金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

15

新聞購読のお申込み

関連異業種5社で連携し、ダイカスト金型部品を金属3Dで造形

5社が連携して製作した金型

ダイカストメ—カーのエーケーダイカスト工業所(埼玉県比企郡)、樹脂型メーカーのエービー(川崎市高津区)ら5社が連携し、ダイカスト金型向けの入れ子や部品を製作した。3Dプリンタによる冷却水管の造形だけでなく、離型剤を通すための機構部品を製作するなど、複数の機能を盛り込んだ金型を製作。成形面の安定や生産性の向上につながったという。今後も各社の強みを持ち寄り、金属3Dプリンタによる入れ子や部品への適用領域の拡大を図る。

協業したの2社のほか、離型剤メーカーの日米(埼玉県八潮市)、金型部品メーカーのチャンオンコーポレーション(大阪府東大阪市)、金属3Dプリンタ関連のコンサルティングを手掛ける内野々良幸氏の3社。

5社の知見を活かし、2か所に金属3Dプリンタによる部品を採用した金型を製作(写真)。一つは冷却ダイスリーブ。切削加工したSKD61のベースに大同特殊鋼のSKD61粉末材「HTC」で造形した。従来は冷却効果が得られずアルミの溶着が発生していたが、改善したという。

もう一つは、離型剤を金型内部から塗布するための部品。こちらも大同特殊鋼のSKD61粉末材「LTX」で造形した。外部からの塗布だと離型剤が届かない箇所が発生していたが、金型内部から離型剤を吐出できるようにしたことで、冷却と離型性を高めた。

こうした結果「これまでの部品で課題だったガジリがなくなり、不良率は下がった。価格面は検証が必要だが、ダイカスターの立場から見れば利点が十分に吸収できている」(エーケーダイカスト工業所の河田潤次長)。

今回の取り組みが特徴的なのは異業種5社が知見を持ち寄ったこと。部品や入れ子はプリンタの造形を手掛けるエービーが担当。松浦機械製作所のプリンタ「LUMEX」を使って造形した。造形に関する知見などは内野々氏が提供した。

成形や全体のとりまとめはエーケーダイカストと担当。離型剤の吐出方法やそれに関する構造は日米がカバーした。チャンピオンコーポレーションがニーズの収集と造形後の加工を担当した。

今後は金属3Dプリンタで造形した冷却ダイスリーブなどの標準部品はチャンピオンコーポレーションが販売するほか、5社共同で適用領域の拡大を図る。コーディネートした内野々氏は「3Dプリンタによる金型を広げるためには、成形を熟知したメーカーを中心とした体制を構築することが重要」としている。

金型新聞 2023年8月10日

関連記事

国産合金 金型メンテナンスサービスを開始

超硬合金製品メーカーの国産合金(横浜市戸塚区、山下祐社長)は今年3月、金型のメンテナンスサービス事業を開始した。さび落としや部品交換、グリースアップなどを手掛ける他、図面データのない金型を再生するリバースエンジニアリング…

ゲートジャパン 企業のDX化伴走支援を展開

部品調達システム「Genie-us」を開発 精密金型部品から金型設計・製作など幅広い事業を行うゲートジャパン(京都市伏見区、075・661・0360)はDXの先進事例として優秀と認めた企業を表彰する「KANSAI DX …

新栄ホールディングス 金型、プレス加工メーカーをグループ化【特集:連携・M&Aで乗り越える】

金型、プレス加工メーカー3社を傘下に置く新栄ホールディングス(東京都中央区、中村新一社長)。金属プレス加工メーカーの新栄工業(千葉市花見川区)がM&A(合併・買収)で取得したアポロ工業(埼玉県吉川市)と飯能精密工…

村谷機械製作所 半導体レーザで微細肉盛り【金型応援隊】

専用機メーカーの村谷機械製作所の半導体レーザを活用したAM装置は、0・3㎜幅の微細で極小な肉盛りが可能だ。 活用するのは独自開発したDED方式のAM装置「ALPION」。加工ヘッドの中心から粉末が照射され、周辺から6本の…

ミスミとパンチ資本提携

相互供給や海外開拓で協業 ミスミグループ本社(ミスミG)とパンチ工業は10月7日、資本業務提携したと発表した。ミスミGがパンチ工業の第三者割当を引き受けるなど相互に株式を持ち合う。両社の強みを生かし、国内で商品を相互供給…

トピックス

関連サイト