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ワークス 三重野計滋社長に聞く 尖った技術に仕事は集まる

ワークス(福岡県遠賀町、093・291・1778)は、ガラス製マイクロレンズアレイ(MLA)など超精密のレンズ金型を手掛ける。微細精密なMLAは自動車のヘッドアップディスプレイや小型プロジェクター、ウェアラブルなどで需要が増えると見られている。祖業とする半導体の金型部品からどのように最先端の金型へと成長したのか、三重野計滋社長に聞いた。

三重野計滋社長

レンズ金型を極める

微小なレンズが多数並ぶ微細なガラスMLAはこれまで石英ガラスをドライエッチングで加工していました。しかし片面ずつしか成形できず、組み立てると分厚くなる(10~20㎜)。光の屈折率は1・46で、月に生産できるのは約2500個。1個あたりの生産コストは5万円でした。

そこで2022年、微細なガラスMLAを成形できる金型を開発しました。縦×横13㎜のスペースに直径0・1㎜、深さ4μmの球面1万個が並ぶ金型です。MLAの両面を成形でき、肉厚を薄くし、生産コストを10分の1に抑えられる。MLAの量産技術を大きく変えました。

不安定な金型部品から脱却

とはいえ工作機械・工具の商社として創業(1991年)してから数年後に金型部品を始めたころは、超精密とはかけ離れた品物を作っていました。経験も知識も乏しく、小さな工場で試行錯誤してピンやパンチを作り、電子部品関連の金型メーカーに納めていました。

しかし数年経ったころ『このまま続けて発展する未来はあるのか…』と思い始めました。抱える受注残はおおよそ1カ月分で、その先の受注がどうなるかわからない。半導体の市況の影響を大きく受け、繁忙期は徹夜してでも納期に間に合わせ、閑散期は仕事がゼロに近い。

超硬合金製MLA金型(縦13㎜×横13㎜のスペースに直径0.1㎜の凹んだ2万2801個の球面が並ぶ)

この状況から脱却しようと思いついたのが、付加価値の高い仕事への転換でした。例えば、超精密の加工をすることでその価値に見合う対価を得られる。取引先を開拓するため『髪の毛の太さのピン』を作りました。何日もかけ、何度も失敗を重ね、どうにかしてピンを完成しました。

それを持って関西の大手家電メーカーに飛び込みで売り込みました。看守に頼み込んで生産技術の担当者に面談する機会をもらいました。初めは疑わしそうでしたが、それを見るなり目の色が変わりました。後日連絡があり『レンズの金型を作れませんか?』。超精密への第一歩でした。

レンズ金型の要求精度はけた違い

それ以降、レンズの金型の仕事は増えていきました。レンズはセンシングや投影、照明、光通信など様々な目的に使われる。当時、日本の電機製品や自動車は急速に進歩していたからレンズにも進化が求められた。ある電機メーカーにはサブミクロン以下の精度を求められました。

当時サブミクロン以下の要求精度は常識では考えられない。未来の商品開発を見据えた技術開発とはいえ、けた違いでした。しかしトライアンドエラーを重ねどうにかして実現する。すると、しばらくするともう一段上の精度を求めてくる。その繰り返しで技術力が上がり、仕事も増えました。

尖ったワークサンプルが仕事の領域広げる

そうするうちにサブミクロンやナノレベルのレンズ金型をつくることが当たり前になっていました。おそらく金属加工でトップレベルに位置する技術。その技術による超ハイエンドの尖ったワークサンプルをつくり展示会に出品する。するとそれを見て別の分野の企業から新たな制作依頼をもらいました。

精密セラミック製品や電子基板製造向けの超硬先端ノズルはそうして手掛けるようになりました。最近では光通信用コネクタのMTフェルールという部品の金型の製作依頼を受けました。ウェブを通じて国内、そして欧米や中国、台湾など世界からもよく引き合いをもらいます。

半歩先の未来を見る目

事業を発展させることで重要なのは半歩先の未来を見ることと思います。例えば今、技術革新しているのがAI(人工知能)や電気自動車、ドローン、遠隔医療、ウェアラブル。そうした最先端の製品に用いるレンズに求められることは何か。時代の動きを感じ、調べ、次の目標をつくることです。

そして次の目標に真っ向からチャレンジする。それがどれほど困難なものでも工夫しアイデアを凝らし、実現する。常に時代が求める技術に挑戦し、過去の成功体験にはしがみつかない。そのサイクルを回し続けることが事業を成長させるカギと感じます。

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