金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

03

新聞購読のお申込み

AI活用や形状認識による設計支援 塩田聖一氏(C&Gシステムズ 社長)【この人に聞く】

金型向けのCAD/CAMから生産管理システムまでを手掛けるC&Gシステムズ。2021年に「研究開発部門」を設けるなどソフトウェアの開発体制を強化している。そこではAI(人工知能)の活用や、形状認識による設計支援などの研究を進めている。こうしたデジタル技術について「人の能力を最大限に引き出す『思考支援ツール』として開発し、近く様々な製品に実装させる」と話す、塩田聖一社長に研究開発の方向性や今後の取り組みなどを聞いた。

C&Gシステムズ社長 塩田 聖一 (しおた・せいいち)氏
1982年コンピュータエンジニアリング(現C&Gシステムズ)入社。93年同社取締役、2007年C&Gシステムズ取締役、12年3月社長、福岡県出身65歳。

研究開発体制を強化し、「思考支援」ツール開発

21年に「研究開発部門」を立ち上げました。

北九州市内に設置し、専任の若手技術者を中心に5名体制でスタートした。現在はスペースを拡張し、九州工業大学と共同研究するなど開発を加速している。特長はこれまでの製品開発とは全くの別部隊としていること。AIの活用や形状認識機能の強化などをテーマに研究を進めている。

その狙いは。

AIを始めデジタル技術を活用して、技術者が設計を考えたり、決定したりするための「思考支援ツール」を提供するのが狙いだ。CAD/CAMは本来、職人の技術支援や継承ツールだったはず。しかし、CAD/CAMに長けた人が「職人化」することで、ノウハウが属人化している。それはスキルの差だけでなく、金型をどう作るかという「思考プロセス」が職人によって異なるからだ。職人に蓄積されたノウハウや思考プロセスなどの属人的資産を、デジタルで企業資産に置き換えることが最大の目的だ。

具体的には。

ほんの一例だが、ある技術者が初めての金型を設計する場合。他の技術者が作った類似形状だけでなく、思考プロセスまでを踏まえ「こうすればいいのでは」というサジェスションするイメージが近い。それを選ぶか、違う設計や加工を選択するかは技術者次第。こうした機能を提供するには、形状認識技術の高度化やAIの活用が欠かせない。

職人は不要になるか。

デジタル技術が進んでも、職人の技能は重要で代わりは効かない。AIに学習させるためのノウハウは職人でなければ作れないからだ。例えば、小物で精密な加工が要求されるプロセスの100事例と、大物で高効率な加工が重視される100事例では、AIのアウトプットは全く異なる。要求される品質の加工を安定的にできる企業は強い。そのノウハウを個人ではなく企業資産にしていくことが重要だ。

製品への実装は。

まずは、AIによる類似形状検索を実装する。その後、プレス金型のレイアウト設計や加工の工程設計を支援するAI開発を進める。「思考支援」という考え方は一製品にとどまらない。数年内には、生産管理などあらゆる製品に適応させたい。

金型新聞 2023年7月10日

関連記事

下野精密 〜我ら金型応援隊〜

超硬加工なら任せて  「大事なのはQCDだ。品質が良く、価格は高すぎず、納期も短い。バランスが大事」と話すのは下野精密の下野武志社長。創業から超硬やセラミックスにこだわり、半導体や自動車関連の金型・部品を製作。精度は交差…

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く<br>セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く
セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

研究開発が新たな道  リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…

【ひと】ケーワールドism社長・澤井健司さん(55) 金型技術生かし自社商品をヒットさせた

金型技術活かし自社商品をヒットさせた  『日本一の金型職人になりたい』と、金型製作に没頭した若き日の澤井健司社長。町工場が集積する大阪・八尾で金型作りに励む日々だったが、ひょんなことから独立し、ケーワールドismを設立。…

【鳥瞰蟻瞰】長野県南信工科短期大学校 准教授・中島 一雄氏「調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦」

技術者の教育には考えさせることが重要DXで一層必要になる 分かっているものに取り組んでいても技術者としての成長はありません。自らで調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦していくことこそが技術者の根幹であり、何よりも重要なこ…

【この人に聞く】三菱電機産業メカトロニクス事業部事業部長・清水則之氏「生産性高めるサービスを提供する」

 高精度、高性能な放電加工機で金型産業に貢献してきた三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)。近年は、機械だけでなく、遠隔地からのメンテナンスサービスやAI技術の活用など金型づくりの高度化に対応するサービスや…

トピックス

関連サイト