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リョービ ギガキャスト試作始動

リョービは3月17日、菊川工場(静岡県菊川市)に導入した6500tのダイカストマシンを稼働させた。まずはギガキャスト向けの試作をメインに請け負い、砂鋳物から試作までを自動車メーカーらに提案する。金型工場も併設。当初は仕上や調整などがメインだが、ユーザー動向を見ながら、26年をめどに金型の製作も開始する。試作や金型、材料や性能試験までトータルでサポートできるのが特長で、すでに国内の自動車メーカーから引き合いもあるという。

最初に手掛けるリアアンダーボディ(写真は砂型鋳物)

最適な金型や設計支援

菊川工場に新設した建屋で稼働を開始した。建屋は延べ床面積3608㎡で、UBEマシナリーの6500tの型締力を持つダイカストマシン「UB6500iV2」を導入した。100t/50tなど大型クレーンを2基設置。成形後の製品を検査するために、X線、バリ取りロボットなど検査装置も導入するなど、建屋も含めて、投資額は約50億円に上る。

まずは社内でさまざまなデータ検証用にリアアンダーボディの試作から開始し、その後自動車メーカーから試作を請け請け負う。将来は量産も視野に入れているという。

稼働を開始した6500tのダイカストマシン

金型工場も併設し、大型加工設備を導入。大型のマシニングセンタ(MC)や型彫放電加工機、門型MCを設置した。

今回、金型はホルダも入れ子も中国から調達し、仕上や調整などを同工場で行った。しかし、今後はユーザーの動向を見ながら、26年をめどにギガ向けの金型を国内でも製作する計画だ。

同社によれば、顧客の開発段階に応じて、金型のあり方は大きく変わるという。例えば「少量でいいので早く安く作りたい」という場合。分割する入れ子の数を減らし、入れ子を大きくすることで、コストも納期も抑えられるという。現状では、入れ子の重量が制限を超えた場合、国内では熱処理が難しく、海外で調達し、国内で加工を行う。

一方、量産を意識した段階であれば、入れ子を多数に分割して、金型性能を高めるニーズに対応する。この場合だと金型コストは高くなるが、入れ子サイズが小さくなり国内の既存設備での対応が可能になる。自動車メーカーらの要望に応じて最適な金型から試作品まで提供する。  

今回の工場はギガキャストの試作や金型だけにとどまらないのも特長。専任部署を設け、材料試験や設計支援、技術者の派遣なども行う。開発段階から立ち上げまでを一貫してサポートする。17日に開いた竣工式で、浦上彰社長は「ダイカストの新たなニーズを切り拓いていきたい」と述べた。

金型新聞 2025年4月10日

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