「設計の効率化は業務フロー全体を見直さないと意味がない」。そう話すのは、日本デザインエンジニアリングの岩壁清行社長。同氏は長年自身も金型づくりに携わり、近年ではフィリピンで設計支援を手掛ける。また、20年以上前から、日…
【この人に聞く】ケイパブル 河原洋逸社長 海外取引、営業を支援
CAPABLE(ケイパブル、京都市南区)はこのほど、金型の受発注プラットフォーム「CAMPUS(キャンパス)」を立ち上げた。金型メーカーはキャンパスに設備情報などを登録し、ケイパブルが受注した仕事をキャンパス内の最適な金型メーカーに依頼するという仕組み。営業に人員が避けない金型メーカーの代わりに営業をサポートする。同事業をはじめた狙いや仕組みを河原洋逸社長に聞いた。

1951年大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒。丸紅でIT関連の部門長などを経て、2003年TOWA入社。半導体関連の顧客開拓に注力し、10年社長に就任。退社後の12年ケイパブルを設立した。
キャンパスを立ち上げた経緯は。
当社は半導体封止金型のファブレス企業として2012年に創業した。当時協力先を探すために460社近くの金型メーカーを訪問したが、実際に仕事を出したのは、サイズの問題などから、数十社程度に留まっていた。
一方で近年は、半導体以外のユーザーとの取引も広がり、得意分野以外の相談を受けることが増えてきた。これらの仕事を受注できれば、外注に困るユーザーと、仕事の繁閑で悩む金型メーカーのニーズを満たすことができると考えた。しかも、以前訪問した金型メーカーの情報も生かせる。
どのような仕組みか。
金型メーカーは自社の設備や得意分野などの情報をキャンパスに登録して頂く。登録料は無料で、受注した場合に受注額の2%をシステム使用料として頂く仕組み。営業は当然、設計開発、顧客との納期確認や輸出業務などは当社が行う。まずは訪問させて頂いた金型メーカーさんを中心に1年で500社近いネット―ワークを構築したい。
受注までの流れは。
当社が受注してきた仕事に最適だと思われる企業をキャンパスから、人工知能(AI)と人で複数選択し、その数社に見積を出す。特徴は成約に至らなかった見積先にも、その理由や情報をきちんとフィードバックし、必要であればアドバイスもさせて頂く。。
アドバイスとは。
例えば、見積り価格が高く、受注に至らなかったケースがあった。その会社は精度に圧倒的な強みを持っていたが、その精度を維持するために、必要以上にコスト高になっていた。加工工程の見直しなどを提案した結果、加工時間が3分の1にまで短縮できたケースがあった。外からの視点で見ると、意外と改善できることは多いと思う。
仕事の確保は。
当社はすでに、世界の半導体封止用金型が必要なユーザー100社以上と口座があり、最近では大手電機メーカーや自動車メーカーからの引き合いも増えている。さらに当社の顧客3分の2以上は海外なので、海外にアクセスできるのも利点だと思う。実際に日本の高精度金型が欲しいという声は多く、需要はある。キャンパスを日本の金型技術と雇用の確保の一助にしたい。
金型新聞 2021年4月10日
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