金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

05

新聞購読のお申込み

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現」を目指し、様々な角度から取り組んでいる。

加工時間短縮、再生可能エネ活用も

まず、モーダルシフト。客先までのトラック輸送の見直しだ。建設中の岡山新工場は、2025年9月から稼働開始を予定しており、大垣から客先までの10tトラック輸送6~7往復を無くすことができる。これによりCO2排出量は1/10程度に削減できる。4年前に立ち上げた鈴鹿工場も同様の効果が確認されており、客先への納期短縮、輸送コスト削減にもつながる。そのほか、フェリー(船)の活用や、トラックを往復で活用することにより輸送効率の向上を図っている。

また、スケジュールコントロールが難しい面はあるが、機械の連続加工を週末に行うことで電力負荷が低い時間帯で制作する。金型の共用部を他の金型に流用すること(MONAKA構造の採用)も進めている。刃具の再研磨により寿命を延長すると共に、廃切削工具のリサイクル率は90%に達する。シミュレーション技術の活用も早くから取り組んできた。机上で問題点を洗い出し、未然防止することで製作時の環境負荷を低減すると共に、生産効率の向上を実現している。目指しているのは、1トライ合格であり、それが実現すると1型当たり200時間程度加工時間短縮できるという。

上石津工場太陽光パネル

再生可能エネルギーの活用にも積極的だ。

本社工場に太陽光パネル440kWを21年に導入。今年、470kWを追加し、合計で本社工場の消費電力の18%を賄っている。さらに、風力発電機400Wを試験導入し、照明に使用している。25年稼働する岡山工場にも太陽光パネル300kWを設置する計画で、岡山工場の消費電力の15%を賄う計画だ。近くを流れる川を利用した水力発電も検討中だ。

その他、照明の自動化やコンプレッサ圧の最適化、エアコンの自動制御や室外機への遮熱シート貼付などに取り組んでいる。

風力発電機を試験導入

今後は、生産管理システムを活用して部品毎のCO2排出量の見える化や、不稼働時間の短縮による能率向上、設備毎の電力使用量の見える化等に取り組み、ムダな電力消費を削減していく。

「電気代が高騰しており、電力消費の削減はコスト上も大きな効果がある。イニシャルコストはかかっても、長期的にはコストダウンにつながる。社会課題の解決に貢献しながら当社の存在意義を追求する」と齋藤社長。

齊藤浩社長

会社概要

  • 本社:岐阜県大垣市上石津町乙坂130‐1
  • 電話:0584・46・3191
  • 代表者:齊藤浩社長
  • 創業:1952年
  • 拠点:国内6拠点、タイ、中国(広州市・武漢市、福州市)、インド(出資会社)
  • 従業員:連結1811人
  • 事業内容:自動車用車体プレス部品、自動車用精密・電動化プレス部品、金型・治具・検具の設計・製作。

金型新聞 2023年9月10日

関連記事

金型にも「情報管理」の波

金型にも「情報管理」の波

「技術等情報の管理認証制度」設立  IoT化やグローバル化などによって、情報流出のリスクが高まる昨今、製造業には技術などの情報の適切な管理が求められている。金型業界も例外ではなく、「顧客情報がしっかり管理、保護できている…

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

金型メーカー座談会 若手経営者が語る
ー業界の魅力高めるためには 第一部ー

変貌する経営環境 順応の精神がカギ 座談会出席者(50音順) エムアイモルデ 宮城島 俊之社長  ヘッドライトなど自動車関連が主力のプラスチック金型メーカー。従業員は5人。本社は静岡県富士市だが工場は中国蘇州にあり、日本…

【鳥瞰蟻瞰】三条市立大学学長・アハメド シャハリアル氏 「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を

技術とその価値を理解し市場を創る人を育成企業と共に未来考える場に 三条市立大学は、4月に開学した、技術とマネジメントに特化した一学部一学科で「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を目的としています。その定義は、技術が生み出…

ヤマナカゴーキン 新会社「セーレンス」を設立

顧客創造型の営業支援ツールを販売 冷間鍛造金型などを手掛けるヤマナカゴーキン(大阪府東大阪市、072・962・0676)は営業支援ツール開発や中小企業向けDX支援を行う新会社『セーレンス』(東京都中央区、03・6280・…

トピックス

関連サイト