金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

10

新聞購読のお申込み

谷ダイ・モールド 精度追求のために新工場 【特集 攻める設備投資】

機上計測で戻りない加工

自動車のエアコンの吹き出し口の「レジスター」や、ミリ波レーダーを透過できるエンブレムなどのプラスチック金型を手掛ける谷ダイ・モールド。2023年に機械加工専用の第2工場を稼働させた。狙いは「工場が手狭になってきたことに加え、これまで以上に精度を追求する」(谷広将社長)ためだ。今後も「他社と同じ仕事をしても意味はない」とし、攻める投資を継続する考えだ。

同社の設立は1980年。設立当初から大手自動車部品メーカーの開発案件の金型を手掛けるなど高い技術力を武器に、ユーザーとの強い結びつきで成長してきた。中でも、近年増えているのが、冒頭のエンブレムの金型。構造部と意匠面などを組み合わせる特殊な「三色成形」で、金型としては難度が高い。成形品の板厚は±20μmレベルが必要で「金型もミクロンレベルの高い繰り返し精度が必要」(鈴木浩二技術部長)という。

±1℃以内に「恒温化」した23年に新設した第2工場

その高い繰り返し精度を維持し、顧客の要望に応えるために「高精度な機械は当然だが、加工環境もこれまで以上に重要になる」(谷社長)と判断。22年に約1億6000万円を投じ、第二工場の建設に踏み切った。

こだわったのは安定した加工環境。基礎工事を徹底したほか、工場全体を±1℃の「恒温化」した。そのために断熱材を工場内に配置し、窓もない環境にした。その結果「バラつきが減り、±10μレベルは安定的に出せるようになっている。今後は安定的に±5μmを狙う」(鈴木部長)。

副次的な効果として、空調の節約にもなっている。「旧工場では、4台のエアコンで温度管理していたが、新工場では高い気密性により、実質1台で温度を安定化できている」という。

後工程に不良を出さないため機上計測を徹底

こうした加工精度にこだわるのは、顧客の要求はもとより、生産性の高さにもつながるからだ。「精度が出せれば組付けも楽になるし、何より加工の戻りがない」(鈴木部長)。その方策の一つとして、数年前から取り組んでいるのが機上計測だ。

安田工業のマシニングセンタなどが並ぶ新工場の加工機は全て機上計測仕様にしている。測定の狙い値より上回っていれば、その場で再加工し、後工程に不良を出さない仕組みを構築した。工程ごとの精度を高めた結果「入社3年目の技術者に加工を担当してもらったが、問題なく完成できた」という。

鈴木部長は以前、ある金型メーカーに言われたことがずっと頭にあるという。それは「調整で人の手を入れるのは金型を壊していることと同じ。完璧な加工ができていれば調整は必要ない」ということ。「道具と環境を整えることができればそれも可能だ」と話す。

この精度追求のための終わりはない。現在、顧客からの要求もあり、さらにもう一段上のリフレクターの金型への挑戦を検討している。条件は、磨きはナシで、機械加工のみで3μmの精度。仕上切削も超硬工具ではなく、PCD工具が必要になるレベルだ。

谷社長は「リフレクターの金型を手掛けるとなると機械も環境もこれまで以上の投資が必要になる。市場性なども見極めなければならない」と慎重な姿勢を示す。だが、「他社と同じことをしていても先はない」とし、さらなる投資も検討している。

会社概要

  • 本社:愛知県岡崎市下青野町字喜昌島51
  • 電話:0564・43・2188
  • 代表者:谷広将社長
  • 設立:1980年
  • 従業員:11人
  • 事業内容:射出成形金型の設計製作など。

金型新聞 2025年3月10日

関連記事

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】4.AM活用の広がり

多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

フタバ産業 超ハイテンを冷間で量産【特集:プレス加工最前線】

自動車のボデー部品や排気系部品など手掛けるフタバ産業は1470MPa超ハイテン材の冷間プレス部品の量産を確立、今年1月に発売した新型プリウスに採用された。先代プリウスはホットスタンプを用いた部品を採用していたが、冷間プレ…

【特集】型材・部品

精密、高精度、短納期 ニーズに応える 高精度や超精密、複雑形状—。日本の金型の強みはこうした高難度な部分にある。その強みは金型メーカーの設計や生産技術による部分が大きい。しかし金型は部品の集合体で、高難度な金型づくりには…

ツバメックス 多田羅氏が社長に就任

ツバメックス(新潟市西区、025-375-4945)はこのほど、4日1日付けで多田羅晋由氏が社長に就任する人事を発表した。山村福雄前社長は3月31日付けで辞任した。 多田羅氏は、1959年生まれ、大阪府出身。82年サンス…

トピックス

関連サイト