金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

12

新聞購読のお申込み

谷ダイ・モールド 精度追求のために新工場 【特集 攻める設備投資】

機上計測で戻りない加工

自動車のエアコンの吹き出し口の「レジスター」や、ミリ波レーダーを透過できるエンブレムなどのプラスチック金型を手掛ける谷ダイ・モールド。2023年に機械加工専用の第2工場を稼働させた。狙いは「工場が手狭になってきたことに加え、これまで以上に精度を追求する」(谷広将社長)ためだ。今後も「他社と同じ仕事をしても意味はない」とし、攻める投資を継続する考えだ。

同社の設立は1980年。設立当初から大手自動車部品メーカーの開発案件の金型を手掛けるなど高い技術力を武器に、ユーザーとの強い結びつきで成長してきた。中でも、近年増えているのが、冒頭のエンブレムの金型。構造部と意匠面などを組み合わせる特殊な「三色成形」で、金型としては難度が高い。成形品の板厚は±20μmレベルが必要で「金型もミクロンレベルの高い繰り返し精度が必要」(鈴木浩二技術部長)という。

±1℃以内に「恒温化」した23年に新設した第2工場

その高い繰り返し精度を維持し、顧客の要望に応えるために「高精度な機械は当然だが、加工環境もこれまで以上に重要になる」(谷社長)と判断。22年に約1億6000万円を投じ、第二工場の建設に踏み切った。

こだわったのは安定した加工環境。基礎工事を徹底したほか、工場全体を±1℃の「恒温化」した。そのために断熱材を工場内に配置し、窓もない環境にした。その結果「バラつきが減り、±10μレベルは安定的に出せるようになっている。今後は安定的に±5μmを狙う」(鈴木部長)。

副次的な効果として、空調の節約にもなっている。「旧工場では、4台のエアコンで温度管理していたが、新工場では高い気密性により、実質1台で温度を安定化できている」という。

後工程に不良を出さないため機上計測を徹底

こうした加工精度にこだわるのは、顧客の要求はもとより、生産性の高さにもつながるからだ。「精度が出せれば組付けも楽になるし、何より加工の戻りがない」(鈴木部長)。その方策の一つとして、数年前から取り組んでいるのが機上計測だ。

安田工業のマシニングセンタなどが並ぶ新工場の加工機は全て機上計測仕様にしている。測定の狙い値より上回っていれば、その場で再加工し、後工程に不良を出さない仕組みを構築した。工程ごとの精度を高めた結果「入社3年目の技術者に加工を担当してもらったが、問題なく完成できた」という。

鈴木部長は以前、ある金型メーカーに言われたことがずっと頭にあるという。それは「調整で人の手を入れるのは金型を壊していることと同じ。完璧な加工ができていれば調整は必要ない」ということ。「道具と環境を整えることができればそれも可能だ」と話す。

この精度追求のための終わりはない。現在、顧客からの要求もあり、さらにもう一段上のリフレクターの金型への挑戦を検討している。条件は、磨きはナシで、機械加工のみで3μmの精度。仕上切削も超硬工具ではなく、PCD工具が必要になるレベルだ。

谷社長は「リフレクターの金型を手掛けるとなると機械も環境もこれまで以上の投資が必要になる。市場性なども見極めなければならない」と慎重な姿勢を示す。だが、「他社と同じことをしていても先はない」とし、さらなる投資も検討している。

会社概要

  • 本社:愛知県岡崎市下青野町字喜昌島51
  • 電話:0564・43・2188
  • 代表者:谷広将社長
  • 設立:1980年
  • 従業員:11人
  • 事業内容:射出成形金型の設計製作など。

金型新聞 2025年3月10日

関連記事

昭和精工 次世代金型技術をブランド化

昭和精工(横浜市金沢区、045・785・1111)は、車載用電池やモータなど先進性の高い金型技術に関する新ブランド「スマートツーリング」を立ち上げた。金型から生産設備まで提供できるのが強み。ブランド化により、新規市場の開…

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車…

ナゴヤダイス カン・コツをマニュアル化 【特集:技能伝承最前線】

ギアやシャフトなど自動車部品の冷間鍛造金型や精密プレス金型を手掛けるナゴヤダイス(名古屋市緑区)は金型製作における技術やノウハウのマニュアル化(言語化・数値化)を図り、若手の技能伝承や人材育成に活用している。20~30代…

ニチダイ 24年度3月期連結売上高

金型の売上高7・7%増 ニチダイ(京都府京田辺市、0774・62・3481)の2024年3月期の金型事業の売上高は、前年同期比7・7%増の51億1000万円だった。国内の主力ユーザー向けや海外向けが増加した。 精密部品事…

明星金属工業 上田幸司社長に聞く CO2削減に取り組む理由【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄な…

トピックス

関連サイト