金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

【金型の底力】サムテック 結果や成果を出し切ることが重要

熱間鍛造の一貫生産 社員と共に成長へ

真中が阪口専務
金型加工技術の強化

「挑戦は常に行っているが、挑戦すると失敗もある。それを皆で共有し、次へ進むことが重要だ」と話すのはサムテックの阪口直樹専務。熱間鍛造事業を主力に、型設計・製作、鍛造ライン(羽曳野工場など国内14ライン・海外5ライン)を持ち、月間420万ピースの鍛造品を生産。主に、ホイールハブユニットベアリングや四輪駆動用カップリング、クラッチハブやプーリーなどトランスミッションから伝導装置、足回り部品の丸物に特化した鍛造品を手掛け、年間生産量は8万トン(国内)、売上高は230億円(海外含む)を超え、自動車産業を支える企業の1つだ。

同社の特長は自社開発した閉塞熱間鍛造などの精密鍛造技術で、ホイールハブユニットベアリング外輪の鍛造では外バリを出さず、材料歩留まりを向上させ(10~15%)、大幅にコストダウンするなど技術の開発に注力。直近はプロペラシャフトやハブユニットベアリングの仕上げ切削を行い、型製作から鍛造、仕上げまで一貫生産体制を構築。これまで見えなかった鍛造の課題解決に取り組み、自動車メーカーなどから受注も増加。プレス機の増設や金型設備の強化など成長に結びつけている。

「自動車業界は休むと誰かが抜いていく。常に新製品や改善に取り組まないと続けられない」と阪口専務は業界の厳しさ、向上心の重要性を語る。熱間鍛造の大きな課題は金型費と型寿命。寿命を延ばすには鍛造時の荷重軽減が1つの方法で、熟練技能者の絶妙な荷重加減や金型の工夫が大きい。「荷重が20tに変われば型寿命も変わる」と、解析技術の活用や金型加工の技術強化を図る。

マシニングセンタ加工ライン

そこで、ジェイテクト製マシニングセンタを計13台導入。最適な工具選定や切込み量を増やすなど加工パスの見直し、多数個を同時加工できる治具開発を行ったほか、機上の工具計測も取り入れ、工具の折損検知・摩耗状況を把握し、加工の安定化を実現。休日の無人稼働やダウンタイム削減など生産性向上や稼働率30%向上を目指す。さらに、複雑な金型原価管理のシステム構築や5軸加工機導入も視野に入れる。

「結果や成果を出し切ることが重要。その力がまだ弱い」と阪口専務はKPIをベースに、人材育成プロジェクトを始動。部門別損益や製造原価低減、型寿命向上など製造、営業、業務担当の各自に目標を持たせ、面談しながら成果が出せるようにフォローする。例えば、4S活動で改善を行うも、時間が経つと元の状態に戻ることはよくあるが、目印による場所の指定など考えなくてもできる仕組みが重要だ。「大事なことは問題の本質を見極めること。人ではなく解決するシステムがカギだ」と細かい所まで目を配り、仕組みで改善方法を探す。「現状を否定し、課題を見つけ、解決する好循環を作れば、モチベーションも高まる」と全社員のチームワークを結集することが次の成功へ導く原動力となる。「製造業は人が主役。少し前にあった納期問題も全社員が情報を共有することで段取りも良くなり改善してきた。社員の総合力を出すことができれば、出来ないことはない」と中期経営計画では売上高250億円を掲げ、活気ある会社を目指す。

金型新聞 2021年10月10日

関連記事

この人に聞く2015 <br>アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

この人に聞く2015
アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

生産性高める技術提案 シナジー生むプロ集団に  昨年10月、兄の憲一会長から経営のバトンを受け継いだ。歯車などの精密冷間鍛造金型を手掛けるアカマツフォーシスが取り引きするのは、自動車部品などのメーカー。「金型を通じて顧客…

「計測、CAD/CAM、CAE技術生かし、DX化を推進」Hexagon先端技術開発室・立石源治室長【この人に聞く】

Hexagon(東京都千代田、03-6275-0870)は、計測やCAE、CAD/CAM技術を生かして製造プロセスのDX化を推進する「Smart Manufacturing(スマートマニュファクチャリング)ソリューション…

この人に聞く
ツバメックス 山村福雄 社長

サンスターグループ傘下に  プレスやプラスチック金型を手掛けるツバメックス(新潟県新潟市、025-375-4945)は今年2月、オートバイ用部品などを手掛けるサンスター技研(大阪府高槻市、072・681・0351)に全株…

金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】

業界の弱体化は顧客にマイナス ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえ…

ツバメックス 多田羅晋由社長インタビュー【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

昨今、顧客の課題解決につながるソリューションやサービスなどを提供する金型メーカーが増えている。なぜ、従来の金型づくりだけでなく、自社が保有する技術を生かしたソリューションや、AI・IoTを活用したサービスなどを提供するの…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト