金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

16

新聞購読のお申込み

ギガキャストや電動化、競争力のコアは内製【特集:自動車メーカーの金型づくり】

トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)が「自動車業界が百年に一度の変革期にある」と指摘して早5年。ここにきて、自動車メーカーの変化が加速してきた。トヨタは、大型アルミ部品を一体成形する「ギガキャスト」に参入すると発表。全個体電池の実用化やEVが自走する生産ラインの構築を進める。本田技研工業やSUBARUもEV化にアクセルを踏む。こうした動きは、自動車メーカーの金型部門にも変化を迫る。では、自動車メーカーの金型づくりはどう変化し、何を作るのか。

変わる車、変わる型づくり

「スマイルカーブ」と言われるように、開発や設計などの上流やアフターサービスなどに付加価値が高いと言われる中、自動車メーカーが川中でもある金型を作り続ける意味は何か。

多くの自動車メーカーが金型を内製する意味として挙げるのが「意匠」の重要性。デザインが自動車の差別化の大きな要因だからだ。デザイナーの思い通りの形状を量産するために金型は欠かせない。「デザイナーとの擦り合わせは内製していないとできない」とする声は多い。

トヨタがギガキャストで生産したリア部品(右)と従来製法でのリア部品(左)。部品点数と工数が大幅に減る(トヨタ自動車提供)

「性能」や「差別化」に直結する部品の金型も内製する必要があると多くのメーカーが口をそろえる。ただ、こちらは意匠と違い、電動化や生産技術の革新など変化が大きい。

その最たる例の一つが、トヨタが発表したギガキャストだろう。後部車体の部品では、86部品33工程だったものを1部品1工程(写真)に減らせるという。金型がどう進んでいくかはこれからだが、大型化は避けて通れない。先行する海外では、冷却効果が高い金属3Dプリンタの採用も活発なようだ。

ほかにも、次世代自動車で競争軸となる全個体電池など基幹部品に関する部分の金型もやはり内製化する流れが強い。

「手の内化」も一つのキーワードとなりそうだ。手の内化とは、社内で作りきるノウハウを手に入れること。例えばハイテン向けの金型。1・5Gpaまで冷間プレスで可能になっているが、ある自動車メーカーは「ハイテンに限らず、アルミなど『手の内化』できていない技術は社内で作り込む。逆にできたものは協力先に依頼する」。

こうした外部との協業を重視するのも多くの自動車メーカーに共通している動きだ。電動化や自動運転、新たなモビリティ開発など、カバーする技術領域が拡大している中、経営的資源には限りがあるからだ。

ただ、見てきたように、意匠性の追求、性能の向上、コスト削減など自動車を競争力のある製品に仕上げるためには、金型技術は欠かせない。

金型新聞 2023年8月10日

関連記事

EV化が進む中、金型メーカーはどう動くか?【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化はダイカスト業界に大きな変化をもたらし始めている。バッテリーEVが増えるとエンジン関連の金型の減少は必至だ。一方で、バッテリーケースのアルミ化や、シャシーなどを一体造形する「メガキャスト」などで金型の大型化…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

金型業界でも浸透しつつある金属AM 大型化や新材料の登場目立つ【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

工場長に求める条件とは?! 金型メーカー経営者にアンケート【特集:工場長の条件】

チームで業務遂行する力 金型づくりが高度化し、先が読みづらい時代。だからこそ、工場長の役割がより重要になり、また求められることも変化しているのではないか。そう考え、本紙では「経営者が今の工場長に求める条件は何か」を探るた…

リーダーの条件Part2
金型メーカーアンケート

52人が考える、リーダーが持つべきもの  自動車の電動化や市場のグローバリズムが加速する混沌とした時代。金型メーカーの経営者は、この新時代にどのような能力が必要と感じているのか。進むべき方向を示す「決断力」か、恐れず挑戦…

トピックス

関連サイト