300t大型プレスを導入 黒田精工は昨年12月、モータコア金型などを手掛ける長野工場(長野県池田町)を拡張し、300t大型高速プレス機を導入した。ボルスター寸法の左右長さが3・7mの大型機で、2・3mや2・7mの既設機よ…
価格の引き上げ急務 業界を挙げた取引環境是正へ【特集:どうする値上げ】
金型の製造コストが上昇している。金型の母材として多く使われる工具鋼や、各種金型部品などが相次いで値上げされたためだ。加えて、工場稼働に必要な電気料金も依然、上昇傾向にある。金型メーカー各社は、取引先への価格の引き上げ交渉などの対応が急務となっている。

金型メーカーの経営を圧迫
大同特殊鋼は工具鋼製品を4月契約分から5~15%値上げした。工具鋼を製造するための電炉生産に不可欠な電力などのエネルギーコストが高騰していることや、諸資材のコストが上昇したことなどを価格改定の理由として挙げている。プロテリアル(旧日立金属)も昨年4月に特殊鋼製品の値上げを実施。原材料価格に連動させた価格運用(価格スライド)の適用原材料を増やすなどの対応も行っている。
日刊工業新聞社によると、東京地区の工具鋼の相場は上昇傾向にあるという。5月の市中実勢価格は、炭素工具鋼で前月末比3万5000円高、特殊工具鋼は同2万円高、ダイス鋼は同3万円高と全て値上がりしている状況だ。
こうした材料費の高騰によって、各種金型部品の価格も上昇傾向にある。パンチ工業は昨年10月の注文分からカタログ品の価格を改定し、10~20%ほど値上げした。今年7月にも一部商品の価格を改定する。ミスミは7月3日注文分からパンチやダイ、ピンなどの一部商品を平均8%値上げするとしている。
また、工場の稼働に必要な電力料金の値上げも金型の製造コストに大きな影響を及ぼしている。国内大手電力会社は今年4月から、法人向け高圧・特別高圧の電力料金を相次いで値上げした。各社によって値上げ幅は異なるが、中部電力ミライズは8・6~9・4%ほど引き上げた。
ある金型メーカーでは、撤退が相次ぐ新電力会社から大手電力会社に切り替えたことで、電力料金が昨年比2倍以上に上昇したという。また、精密加工を得意とする別のメーカーでは、工場環境を一定に保つために空調設備を24時間稼働させており、同社の社長は「製造コストに大きく影響している」と話す。
エネルギーや原材料のコストは上昇基調が続いており、今後さらに金型メーカーの経営を圧迫する可能性もある。金型メーカーが適正な利益を確保し、事業を継続させていくためには、製造コスト上昇分を反映させた価格の引き上げなどが不可欠となる。金型メーカー各社の価格交渉力が問われるとともに、取引環境の是正など業界を挙げた取り組みも求められる。
金型新聞 2023年6月10日
関連記事
金型業界含め国内製造業は慢性的な人手不足を抱え、加工や測定工程で自動化を図ることが大きな課題となっている。そのため、これまで複数の機械で加工していた加工工程を1台の機械に集約し、段取り工程の削減や短縮、さらに、工程間の搬…
培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…
プレス型は14.0%減、プラ型は15.0%減 2021年6月の金型生産は、前年同月比9.7%減の283億8,000万円となったものの、前月比では25.5%増と大きく回復した。数量は前年同月比23.4%増と大幅に増加したが…
プレス用金型は5.9%減、プラ用金型は18.7%増 2022年8月の金型生産は、前年同月比1.4%増の262億2,400万円となった。前月比では13.8%減。数量は前年同月比12.9%増、前月比でも11.2%増の3万8,…


