金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

09

新聞購読のお申込み

ソディック コバルトレスのマルエージング【特集:金型づくりのAM活用最前線】

残留応力下げ、加工しやすく

ソディックはコバルトを含まないマルエージング鋼系のAM用粉末材「HYPER21」を開発した。独自の造形技術「SRT工法」と合わせて使うことで残留応力を解放し、ソリなどの変形を抑制。造形後に機械加工しやすい硬度に調整したほか、物性値を調整することで輸出を可能にした。

造形中・後の変形や割れはワークに残る残留応力が要因であることが多く、残留応力をいかに制御するかが課題。金型で多く使われるマルエージング鋼では残留応力による変形が大きく、その変形を除去するために数㎜以上の切削の加工代が必要なケースがあるという。さらに、従来の材料では造形後の硬度が50HRC程度になるため、造形後に切削加工しづらいことも課題になっていた。

精度よく早く造形できるマルエージング鋼系粉末

HYPER21とSRR工法を合わせることでこうした残留応力や機械加工の問題を低減した。

HYPER21はマルテンサイト変態点(鋼が硬化し始める温度)を調整。SRT工法(機械内部で簡易的に熱処理し、造形中・後の変形や割れを抑制できる造形方法)と合わせて使うことで、残留応力を解放し、変形や割れの問題を軽減した。複合切削機能を使用しない場合では造形時間の追加なくSRT工法の効果を得られるようにした。

クラックなども抑制できる

造形後の硬度をプリハードン鋼と同等のHRC40程度にすることに成功。造形後に加工しやすくなったことに加え、入れ子とベース部が同じ硬度で加工できるなど造形後に加工しづらい問題に対応した。高い硬度が必要な場合は、時効処理を施すことが可能で、HRC50以上に上げることができる。

コバルトレスであることも大きな特長だ。コバルトを含有する金属粉末は特定化学物質障害予防規則に従った取り扱いが必要だがHYPER21は対象外で、運用負荷が低い。マルエージング鋼は輸出規制対象の材料だが、規制値を超えない物性に調整されていることから輸出が可能だ。

ソディックのレーザー加工機事業部開発部の松本格部長は「AMは造形が難しく、時間がかかるという声が多い。HYPER21は簡単に早く造形しやすくすることをコンセプトで開発した。今後も金型向けの装置やソフト、材料の開発に注力したい」としている。

金型しんぶん2025年11月10日号

関連記事

日新精機が繁忙期対策のために進めることとは

協力企業との連携推進 時期によって業務の量に差が生じることは少なくない。特に金型業界では、製品のモデルチェンジや更新のタイミングなどに受注が集中するため、繁忙期と閑散期で現場の稼働状況は大きく異なる。繁忙期には残業や休日…

金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】

業界の弱体化は顧客にマイナス ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえ…

金型メーカー、自動車メーカーが図面データ標準化に向け語り合う【特集:図面データの標準化へ】

型技術者会議2025特別セッション1 で講演 金型のサプライチェーンには3次元や2次元、紙など様々な形式の図面が行き交っている。それが金型設計の時間、コスト、人材育成の手間がかかる原因になっている。サプライチェーン全体で…

新規参入目立つ微細精密加工向け機械・工具 成長分野で需要拡大【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

三井化学、共和工業 M&Aで事業展開にシナジー【特集:連携・M&Aで乗り越える】

部品開発や共同研究 2014年に共和工業が三井化学グループに入ってから9年。グループ内で共同開発した部品が自動車メーカーに採用されたり、共同研究を進めたり、協業による相乗効果を高めている。近年は住宅設備部品開発でも手を組…

トピックス

関連サイト