金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

01

新聞購読のお申込み

ササヤマ 笹山勝社長に聞く コア業務に専念できる環境に【特集 攻める設備投資】

自動車のシートや骨格部品などのプレス金型を手掛けるササヤマは金型の競争力を高めるため、金型づくりのDXとベトナム子会社のデータ製作力の強化に取り組む。デジタル技術で金型づくりを効率化し、ベトナム子会社を同社グループのデータエンジニアリングセンターにする。これにより今後の事業成長の原動力となるコア業務に技術者が専念できる環境をつくるという。笹山勝社長にその狙いを聞いた。

時代を先取りし投資、DXで生産効率上げる

当社は2023年8月、新中期経営計画をスタートした。目的は金型の競争力の再強化。ウルトラハイテン材用プレス金型など得意とする技術をさらに伸ばし、その一方で金型の製作期間を半減させる。

それによって技術力の優位性と短納期を武器に、国内そして海外での競争でも打ち勝てるようにする。その一環として今、取り組んでいるのが金型づくりのDXとベトナムでの加工データ製作力の強化だ。

本社で設計ソフトの講習を受ける
ダッシュボードで生産の進捗や設備の稼働率がわかる

DXで進めているのは金型生産の見える化。全ての材料にQRコードを貼り、工程を経るごとにそれを読み取り生産進捗を管理している。この記録を分析し金型の工期予測の確度を高め、プロセスやコストも改善していく。

DXのもう一つはシミュレーションソフトの活用によるトライ回数の削減。工学部卒の技術者が工学的視座から解析結果を分析し、それを金型設計にフィードバックする。それによってトライの初期段階の精度の乖離をできる限り減らしている。

ベトナムにデータエンジニアリングセンター

一方、昨年7月に設立したベトナムの子会社は切削や放電などの加工データの製作力を高める。本社や米国子会社で使うデータ製作をベトナムに移し、ここをデータエンジニアリングセンターにする。いずれは技術者を育成し、現地で中小型の金型を設計製作できるようにしたい。

DXとベトナムでのデータ製作。これらの目的は当社の事業成長の原動力となるコア業務に技術者が専念できる環境をつくるため。生産管理やトライをはじめ、AIや解析技術の活用、そして取引先への課題解決提案などにもっと力を使えるようにする。そうすることで、当社が得意とする金型の競争力を高めていきたい。

ベトナム子会社の責任者グエン・ヴァン・トゥアン氏

設備投資で重要なのは時代を先取りすること。少し先の未来を予想し勝ち残るために必要なものを揃える。ただ取り巻く環境の変化は激しく、当社のような中小企業にとって投資の負担は大きい。だから、走りながら、環境の変化に合わせて、柔軟に考えていく。

金型新聞 2025年3月10日

関連記事

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く<br>一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く
一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

この人に聞く 2018 金型設計製造向けCAD/CAMシステム「VISI」などを手掛けるヴェロソフトウェア。創業からM&A(合併と買収)などによって製品ラインアップを拡大し、最近では「WorkNC」や「Edge…

金型メーカー 人事

敬称略、カッコ内旧職 三井ハイテック 3月1日付 成田和雄(モーターコア事業本部長付部長)モーターコア事業本部モーターコア事業企画部長兼グローバル企画部長 国枝亮(モーターコア事業本部モーターコア事業企画部長兼グローバル…

「なりたい自分になれるかも」金型メーカーに就職した女性広報

狭山金型製作所 総務部 東香奈恵さん 総務部で営業のサポートや動画によるマニュアル作成などを担当する。そうした「本業」に加え、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで狭山金型の日常や取り組みを発信する金型メーカーでは珍…

ものレボ 生産工程など見える化[金型応援隊]

中小製造業ではフレキシブルな対応や生産性向上を図るためのデジタル化が喫緊の課題だ。 2016年創業した『ものレボ』は現場の工程管理、在庫管理、受発注管理、分析などの見える化を図るDXアプリ『ものレボ』を開発し、従来ホワイ…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –北米–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

トピックス

関連サイト