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鈴木工業 圧倒的なスピード追求の型づくり、無人化支える工具活用術【Innovation〜革新に挑む〜vol.14】

「圧倒的なスピードが武器」—。そう話すのは自動車用の大型プレス金型を手掛ける鈴木工業のDX室長、鈴木修一執行役員。同業他社よりも2~3倍以上は生産性が高いという。そのスピードを支えるのが、多くの工程で極力人を介さないデジタル活用と自動化技術だ。そのデジタル巧者の取り組みと、加工の無人化を支えるMOLDINOの工具活用術を取材した。

無人加工を支える刃先交換式エンドミル「BR2P」

40人超で月35型生産

同社では1964年の創業以降、自動車部品向けのプレス金型を手掛けてきた。現在得意とするのはピラーなど大型の構造用自動車部品金型。金型重量では3t~6tクラスで、製品サイズは1m程度のものが多い。強みは圧倒的なスピードを誇る金型づくりだ。その生産性は高く、41人(うち正社員は25人)で月産35型以上は生産できるという。

40人超で月35型以上を生産する

独自の分散加工とデジタル活用

それを支えるのが独自の加工方法とデジタル活用だ。大型のプレス金型では通常は土台となる鋳物に鋼材を組み付けてから加工するのが一般的。しかし同社では、型によっては、形状部を複数の駒部に分け、鋳物を発注している間に、複数台のマシニングセンタ(MC)で分散して駒部を加工する。鋳物が納品された時点で、全ての駒部が完成しているため「鋳物が納品された翌日にプレスできる」(鈴木執行役員)。

NCデータの補正を自動化

一方で、加工が増える分、NCデータの作成量は多くなる。そこで、NCデータの作成工程を効率化した。まず、加工パス作成に必要な条件をデータベース化。誰でも最適なNCデータを作成することができる仕組みを構築し、現在NCデータ作成は女性パート社員が担当している。

作成したNCデータは機械ごとで必要なプログラムが微妙に異なるため、現場で補正が必要になることがある。これを防ぐため、作成したNCデータを機械ごとに最適なプログラムに自動変換できるシステムを開発した。「現場ではプログラムを補正する必要ない」(工機課の小林勝課長)。

工程管理や部品発注など人を介さない自動化システムを構築

工数が増えると管理は複雑になる。そこでもデジタルを活用。工数管理や部品発注の手配まで全て自動でできる仕組みを構築した。「人が管理すると間違いが起きる。それを極力減らしたかった」(鈴木執行役員)。

工具やツーリングが高速加工できるもので統一

データ作成や管理を自動化しても、現場で機械や工具のトラブルがあれば意味がない。そこでまず取り組んだのが工具やツーリングの統一化だ。工具に求めたのは高速で長時間安定加工できること。特に、切込み量や送りをあげても破損しない工具を重視した。

工具とツーリングを高速加工重視で統一化

多くのメーカーに相談した結果「品質の高さは当然だが、さまざまな相談に最適な解を出してくれたのがMOLDINOだった」(小林課長)。

無人加工を実現した工具

その象徴的な工具の一つが刃先交換式ボールエンドミル「アルファボールエンドミルBR2P」だ。ねじれ切れ刃を採用し、切削抵抗を低減。突発的な欠損を抑え、荒取りや中仕上で長時間安定して加工ができる。

特に、効果が大きいのが肉盛後の加工だ。手掛けるハイテン材向けの大型金型ではスプリングバックが多く、微調整のために肉盛溶接されることが多い。ただ、肉盛後のワークは局所的に硬化するため「従来の工具では1mの加工で刃が欠けることが普通で人が機械から離れられない。それがBR2Pに変えて突発的な欠損が一度もなくなり、夜間での無人運転が可能になった」(小林課長)。

ねじ切り加工でも無人化に成功

ねじ切りでも同じく無人化に成功した。採用したのは「エポックスレッドミル」。ねじ切りをタップでなくNC加工できるため、タップの折れや詰りのトラブルを抑制できるほか、切削条件を自由に設定することができる。

小林課長は「タップのほうが早くて安い。しかし、当社の制作する金型では、穴加工はワンパレットに5~6穴程度なので、安定性を重視した。何よりタップが欠損した際のマイナスを考えると止まらない方がいい」という。

ねじ切り加工でも無人化に成功した「スレッドミル」

従来のタップ加工では、週に1回以上は切り粉詰まりによるタップ折れなどが発生していたという。その際に「1穴のトラブルに半日以上かけて放電加工などで折れたタップを除去する作業が発生する。この作業が本当につらかった」という。

「確かにスレッドミルの工具費はタップに比べて、非常に高い(苦笑)。しかし、加工時間が想定できることと、トラブルがないことを思えば安い」(小林課長)。

スピードの追求に終わりなく「鈴木」ブランドの構築

デジタル活用や工具の最適化による無人加工を進め、圧倒的なスピードを重視してきた鈴木工業。

早く作れることが強みだが、価格競争に入るつもりはない。鈴木執行役員は「スピードに価値を見出してくれるお客様に選ばれる存在になりたい。一方で、我々もお客様を選べるようになりたい」という。実際に顧客からは「もうできたの?」と言われることが多く、その後「この納期なら他の仕事をお願いしたい」と言われたことも少なくない。スピードにさらに磨きをかけ「納期なら鈴木工業と言われるようなブランドを構築したい」(鈴木執行役員)。

鈴木修一執行役員
小林勝課長

会社概要

  • 本社 : 群馬県太田市西新町135-8
  • 電話 : 0276・33・9533
  • 代表者 : 鈴木翔太社長
  • 創業 : 1964年
  • 従業員 : 41人
  • 事業内容 : 大型自動車用プレス金型の設計製作

金型しんぶん2026年6月10日号

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