金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

16

新聞購読のお申込み

社名変更し、再出発 黒田克典氏(プロテリアル 特殊鋼事業部 工具鋼部長)【この人に聞く】

プロテリアル(東京都江東区)は今年、日立金属から社名を変更し、新たな歴史に向けて再出発した。4月には金属材料と機能部材の2事業本部から特殊鋼、電線、自動車部品など9事業部に移行し、組織体制を強化。意思決定の迅速化など組織にスピード感を持たせ、加速度的に変化する市場環境に対応する。金型材を扱う工具鋼部ではどんな取り組みを進めるのか。黒田克典部長に聞いた。

金型の大型化に対応

プロテリアル 特殊鋼事業部 工具鋼部長 黒田 克典(くろだ・かつふみ) 氏
1976年生まれ、宮崎県出身。2001年京都大学大学院工学研究科修了後、日立金属(現プロテリアル)入社。23年4月特殊鋼事業部工具鋼部長に就任し、現在に至る。

組織体制を変更した狙いは。

組織にスピード感を持たせるためだ。自動車の電動化などによって、当社を取り巻く市場環境は急速に変化している。そうした中で、より迅速かつ柔軟に対応できる体制が必要だと考えた。

工具鋼部を取り巻く市場ではどんな変化が。

工具鋼は自動車関連が多くの需要を占める。自動車産業では今、電動化や自動運転などによって、ものづくりが大きく変わろうとしている。その一つが、軽量化を図るために自動車の構造部品を鉄からアルミに置き換える動きだ。こうした動きに伴い、今後、金型も大型化が進む可能性がある。

どう対応するか。

ニーズに合った製品を開発している。その一つがダイカスト金型用鋼「DAC‐i」。焼入れ性が良く、熱処理した後の靭性が高い汎用材で、大型化にも対応する。また、より性能の高い「DAC‐X」はモータケースやヒートシンクなどの複雑な形状が要求される電動化部品の金型に適している。

アルミダイカストで車体を一体成形する「メガキャスト」の需要が高まっている。

需要を取り込むために、熱処理も含めたインフラ強化に取り組んでいる。海外拠点では熱処理設備の更新や増強などを行っている。国内は今後の動向を見極めながら対応していく。

ダイカスト用鋼以外で注力しているのは。

冷間ダイス鋼「SLD‐f」だ。金型としての耐久性を維持しながら、被削性を格段に向上させた材料で、生産性向上に大きく貢献する。自動車の開発領域が多岐に渡っている中、リードタイムの短縮、製造コストの削減は大きなメリットにつながると考えている。

金属AM(付加製造)技術はどうか。

粉末開発や用途開発に注力している。今年5月には高硬度マルエージング鋼粉末を開発した。一般的なマルエージング鋼が54HRC程度に対し、60HRC程度の硬度を得ることができる。また、用途開発では金型補修などの技術開発も進めている。

工具鋼部が目指す今後の方向性は。

品質、納期でより良いものをお客さまに提供していくことに変わりはない。“ヤスキハガネ”ブランドをこれまで以上に多くの人たちに使ってもらい、さらなる成長を目指す。

金型新聞 2023年9月10日

関連記事

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く<br>新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く
新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

この人に聞く2017 『金型命』で社員一丸  今年5月、三菱日立ツールが新ブランド「MOLDINO(モルディノ)」を発表した。英語で金型を意味する「MOLD&DIE」と、革新を意味する「INNOVATION」か…

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

【鳥瞰蟻瞰】牧野フライス製作所プロジェクト営業部スペシャリスト・山本英彦氏「日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要」

大事なのは、自信を持つこと日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要 1983年に牧野フライス製作所に入社してから、海外畑を歩んできました。キャリア当初は、アメリカ向け立形マシニングセンタや放電加工機の営業支援を担当…

「世界のオギハラ」再建<br>-長谷川 和夫社長に聞くー

「世界のオギハラ」再建
-長谷川 和夫社長に聞くー

米に工場、生産力強化  自動車ボディ向けプレス金型を手掛けるオギハラの社長が今年1月に交代した。新社長はアメリカ現地法人副社長の長谷川和夫氏。製造部門を経験し、長く海外畑を歩み、海外自動車メーカーの金型調達や開発にも携わ…

この人に聞く
日本デザインエンジニアリング岩壁 清行社長

 「設計の効率化は業務フロー全体を見直さないと意味がない」。そう話すのは、日本デザインエンジニアリングの岩壁清行社長。同氏は長年自身も金型づくりに携わり、近年ではフィリピンで設計支援を手掛ける。また、20年以上前から、日…

トピックス

関連サイト