沖電線(川崎市中原区、044-766-3171)は今年5月、ワイヤ放電加工機用電極線製品を全面リニューアルした。電極線全製品の真円度を現行品の4分の1に抑え、高品質化。パッケージも一新した。電極線製品をリニューアルする…
ツバメックス 多田羅晋由社長インタビュー【特集:金型メーカーのコト売り戦略】
昨今、顧客の課題解決につながるソリューションやサービスなどを提供する金型メーカーが増えている。なぜ、従来の金型づくりだけでなく、自社が保有する技術を生かしたソリューションや、AI・IoTを活用したサービスなどを提供するのか。金型メーカーでありながら、製造現場のデジタル変革(DX)を支援する事業を展開し、コト売り戦略に取り組むツバメックス(新潟市西蒲区)の多田羅晋由社長に聞いた。

1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、現在に至る。サンスターグループでは数件のM&Aを手掛けた。また、オランダでMBA(経営学修士)を取得した他、シンガポールやスイスに駐在するなど豊富な海外経験も持つ。
収益構造多角化し、変化に対応
コト売りに取り組む理由、意義とは。
今後、モノ売りだけで付加価値を最大化したり、人生産性を高めて生産高を増やしたりするのは限界がある。従来のモノ売りによる収益力に頼るだけでなく、コト売りによって収益構造を多角化し、変化への対応力を強化することが必要になっている。
当社でも今後はモノではなく、進化を感動とともにお客様に提供していくことを考えている。お客様が早く簡単に片付けたいと思っている仕事を無くすことに貢献することがコト売りの意義だと思う。
貴社がDX支援事業に取り組み始めた経緯は。
当社の主力事業は自動車部品用プレス金型の製造販売とプレス加工および樹脂成形の量産加工ビジネスの2本柱。40年前から金型づくりの業務を見える化、標準化し、プロセスをデジタル化するシステムを社内で構築し運用してきた。このシステムを外販し、製造現場の課題解決につながるソリューションを提供するビジネスを3本目の事業の柱にしたいと考えた。

現状は。
当社が運用しているシステムの機能を抜き出して販売している。人や設備の稼働状況をクラウド上で一元管理できる「Tsubamex MM Dashboard」や、生産現場の進捗状況を把握できる「金型進捗管理システム」などが一例だ。また、当社の試行錯誤の歴史が多くの企業の参考になればと思い、セミナーやコンサルティングも実施している。セミナーでは座学や工場見学の他、参加者からの相談に対して具体的なソリューションを提案する。
コト売りの課題は。
モノ売りと大きく異なるのは品質保証だろう。当社で言えば、サイバーセキュリティは大きな問題。目に見えないコトやサービスを提供していくには、新たなリスクを低減できる人材育成や仕組みづくりが重要となる。
コト売りに取り組む上で必要なことは。
限られた資源の中で新しい取り組みを進めるには、競争領域と協調領域の見極めが重要。本当に競争しなければいけない領域に投資するためにもオープンイノベーションは必要だ。業界内での水平的な仲間づくりと、お客様や仕入先様との垂直的な仲間づくりを進めていきたい。
金型新聞 2024年2月10日
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