーでは「直接会うより簡単にコミュニケーションが取れるので顧客との距離が縮まった」。図面共有機能を使うことで「今までより情報共有がスムーズになった」とメリットを話す。

 生産現場でも、デジタルツールを使う動きが広がっている。金型にセンサを組みこんで、金型の稼働を把握するIoT金型の開発や、職人の動画を撮影した技能伝承、デジタル技術を活用した自動化など、新たな金型づくりが広がっている。

 こうした変革期を見据え、日本金型工業会では、6年ぶりに「令和時代の金型産業ビジョン」を作成した。その中で「金型工場から顧客に価値を提供する金型企業への変化が必要だ」と指摘。顧客から言われたものを作るだけの単なる工場から、品質、コスト、納期だけでなく、顧客の課題を解決できる価値を提供すべきだとした。

 同工業会の小出悟会長はビジョン作成に当たり、変革の必要性と危機感を強調する。「リーマンショックで我々は変われなかった。コロナ禍は厳しい状況をもたらしているが、業界が変わる最後の契機かもしれない」。

金型新聞 2020年12月10日

関連記事

2025年3月金型生産実績 前年同月比 3.5%減の335億円

プレス用金型は0.4%減、プラ用金型は3.4%減 2025年3月の金型生産は、前年同月比3.5%減の335億7,813万円となった。前月比ではプレス用金型とプラスチック用金型の大幅増が寄与し35.9%増と大幅に増えた。数…

金型ニューフロンティア 記者の目

新分野の開拓に挑む金型メーカーを取材した。各社、これまで金型で培ってきた技術を生かし、既存の顧客分野から新しい分野に進出したり、自社で独自商品を開発し、製品メーカーに転身を図ろうとしたり、その挑戦は様々だった。 その中で…

小出製作所 海外企業との提携でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ドイツ企業と業務提携、ギガ金型の技術を学ぶ まだ日本国内では、ギガキャスト向けの金型を設計製作した金型メーカーはいない。そこで、ギガ向けの金型で先行する海外企業のノウハウを取り込み、参入を狙うのが小出製作所だ。7月にはド…

2023年鍛圧機械受注見通し 前年並みの3715億円

日本鍛圧機械工業会(北野司会長・アイダエンジニアリング常務)はこのほど、2023年の鍛圧機械受注額が前年並みの3715億円になると発表した。国内外ともに電気自動車(EV)関連や、半導体製造装置関連、省エネ設備関連向けの設…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題

問われる自己変革力 連携、デジタル化、事業承継、取引適正化 車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。…

トピックス

関連サイト