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ニチダイ トヨタと鍛造DXで協力

塑性加工見える化へ

冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは昨年、トヨタ自動車と同社が開発しているセンシング技術「鍛造DX(鍛造加工のリアルタイム統合可視化技術)」の実用化に向けて協力することで合意。鍛造加工におけるデータを収集し、金型損傷などの異常や状態をモニタリングすることで、最適な生産条件の提示など金型の新たな付加価値創りに取り組んでいる。

同社が開発を進めている鍛造DXは荷重・変位・温度・AEといった各種センサを組み合わせたダイセットを用いて、加工中の金型の状態を見える化するセンシング技術で、センサから得た情報を読み取り、加工中の金型の状態を把握することで、最適なメンテンナンス時期や不良発生の予兆管理などを行うことができる。経営戦略本部の藤田博文本部長は「自動車メーカーの協力を得たことで各種鍛造部品の生産時における膨大なデータ収集が可能となり、鍛造DXの実用化に向けて大きな一歩を踏み出せる」と期待感を募らせる。

独自開発のマルチセンシング装置

鍛造DXの大きな特長はAEセンサを用いていることと、複数のセンサに対し一元管理を実現している点だ。AEセンサは他のセンサと異なり、非常に精緻な情報を収集できるが、膨大な情報を収集するため、他のセンサと同期させ、一元管理する難しさがあった。

そこで同社は様々な企業と共に、独自のマルチセンシング装置や演算処理装置、表示装置を開発。各種センサの情報を一元化し、同時にモニター表示する仕組みを構築した。「塑性加工はカン・コツの世界だったが、加工中の状態を見える化すれば、大きな技術革新につながる」と藤田本部長。自動車メーカーの高いものづくりノウハウと生産活動で得られたビッグデータを、鍛造DXに組み合わせることで新たな製造オペレーションの実用化につなげる見込みだ。

今後について金型事業本部の下岡健二上級本部長は「これからデータの分析技術が求められる。その結果、開発スピードの向上や最適な生産条件の提示など新たな付加価値につながり、金型に関するビジネスも大きく変わるかもしれない」と未来の可能性を示唆した。

同社の鍛造DX実用化に向けた挑戦はIVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)のものづくりアワード2022「最優秀賞」やIVIものづくりアワード2023「学術フロンティア挑戦賞」の受賞など業界内外で大きな注目を集めている。

金型新聞 2025年4月10日

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