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AIが自動で良否判定 ダイカストメーカー・日本精密金型が取り組む外観検査の自動化
アルミ・亜鉛ダイカスト製品の金型から鋳造、加工までを一貫して手掛ける日本精密金型(埼玉県川口市、大村美智社長)では、外観検査の自動化を進めている。今年3月に導入したビジョンセンサと人工知能(AI)による外観検査システムを活用し、従来は人の目で行っていた良否判定を自動化する。人手不足が深刻化する中、検査工程の省人化を図り、より効率的な生産体制の構築を目指す。

日本精密金型は1964年に先代社長がダイカストメーカーから独立し、創業した。当初はダイカスト用金型の設計、製造を手掛ける金型メーカーだったが、顧客からの要望によって、ダイカスト製品の量産まで手掛けるようになった。現在は型締め力80~125tの小物製品を得意とし、主に弱電関連の部品を製造している。
強みは、『加工レス』と呼ぶ高精度なダイカスト製造技術。「100分台であれば、鋳造後に加工しなくても寸法精度を出すことができる」(大村憲一専務)。他部品と篏合させるために高い精度が要求される穴やボスなども一体で成形できるため、製造コストを大きく削減できるという。この高い技術力が評価され、大手メーカーとも長年に渡って直接取引している。

こうした高精度技術が強みの同社では、出荷前に全ての製品で全数検査を行っている。検査では製品に傷や打痕、バリなどがないかを人の目で一つひとつ確認し、良否を判定する。この検査工程は同社の高品質なものづくりを支える重要な工程である一方、人手がかかり、判定には経験とスキルが必要とされるため、大きな課題ともなっていた。「人手不足が深刻化し、今後ますます人材確保が難しくなる中、検査工程の負荷を軽減する体制を構築する必要があった」(大村専務)。
そこで、今年3月にビジョンセンサとAIによる外観検査システムを導入した。
このシステムは、AIがあらかじめ学習した良品画像をもとに良否を判定する仕組みで、従来人の目に頼っていた外観検査を自動で行うことができる。良品画像を覚え込ませる学習を繰り返すことで、判定精度も向上していく。

同社はこれまでにも外観検査システムの導入を検討したが、「多品種少量生産の検査に対応できるシステムがなく、導入には至らなかった」(大村専務)。同社では毎月、数十種類という多くの品種を5000~6000個程度の小ロットで生産する。従来の検査システムでは、製品ごとにプログラムを用意しなければならず、段取りに多くの時間を費やすことになるため、実用的ではなかったという。
導入したシステムでは、製品ごとの検査プログラムなどを用意する必要もなく、多品種でも容易に対応が可能。現在、本格的な運用に向けて良品画像を学習させ、トライを行っている。「判定精度90%を目指している」(大村専務)。

まずは年内までに運用し、判定の自動化を図る。「100%とはいかないまでも、人の目で見て確認する数量が減れば、それだけ検査工程の負荷低減につながる」(大村専務)。将来的には自動搬送システムなどと組み合わせ、夜間24時間無人化を目指す考えだ。
また、今後の人手不足を見据え、検査以外の工程でも自動化を検討する。その一つがバリ取りだ。現在、プレス機を用いてバリ取りを行っているが、機械への段取りは全て人が行っている。「まだまだ構想段階だが、産業用ロボットを活用して、機械への段取りを自動化できないか検討を進めている。可能であれば来年以降、チャレンジしたい」(大村専務)。
現在、同社の仕事量はピーク時に比べ、3分の2ほど。「ここ数年、製品の需要が減少し、新規の開発案件も減っている。既存分野以外を開拓していかないといけない」(大村専務)。弱電関連以外の新規業種へと拡大していく他、これまでほぼ内製だけだった金型の外販も積極的に行う考え。そのためにも自動化を始めとした生産体制の効率化を進め、新しい受注獲得を目指す。

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