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社名変更し、再出発 黒田克典氏(プロテリアル 特殊鋼事業部 工具鋼部長)【この人に聞く】
プロテリアル(東京都江東区)は今年、日立金属から社名を変更し、新たな歴史に向けて再出発した。4月には金属材料と機能部材の2事業本部から特殊鋼、電線、自動車部品など9事業部に移行し、組織体制を強化。意思決定の迅速化など組織にスピード感を持たせ、加速度的に変化する市場環境に対応する。金型材を扱う工具鋼部ではどんな取り組みを進めるのか。黒田克典部長に聞いた。
金型の大型化に対応

1976年生まれ、宮崎県出身。2001年京都大学大学院工学研究科修了後、日立金属(現プロテリアル)入社。23年4月特殊鋼事業部工具鋼部長に就任し、現在に至る。
組織体制を変更した狙いは。
組織にスピード感を持たせるためだ。自動車の電動化などによって、当社を取り巻く市場環境は急速に変化している。そうした中で、より迅速かつ柔軟に対応できる体制が必要だと考えた。
工具鋼部を取り巻く市場ではどんな変化が。
工具鋼は自動車関連が多くの需要を占める。自動車産業では今、電動化や自動運転などによって、ものづくりが大きく変わろうとしている。その一つが、軽量化を図るために自動車の構造部品を鉄からアルミに置き換える動きだ。こうした動きに伴い、今後、金型も大型化が進む可能性がある。
どう対応するか。
ニーズに合った製品を開発している。その一つがダイカスト金型用鋼「DAC‐i」。焼入れ性が良く、熱処理した後の靭性が高い汎用材で、大型化にも対応する。また、より性能の高い「DAC‐X」はモータケースやヒートシンクなどの複雑な形状が要求される電動化部品の金型に適している。
アルミダイカストで車体を一体成形する「メガキャスト」の需要が高まっている。
需要を取り込むために、熱処理も含めたインフラ強化に取り組んでいる。海外拠点では熱処理設備の更新や増強などを行っている。国内は今後の動向を見極めながら対応していく。
ダイカスト用鋼以外で注力しているのは。
冷間ダイス鋼「SLD‐f」だ。金型としての耐久性を維持しながら、被削性を格段に向上させた材料で、生産性向上に大きく貢献する。自動車の開発領域が多岐に渡っている中、リードタイムの短縮、製造コストの削減は大きなメリットにつながると考えている。
金属AM(付加製造)技術はどうか。
粉末開発や用途開発に注力している。今年5月には高硬度マルエージング鋼粉末を開発した。一般的なマルエージング鋼が54HRC程度に対し、60HRC程度の硬度を得ることができる。また、用途開発では金型補修などの技術開発も進めている。
工具鋼部が目指す今後の方向性は。
品質、納期でより良いものをお客さまに提供していくことに変わりはない。“ヤスキハガネ”ブランドをこれまで以上に多くの人たちに使ってもらい、さらなる成長を目指す。
金型新聞 2023年9月10日
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