金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

07

新聞購読のお申込み

ムトー精工 AM金型の冷却水管を自動設計【特集:尖った技術を使いこなせ】

熟練技術を標準化し設計品質向上

ムトー精工は射出成形を主力に、金型製造から組み立てまでを一貫して手掛ける。主に車載部品や電子機器など精密な樹脂製品を製造する「金型が作れる成形メーカー」として、20年以上にわたり金属3Dプリンタを活用したAM金型の開発に取り組んできた。同社は今回、オートデスクのCAEソフト「Moldflow Insight」を導入し、熟練設計者の経験に依存していた冷却水管設計の標準化に取り組んだ。

AM金型の水管設計について、同社で金型技術開発を担う門屋博人次長は「設計者のセンスに依る部分が大きく、正解もない。人によって最適解が異なる世界」と属人的な点を課題に挙げる。

ワークの形状に沿って効率的な冷却水管を自動で設計する

そこで導入したのが「Moldflow Insight」の「冷却水管最適化機能」だ。同機能は成形サイクルにおけるキャビティ表面温度の分布を解析し、金型全体を均一に冷却できる水管レイアウトを自動生成するもの。金型部品を事前に定義することで干渉を回避した設計も可能で、約48時間でレイアウトを作成。CAD出力後も必要に応じて修正を加えることで、より実用的な設計へ仕上げられる。

今回、この機能を活用したのは電子基板用モジュールボックス金型の入れ子部分。箱形状で均一な冷却による反り抑制が重要となる製品であり、肉厚の異なる複雑形状では従来、水管を十分に配置することが難しかった。

「特に複雑な設定もなく簡単に操作できた」(門屋次長)と導入のハードルも低い

実際にこの機能を使い、門屋次長は「設計の自動化で誰が使っても同じ形になり、人による設計品質のばらつきをなくせる」と設計工程の標準化を評価する。また、「解析結果が設計の裏付けとなり、顧客への確かな説明材料としても有効になる」と、客観的なデータを提示できる点も利点に挙げた。これまで一発勝負になりがちだった設計を事前にシミュレーションできるようになったことも大きいという。

ムトー精工はこの6月で創業70周年を迎えた。熟練技能とデジタル技術を融合し、付加価値の高いAM金型づくりを追求していく。「会社がこれからも存続していくには、今以上に幅広い分野への展開が必要になる。新たな技術を積極的に取り入れ、さまざまな金型に対応できる力を磨いていきたい」(門屋次長)。

会社概要

  • 本社:岐阜県各務原市鵜沼川崎町1-60-1
  • 電話:058・371・1100
  • 代表者:田中 肇社長
  • 従業員:263人
  • 事業内容:プラスチック製品の成形・金型製造

金型しんぶん2026年7月10日号

関連記事

エンシュウ 自動化システム構築する新会社を設立

自動化から情報収集まで一気通貫でシステム構築 エンシュウコネクティッド(浜松市南区、053-447-2189)は、自動化・デジタルに強い「モノづくりSIer」として4月1日に設立された。機電一体で、ロボット導入も含む設備…

狭山金型製作所 新3K(きれい、かっこいい、感動)の工場【特集:かっこいい工場】

付加価値を生む工場づくり、デザイン面から魅力伝える 映画「となりのトトロ」のモデルの一つと言われる埼玉県西部に位置する狭山丘陵。その一角に精密プラスチック金型メーカー・狭山金型製作所の工場はある。入り口には大きな桜が植え…

大同特殊鋼 金型メーカーにアンケート

金型材で困りごとは? 11月まで 大同特殊鋼は8月から日本全国の金型メーカーらを対象としたアンケート調査を実施する。金型材の使用状況や、困りごとなどをヒアリングし、材料開発につなげる。 本紙発刊の「金型工場名鑑」のデータ…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

久野金属工業 全業務の見える化でDX【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

生産性向上やペーパーレス化 モノづくりのDX化が叫ばれて早数年、様々なデジタルサービスが開発されてきた。その中で、ひと際目を引いたのがプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業(愛知県常滑市)とシステム開発のマイクロ…

トピックス

関連サイト