金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

21

新聞購読のお申込み

ギガキャストや電動化、競争力のコアは内製【特集:自動車メーカーの金型づくり】

トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)が「自動車業界が百年に一度の変革期にある」と指摘して早5年。ここにきて、自動車メーカーの変化が加速してきた。トヨタは、大型アルミ部品を一体成形する「ギガキャスト」に参入すると発表。全個体電池の実用化やEVが自走する生産ラインの構築を進める。本田技研工業やSUBARUもEV化にアクセルを踏む。こうした動きは、自動車メーカーの金型部門にも変化を迫る。では、自動車メーカーの金型づくりはどう変化し、何を作るのか。

変わる車、変わる型づくり

「スマイルカーブ」と言われるように、開発や設計などの上流やアフターサービスなどに付加価値が高いと言われる中、自動車メーカーが川中でもある金型を作り続ける意味は何か。

多くの自動車メーカーが金型を内製する意味として挙げるのが「意匠」の重要性。デザインが自動車の差別化の大きな要因だからだ。デザイナーの思い通りの形状を量産するために金型は欠かせない。「デザイナーとの擦り合わせは内製していないとできない」とする声は多い。

トヨタがギガキャストで生産したリア部品(右)と従来製法でのリア部品(左)。部品点数と工数が大幅に減る(トヨタ自動車提供)

「性能」や「差別化」に直結する部品の金型も内製する必要があると多くのメーカーが口をそろえる。ただ、こちらは意匠と違い、電動化や生産技術の革新など変化が大きい。

その最たる例の一つが、トヨタが発表したギガキャストだろう。後部車体の部品では、86部品33工程だったものを1部品1工程(写真)に減らせるという。金型がどう進んでいくかはこれからだが、大型化は避けて通れない。先行する海外では、冷却効果が高い金属3Dプリンタの採用も活発なようだ。

ほかにも、次世代自動車で競争軸となる全個体電池など基幹部品に関する部分の金型もやはり内製化する流れが強い。

「手の内化」も一つのキーワードとなりそうだ。手の内化とは、社内で作りきるノウハウを手に入れること。例えばハイテン向けの金型。1・5Gpaまで冷間プレスで可能になっているが、ある自動車メーカーは「ハイテンに限らず、アルミなど『手の内化』できていない技術は社内で作り込む。逆にできたものは協力先に依頼する」。

こうした外部との協業を重視するのも多くの自動車メーカーに共通している動きだ。電動化や自動運転、新たなモビリティ開発など、カバーする技術領域が拡大している中、経営的資源には限りがあるからだ。

ただ、見てきたように、意匠性の追求、性能の向上、コスト削減など自動車を競争力のある製品に仕上げるためには、金型技術は欠かせない。

金型新聞 2023年8月10日

関連記事

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題

問われる自己変革力 連携、デジタル化、事業承継、取引適正化 車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。…

【特集】最新技術の使いこなし術

工作機械や工具、ソフトウェアなど金型づくりを支えるツールの進歩はすさまじい。こうしたツールの進化によって、加工精度は飛躍的に向上した。加工速度や微細化、自動化、計測技術なども数年前とは比較にならないほど性能や機能が進化し…

座談会 アイキャッチ

【座談会】金型メーカー・自動車メーカーが語る
次世代自動車の登場で金型づくりはどう変わるのか
ー2030年の金型業界ー 第1部

アルミ、樹脂など軽量化の流れ加速  次世代型自動車の登場が金型業界に及ぼす影響を懸念する声は少なくない。「電気自動車(EV)でエンジンはどれほど減るのか」、「アルミや樹脂は増えるのか」などの疑問は尽きない。そこで本年の新…

金型に押し寄せるCASE

 100年に一度の変革期と言われる自動車業界。それを語るときに欠かせないキーワードが「CASE」だ。「C=コネクテッド(つながる)」、「A=オートノマス(自動運転)」、「S=シェア(共有)」、「E=エレクトリック(電動化…

金型メーカー座談会 若手経営者が語る
ー業界の魅力高めるためには 第二部ー

技術と経営 両輪が必要 理念貫き外需開始 金型メーカー座談会 若手経営者が語るー業界の魅力高めるためには 第一部ー 新春座談会・第二部は「海外展開」、「金型経営に必要な要素」がテーマ。「外需を取り込む」「内需に絞る」と各…

トピックス

関連サイト