金型の付加価値を追求 キヤノングループで500人の従業員を抱える国内最大手のプラスチック用金型メーカー、キヤノンモールド。茨城県内に2つの生産拠点を構え、キヤノン製品向けの金型の他、自動車部品や医療機器など幅広い分野の金…
バイオプラと漆の融合 豊栄工業が独自ブランドの酒器を販売
豊栄工業(愛知県新城市、0536・22・0696)は、バイオプラスチックに漆塗りを施したぐい呑み「Sakenomi(サケノミ)」を発売した。漆工芸品を手掛けるLavyBridge(ラビブリッジ)と協業し、商品化。漆塗りの色や模様は100種類以上から選べ、多様なニーズに対応する。国内外で販売していく考え。

豊栄工業は、植物由来の糖を原料とした生分解性樹脂「ポリ乳酸(PLA)」を用いた製品の金型製作から生産、開発支援などを手掛ける。2007年から技術開発に取り組み始め、2011年にはPLAを採用した独自の幼児向け食器ブランド「iiwan(イイワン)」も立ち上げている。これまでに多くの開発実績を持ち、2018年には「ものづくり日本大賞」で最高の内閣総理大臣賞を受賞した。
「以前から漆塗りへの思いを持っていた」と話すのは美和敬弘副社長。植物由来のPLAに天然の樹脂塗料である漆を塗ることで、環境負荷をより低減し、付加価値を高めたいという狙いがあった。一方で、漆がPLAに密着しにくく、剥がれやすいという技術的な課題があり、商品化への大きな壁となっていた。

漆工芸品を手掛ける企業と協業
そこで協業したのがLavyBridge。同社は京都の漆塗り職人と連携し、商品企画から制作、販売までを行っている。連携する漆塗り職人が手作業で20工程にも及ぶ塗り作業を繰り返し、課題だったPLAへの漆塗りを可能にした。豊栄工業ではPLAに漆を密着させるために下地処理を工夫するなどの研究開発を重ねていたが、LavyBridgeでは独自の下地処理なしで実現させたという。
また、LavyBridgeは伝統的な朱色や黒色だけでなく、従来の漆塗りの表現とは異なる色やデザインを提供できるのも特長。その種類は100種類を超えるという。今回発売したぐい呑みも多彩なラインアップから選ぶことができる。
美和副社長は「伝統技術と新しい素材の融合というところに面白みがある。双方の付加価値を高める取り組みだと考えている」と語る。具体的な販売方法は電子商取引(EC)や国内外のクラウドファンディングなどを活用し販売していく予定。販売価格は4万5000円(税別)。

関連記事
アッサブジャパン(東京千代田区、03-5226-3781)はこのほど、袋井事業所に真空焼入れ炉を導入した。焼入れまで内製化することで、短納期対応を強化する。合わせて「スタバックス」の焼入れプレートの出荷も開始した。 袋井…
センシング機能でDX推進 冷間鍛造金型を手掛けるニチダイはダイセット内に荷重や変位、振動など各種センサを組み込み、金型の状態を可視化するセンシング機能を持った『インテリジェントダイセット』を開発。これにより、型寿命や製品…
外販&メンテ市場へ金型の技術力強化に 「以前から外販を求める声はあったが、初めて熱硬化性樹脂金型の外販を始めた」と話すのは、明石プラスチック工業の生水口高志社長。特長である熱可塑性と熱硬化性両方の金型製作ができ…
残留応力分析で良品担保 シリンダやエンジンブロックなどのダイカスト金型を手掛ける日本精機は、金属3Dプリンタによる大型の入れ子造形でコスト競争力向上と品質担保に向けた技術開発を進めている。昨年導入したパウダーベッド方式の…
 
  
 

 
  
  
  
  
  
  
  
 