金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

04

新聞購読のお申込み

ナカムラマジック、アモルファス合金を使ったステータコアを量産できる金型開発

外径Φ100mmのステータコアを一体加工、連続生産100万ショットを実現

プレス金型から加工までを手掛けるナカムラマジック(長野県上伊那郡、0265・79・3880)は、アモルファス(非晶質)合金を使用した外径Φ100mmのステータコアを一体加工で量産できる金型を開発。硬度約900HV、板厚25μmで、連続生産100万ショットを実現した。

アモルファス合金は鉄損が少なく高効率のため、モーターの性能向上に貢献するが、非常に硬く、プレス加工での量産が難しい。電磁鋼板と比較し材料が薄いため、10倍程度多く打ち抜く必要があり、高いクリアランス精度も要求される。

「当社が持つ独自の『刃物の仕上げ方法』により、丸や四角などの単純形状でなく、異形状でも1~2μm単位で均一なクリアランスを実現できた」(荒井和人取締役)。また、刃物の仕上げ方法は金型の耐久性向上にも寄与しているという。

同社は中小企業庁の成長型中小企業等研究開発支援事業(Go‐Tech事業)を活用し、今回の技術を開発。大阪大学、名古屋工業大学、長野県産業振興機構、長野県工業技術総合センター、プロテリアル、林工業所と連携し実現に至った。

「以前からアモルファス合金を手掛けていたが、10mm角サイズまでしか対応できず、ショット数も50~60万回が限度だった。外径Φ100mmのサイズで100万ショット打ち抜けるようになったのは大きな成果だ。今回開発した金型は自動車への採用を目指しているが、ドローンなどの高速回転が求められる領域にも展開できると考えている。更には、モーター市場全体も視野に入れている」(荒井取締役)。

開発の背景について荒井取締役は「今回開発したモーターの性能を向上するステータコアや独自工法で製造した高効率のヒートシンクなど、CO2削減、省エネルギー等、環境へ配慮した製品開発に注力しており、その一環として取り組んだ」と話す。

今後について「仕事が決まれば膨大な量を打ち抜く必要があるため、技術指導を含む金型提供、ライセンス契約などの事業展開を考えている。技術面では、積層した材料の打ち抜きや、さらに大きいサイズへの対応を進めたい」(荒井取締役)。

金型しんぶん2025年9月10日号

関連記事

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

中古機械をサブスクで提供【金型応援隊】

中古機械を販売する小林機械は今年からリース会社と提携し、中古機械のサブスクリプション(定額課金)サービスの提供を開始した。一般的なリース契約(7年)よりも短い2年で使用可能。短期的な受注や、試験的な導入などのニーズに対応…

南武 インドに現地法人設立

現地企業開拓に注力 金型用中子抜き油圧シリンダーメーカーの南武(神奈川県横浜市、045・791・6161)はこのほど、インド南部のチェンナイ市に現地法人を開設した。1月から営業を開始し、日系企業だけでなく、ローカル企業へ…

久野金属工業 全業務の見える化でDX【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

生産性向上やペーパーレス化 モノづくりのDX化が叫ばれて早数年、様々なデジタルサービスが開発されてきた。その中で、ひと際目を引いたのがプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業(愛知県常滑市)とシステム開発のマイクロ…

アッサブジャパン 真空焼入れ炉導入し短納期対応を強化

アッサブジャパン(東京千代田区、03-5226-3781)はこのほど、袋井事業所に真空焼入れ炉を導入した。焼入れまで内製化することで、短納期対応を強化する。合わせて「スタバックス」の焼入れプレートの出荷も開始した。 袋井…

トピックス

関連サイト