金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

26

新聞購読のお申込み

関連異業種5社で連携し、ダイカスト金型部品を金属3Dで造形

5社が連携して製作した金型

ダイカストメ—カーのエーケーダイカスト工業所(埼玉県比企郡)、樹脂型メーカーのエービー(川崎市高津区)ら5社が連携し、ダイカスト金型向けの入れ子や部品を製作した。3Dプリンタによる冷却水管の造形だけでなく、離型剤を通すための機構部品を製作するなど、複数の機能を盛り込んだ金型を製作。成形面の安定や生産性の向上につながったという。今後も各社の強みを持ち寄り、金属3Dプリンタによる入れ子や部品への適用領域の拡大を図る。

協業したの2社のほか、離型剤メーカーの日米(埼玉県八潮市)、金型部品メーカーのチャンオンコーポレーション(大阪府東大阪市)、金属3Dプリンタ関連のコンサルティングを手掛ける内野々良幸氏の3社。

5社の知見を活かし、2か所に金属3Dプリンタによる部品を採用した金型を製作(写真)。一つは冷却ダイスリーブ。切削加工したSKD61のベースに大同特殊鋼のSKD61粉末材「HTC」で造形した。従来は冷却効果が得られずアルミの溶着が発生していたが、改善したという。

もう一つは、離型剤を金型内部から塗布するための部品。こちらも大同特殊鋼のSKD61粉末材「LTX」で造形した。外部からの塗布だと離型剤が届かない箇所が発生していたが、金型内部から離型剤を吐出できるようにしたことで、冷却と離型性を高めた。

こうした結果「これまでの部品で課題だったガジリがなくなり、不良率は下がった。価格面は検証が必要だが、ダイカスターの立場から見れば利点が十分に吸収できている」(エーケーダイカスト工業所の河田潤次長)。

今回の取り組みが特徴的なのは異業種5社が知見を持ち寄ったこと。部品や入れ子はプリンタの造形を手掛けるエービーが担当。松浦機械製作所のプリンタ「LUMEX」を使って造形した。造形に関する知見などは内野々氏が提供した。

成形や全体のとりまとめはエーケーダイカストと担当。離型剤の吐出方法やそれに関する構造は日米がカバーした。チャンピオンコーポレーションがニーズの収集と造形後の加工を担当した。

今後は金属3Dプリンタで造形した冷却ダイスリーブなどの標準部品はチャンピオンコーポレーションが販売するほか、5社共同で適用領域の拡大を図る。コーディネートした内野々氏は「3Dプリンタによる金型を広げるためには、成形を熟知したメーカーを中心とした体制を構築することが重要」としている。

金型新聞 2023年8月10日

関連記事

明石プラスチック工業が兵庫県・フレッシュミモザ企業に認定

プラスチック金型及び成形を行う明石プラスチック工業(兵庫県明石市、078・936・1601)は『女性活躍』をテーマに女性の採用を強化。産休・育休制度に加え、キャリアアップ制度など女性が安心して長く働ける環境を整えたことで…

明輝 黒柳会長お別れの会、500人が参列

プラスチック金型メーカー、明輝(神奈川県厚木市、黒柳貴宏社長)の会長で5月5日に78歳で亡くなった黒柳告芳氏の「お別れの会」が7月24日、東京千代田区の東京會舘で開かれた。取引先や業界関係者、OBなど約500人が参列し、…

ニチダイ 上期好調で増収増益 22年3月期

自動車生産減が影響で下期停滞 ニチダイの22年3月期決算は、売上高123億100万円(前年同期比13.7%増)、営業利益2億1700万円(前年同期は3億3900万円の赤字)となり、増収増益だった。 主力の冷間鍛造金型など…

稲垣金型製作所 佐藤ライトモールドに社名変更

プラスチック射出成形用金型メーカーの稲垣金型製作所(静岡市駿河区、054-281-3605)は8月1日、社名を「佐藤ライトモールド」に変更した。同社は2020年にプラスチック成形品などを手掛ける佐藤グループの東海電化工業…

大垣精工 松尾氏が社長に就任

プレス金型などを手掛ける大垣精工(岐阜県大垣市、0584-89-5811)は新しい役員体制を発表し、松尾幸雄氏が代表取締役社長に就任した。上田勝弘氏は代表権のない取締役会長に就いた。松尾氏の略歴は次の通り。 1953年生…

トピックス

関連サイト