AI活用し、自動で最適制御 放電加工機やマシニングセンタなどによる加工は加工が進むにつれて状況が変化する。切削加工では切削工具の摩耗や欠損、びびり(加工振動)、熱変位、放電加工では電極の消耗、加工深さや板厚・ノズル離れ量…
ギガキャストや電動化、競争力のコアは内製【特集:自動車メーカーの金型づくり】
トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)が「自動車業界が百年に一度の変革期にある」と指摘して早5年。ここにきて、自動車メーカーの変化が加速してきた。トヨタは、大型アルミ部品を一体成形する「ギガキャスト」に参入すると発表。全個体電池の実用化やEVが自走する生産ラインの構築を進める。本田技研工業やSUBARUもEV化にアクセルを踏む。こうした動きは、自動車メーカーの金型部門にも変化を迫る。では、自動車メーカーの金型づくりはどう変化し、何を作るのか。
変わる車、変わる型づくり
「スマイルカーブ」と言われるように、開発や設計などの上流やアフターサービスなどに付加価値が高いと言われる中、自動車メーカーが川中でもある金型を作り続ける意味は何か。
多くの自動車メーカーが金型を内製する意味として挙げるのが「意匠」の重要性。デザインが自動車の差別化の大きな要因だからだ。デザイナーの思い通りの形状を量産するために金型は欠かせない。「デザイナーとの擦り合わせは内製していないとできない」とする声は多い。
「性能」や「差別化」に直結する部品の金型も内製する必要があると多くのメーカーが口をそろえる。ただ、こちらは意匠と違い、電動化や生産技術の革新など変化が大きい。
その最たる例の一つが、トヨタが発表したギガキャストだろう。後部車体の部品では、86部品33工程だったものを1部品1工程(写真)に減らせるという。金型がどう進んでいくかはこれからだが、大型化は避けて通れない。先行する海外では、冷却効果が高い金属3Dプリンタの採用も活発なようだ。
ほかにも、次世代自動車で競争軸となる全個体電池など基幹部品に関する部分の金型もやはり内製化する流れが強い。
「手の内化」も一つのキーワードとなりそうだ。手の内化とは、社内で作りきるノウハウを手に入れること。例えばハイテン向けの金型。1・5Gpaまで冷間プレスで可能になっているが、ある自動車メーカーは「ハイテンに限らず、アルミなど『手の内化』できていない技術は社内で作り込む。逆にできたものは協力先に依頼する」。
こうした外部との協業を重視するのも多くの自動車メーカーに共通している動きだ。電動化や自動運転、新たなモビリティ開発など、カバーする技術領域が拡大している中、経営的資源には限りがあるからだ。
ただ、見てきたように、意匠性の追求、性能の向上、コスト削減など自動車を競争力のある製品に仕上げるためには、金型技術は欠かせない。
金型新聞 2023年8月10日
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