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【金型の底力】エフアンドエム 5軸機導入をコンサル

企業間連携でフィールド広げる

市井  宏行社長

自動車骨格部品などのアルミ押出金型を手掛けるエフアンドエムは今年1月、5軸加工機の導入コンサルティングサービスを始めた。長年運用してきた経験やノウハウを活かし、金型や部品メーカーのニーズにマッチする5軸機を提案、使い方をサポートする。活用の工夫やアイデア次第で生産効率を高める5軸機の良さを広め、日本のものづくりの競争力底上げに貢献したい考えだ。

5軸機の使い方、メリットをコーチングする
㊦DMG森精機の5軸MC

複雑形状の金型や航空機エンジンのインペラ。5軸加工といえば同時5軸による高難度のワークの加工を連想しがちだ。しかし市井宏行社長は、「それはほんの一部。工夫次第でその特長をもっと活かせる」と話す。

例えば、「5つの可動軸を使い割り出し加工をすれば段取り替えの手間を減らせる。複数の機械での加工を1台に集約すれば工数削減に加え設備投資費を大幅に抑えられることもある」。

コンサルでは使い方だけでなく導入後のビジネスメリットも共に考える。依頼主の要望に寄り添い、その会社の事業形態や生産体制に最も合う使い方を提案、コスト削減や利益率改善を後押しする。

同社が5軸機を導入したのは今から17年前。5軸機は当時、欧州では一般的に使われていたが、日本では実用のメリットが広く知られておらず、運用する金型メーカーはほぼ無かった。

そんな中で導入したのは未来を拓く可能性がある加工技術と感じたから。市井社長は、「新しい技術は誰よりも早く使いこなすことでそれによる競争力はより高くなる。その可能性を感じた」。

導入1年目は稼働率を度外視し応用技術の研究だけに使った。少しずつ応用の道が見えてくると金型の加工に展開した。その後は応用を加速。今では8台の5軸機が効率改善とコストダウンのエンジンとして活躍する。

未知の技術に挑戦する—。その市井社長の経営における精神は持って生まれたポリシーと、会社の特異な生い立ちが組み合わさり生まれた。

古市和人部長㊧が5軸の活用を推進してきた

市井社長の父であり創業者の市井収氏は元アルミ製品メーカーの金型技術者。高い技術が買われ、アルミ部品の採用を模索していた自動車メーカーから金型開発の依頼を受け、1991年に創業した。

だが創業メンバー4人のうち市井社長を含む3人は金型づくりの経験が無かった。金型開発は市井収氏が担当するものの3人はノウハウがない。そこで始めたのが、擦り合わせの要らない金型づくりだった。

当時金型は擦り合わせて完成させるのが常識。それを必要としない作り方はまさに未知の技術。CAD/CAMやNC加工機を使い、素人にも金型を作れる仕組みを構築。常識にとらわれないやり方が後の自動化や5軸加工へとつながっていく。

新車開発に関わる金型を手掛け、自動化で生産効率を高める同社の業績は好調だ。しかし市井社長は、「金型を取り巻く経営環境は混沌としている。次の展開も考えておく必要がある」と話す。

そこで考えているのが金型や部品メーカーとの企業間連携だ。市井社長は、「5軸機コンサルは様々な企業との出会いを増やすのも目的。協力し、ともに共通の目標に挑戦できるアライアンスをつくっていきたい」。

自己評価シート

5軸加工や自動化など未来を拓く設備に投資(10点)し、金型開発の技術力(8点)や収益力(9点)は高い。一方で課題はPRしていく力(3点)だ。

会社概要

本社  :富山県高岡市米島862-1
電話  :0766-26-8585
代表者 :市井宏行社長
創業  :1991年
従業員 :15人
事業内容: アルミの押出金型やダイカスト金型の設計・製作。

金型新聞 2021年11月10日

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