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キヤノンモールド 工数削減し、生産能力向上【Innovation〜革新に挑む〜vol.8】

金型の付加価値を追求

キヤノングループで500人の従業員を抱える国内最大手のプラスチック用金型メーカー、キヤノンモールド。茨城県内に2つの生産拠点を構え、キヤノン製品向けの金型の他、自動車部品や医療機器など幅広い分野の金型を手掛ける。金型の加工現場ではMOLDINO(モルディノ)の工具を駆使し、生産性の向上、付加価値の追求に取り組む。2021年に新設された本社・友部事業所を訪問した。

荒加工の自動化システム

最新鋭の設備、高い技能持つ人材

同社は2007年にプラスチック用金型メーカーのイガリモールドと、キヤノンおよびキヤノン化成の金型部門が統合して設立された。現在、笠間市の本社・友部事業所と阿見町の阿見事業所の2つの拠点で金型を製造する。主に友部事業所では外販金型、阿見事業所ではキヤノン製品向けの金型などを製造する。また、アメリカ、中国、タイの生産拠点とも連携し、世界各国に金型を供給している。

本社・友部事業所と阿見事業所には加工機や成形機、測定機など300台近い設備が置かれ、本社・友部事業所だけでも150台以上が設置されている。5軸制御マシニングセンタや自動化システムなど最新鋭の設備を揃え、同社の競争力の源泉となっている。

ダイセット加工設備

また、人材も強みの一つ。キヤノン独自の「名匠制度」にグループ最多の5人が認定され、そのうち2人は国が定める卓越した技能者「現代の名工」に認定されている。

こうした優れた設備と人材によって、QCD(品質、コスト、納期)で高いレベルを実現するとともに、付加価値の高い金型づくりを可能としている。成形中に金型内部で組立、一体化できる「DSI(ダイスライドインジェクション)金型」や、2つの製品面で2倍の生産性を実現する「スタックモールド」、医療関連では直径0.2㎜の極細入子ピンがかん合する「超多数個取り金型」などを製造する。

生産能力1.5倍を目指す

21年には笠間市内に分散していた6工場を1カ所に集約し、現在の本社・友部事業所を設立。敷地面積は10万㎡を誇り、延床面積は従来工場の約1.7倍となる1万7381㎡に拡張した。これまで拠点が分散し、非効率となっていたダイセット、駒加工・組立、成形、測定・検査といった一連の工程を1つの拠点で一貫してこなせるようになった。

「拠点が集約されたことで、改善に取り組みやすくなった。これまでは拠点ごとで進めていることが多く、工程全体を考慮した改善が難しかった」(友部事業所長の芝沼文彦取締役)。現在、「工数30%削減」を掲げ、改善活動に取り組む。設計や加工、成形、生産管理など約20のテーマを定め、26年度までに生産能力を1.5倍まで引き上げることを目指している。

超多数個取り金型

放電から切削に置き換え

さまざまな改善テーマがある中、加工分野の重要課題が放電から切削への置き換え。「放電加工は電極加工や電極加工プログラムの作成など、切削加工よりも工数が多い。放電加工から切削加工に置き換えることで、ざっと4~5割の工数削減につながる」(芝沼取締役)。

この放電レス化に向けて重要な役割を果たすのがMOLDINOの工具だ。切削加工にエンドミル、ドリルなどといったMOLDINOの工具を活用することで、ある金型の事例では電極加工時間を8割削減し、加工時間全体を半分に短縮できた。

芝沼文彦取締役

特に深い形状部の加工では割出5軸加工とMOLDINOのボールエンドミルを駆使。「深い部分には通常規格よりも大きな電極が必要なため、加工時間がかかっていた。切削加工が可能になったことで、そうした電極を作る必要がなくなり、大幅な工数削減につながった」(芝沼取締役)。

その他、荒加工では高送りラジアスミル「TD4N」を活用。新工場設立に伴い導入した荒加工の自動化ラインで使用し、24時間フル稼働を実現。また、細穴放電で加工していた箇所を微細超深穴加工用ドリル「マイクロステップボーラー」に置き換え、細穴放電加工を1~2割に削減した。

超硬ドリルで深穴加工

同社が目下、MOLDINOと取り組んでいるのが、工具突出し量が60~70㎜の深い箇所の穴加工。ダイセットを全て内製化する同社では以前から水穴加工にMOLDINOの超硬ドリル「ノンステップボーラー」などを活用してきた。一方で、深い箇所の穴加工では超硬ドリルだと折損するリスクが高く、ハイスドリルを使用していた。「工具寿命を向上させるために、超硬ドリルを使用したかった」(芝沼取締役)。

高送りラジアスミル「TD4N」(MOLDINO)

そこで、MOLDINOは正確な位置決めを可能にする特殊なスターティングドリルを開発。超硬ドリルでも工具突出し量の長い加工を可能にした。「MOLDINOの良さは要望に対してちゃんと向き合ってくれるところ。課題解決につながる工具や工法を提案してもらっている」(芝沼取締役)。

今後はさらなる自動化に挑む考え。「いかに精度を落とさずに自動化できるか。機械や工具、ソフトは日進月歩で、これまで難しかった精度が出せるようになっている。最新技術を駆使しながら、金型ナンバーワン企業を目指していきたい」(芝沼取締役)。

本社・友部事業所

会社概要

  • 本社 : 茨城県笠間市柏井812-2
  • 電話 : 0296・77・8171
  • 代表者 : 斎藤憲久社長
  • 創業 : 1972年
  • 従業員 : 500人
  • 事業内容 : 精密プラスチック金型の設計、製作

金型新聞 2024年7月10日

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