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寿原テクノス ガス抜きや冷却技術開発【特集:ダイカスト最前線】
エンジンやステアリング部品など鋳造800~1250tクラス(最大2500tまで)を得意とするダイカスト金型メーカーの寿原テクノスはダイカストの課題を解決する新たな金型技術を次々に発表し、ダイカスト製品の高品質化やサイクルタイム改善に貢献。
まずはダイカストの製品内部に発生する「ガス巣(気泡)」の課題に対し、金型内で発生したガスを効率的に抜くために、工具鋼SKD61と熱伝導率の高いベリリウム銅を活用した『ハイブリッドチルベント』を開発した。両者の特性を十分に活かし、溶湯(アルミ)の入り口側にSKD61を用いることで耐久性を確保しつつ、入口側以外のベント部分に熱伝導率の高いベリリウム銅を活用することでコストを抑制し、広い隙間(1・1㎜)で高いガス抜き効果を実現。「熱膨張率の異なる2つの素材を使用するため、トライ&エラーを繰り返し、最適なクリアランスを求めた」と技術開発室の目黒雅裕室長。採用したユーザーでは20万ショットを超える実績や不良率の低減に貢献し、引き合いも好調のようだ。

さらに、ダイカスト金型の冷却を効率化する『吸引冷却金型』を発表。従来、ポンプで冷却水を金型へ圧送する方法から真空冷却装置で金型内を負圧にし、注入した水を出口方向から吸引することで金型全体への冷却効果を可能にした。
負圧の利点は従来の圧送だと金型に接する水管部分で澱みができ、境膜が厚くなると冷却性能が悪化する可能性があるが、負圧では境膜を薄くでき、水量を減らしても冷却性能を高め、品質の高いダイカスト製品が作れる。

これを実現させるために金型内に冷却入子という冷却回路となる構造体を設ける2層構造を考案。両者の隙間に冷却水が通る仕組みで、複雑な冷却回路も単純化でき、より製品部の近くを面で冷却することで製品の高品質化やサイクルタイム短縮を実現できるほか、低圧鋳造や機械のダウンサイズ化にもつながる。目黒室長は「サイクルタイムで30%短縮した事例もあり、スケール清掃などメンテナンスも容易」と技術への自信を見せる。
昨今、ダイカスト市場は自動車の軽量化ニーズでメガ・ギガキャストなど技術開発が進んでいる。伊藤壽社長は「金型の役割は顧客の困り事解決。今後もダイカストの『巣』への対応や要素技術など開発を続け、大型化するダイカストの課題解決を提案したい」と語る。将来的な需要増加も見据え、大型工作機械など設備投資も行う予定だ。
会社概要
- 住所:愛知県稲沢市陸田町上東之川2425‐18
- 電話:0587・32・1110
- 代表者:伊藤 壽社長
- 設立:1964年
- 従業員:121人
- 事業内容:ダイカスト金型製造/セラミック加工
金型しんぶん2025年9月10日号
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