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苦境で起業 技術力磨き、世界に活躍の舞台
日本の金型産業は苦境が続いている。自動車の新製品開発に勢いが乏しく、生産も中国や東南アジアに移り、需要が回復しない。2025年の生産額(機械統計)は1~10月実績から類推するとこの10年で最低になりそうだ。
金型メーカーの社数も減っている。2023年で4300社。最も多い1991年(1万3000社)の3分の1になった。業績不振や後継者不足で廃業が増えれば業界は縮小の一途…。というネガティブな推測に反し起業する金型メーカーがいる。
本号座談会出席者の東海エンジニアリングサービスは金型生産がピークアウトした2001年に創業した。レンズ金型材料を手掛け、その経験を生かし金型にも事業を展開。競合が多いボリュームゾーンは避け、超精密分野に特化した。
光学機器や自動車などの最新のレンズ金型を開発し、世界で数社しかない技術を持つ。時代の最先端技術を研究し、超精密分野では国内に加えて中国や台湾など海外でも事業を伸ばす。そんな理念に優秀な人材も集まってくる。
もうひとりの出席者アクスモールディングは2017年に設立した。横田新一郎社長は機械メーカーでの下積み時代、フィルムやシートの押出成形金型Tダイに出会った。極めてニッチな市場と、習得した金型や機械設計の総合的な技術。事業は成ると感じたという。

食品や医療、自動車など様々な分野のTダイと成形設備をトータルで手掛け、年1~2回のペースで新たな開発品を生み出す。高い技術力とセミナーによる提案手法で新規顧客を獲得。中国など海外でも市場を開拓する。
競争優位性生かすマーケティング戦略
2社に共通するのはマーケティング戦略が明確なことだ。優位性の高い技術を持ち、それを求める市場に適正な価値で取引する。価値が認められない仕事はしない、苦手な分野に手を広げない。競争力の核となる技術を磨き、その分野でトップを走り続ける。
日本の金型メーカーの多くは世界をリードする技術を持つ。しかし価格競争で適正な価値を認められない。取引先が限られ高く評価する企業に出会えない。自社が保有する高度な技術に気づいていない。技術力をマーケティングに生かし切れていない。
競争優位を確立し、それを活かす2社から学べることは多い。自社の強みはどこにあるのか、その競争優位性はどれくらいのレベルなのか、強みは複数あるのか…。細かく見つめ直し、それを生かす思い切った挑戦をすれば収益改善や新規事業につながらないだろうか。
もうひとつ2社に共通するのはポジティブな発想だ。活躍の舞台を世界ととらえ、成長する市場に魅力を感じている。現状に甘んじること無く、未踏の技術開発に挑み、有能な人材を仲間にし、果敢に投資する。そうした前に進む強い志が成長の原動力になっている。
金型しんぶん2026年1月10日号
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