金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

12

新聞購読のお申込み

【インタビュー】名古屋精密金型 ・坂元 正孝社長「工場間の連携強化へ 」

プラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562-84-7600)は7月、坂元正孝氏が社長に就任した。同社の工場は本社、熊本、宮崎とベトナム、インドネシアの5工場で金型を製作している。金型業界を取り巻く環境が変化する中、同社も次世代に向けた新たな取り組みを始めた。そこで現状の課題と今後を坂元社長に聞いた。

さかもと・まさたか
1963年生まれ、宮崎県出身。82年日南工業高等学校卒、83年日本電装学園(現デンソー工業学園)卒。90年同社入社、2004年宮崎工場工場長、10年執行役員、13年取締役、同年ベトナム工場社長、19年副社長。好きな言葉「金型づくりは人づくり」

内外の人材交流密に

現状の課題は。

当社の国内工場にはそれぞれ微細加工や複雑形状など得意な加工技術を持っており、それを共有し技術を高め合う環境が出来ていなかった。昨年から改善活動の一環としてMPS活動を実施し、各工場の設計やCAM、機械、仕上げ、業務など各課の担当者がオンライン会議で情報交換を図る場を設けている。各工場には課題があるが、その答えを他の工場が持っているケースは多い。工場間で情報を密にし、しっかり連携できれば、工場のレベルアップになる。

海外の工場は。

国内と海外の工場間の連携も重要だ。ベトナム工場は金型の磨きレベルも高く、主力工場に成長した。ベトナム人は向上心も高く、技術だけでなく、日本語や礼儀作法も学ぼうとしている。それは「日本に行ける」ことがモチベーションになっているからだ。その間口をさらに広げ、幅広く受け入れる体制を作りたい。今はコロナ禍で帰国させ、2名のみ在籍しているが、次は6名を予定し、その半年後から増やしていく。日本は人手不足も深刻で、海外から来てもらえると国内工場も助かる。学んだ技術は海外工場へ持って帰ってもらえるので、海外工場もレベルアップする。好循環な環境を整備したい。

技術面の強化では。

昨今はヘッドランプの金型以外に四輪の内装部品など幅広く受注している。特に、意匠部の加工精度は顧客の評価も高い。そのため、高い加工技術をテーマに、各工場のレベルを底上げし、協力関係を築けば、設計や加工プログラムなど金型製作を分担で行い短納期化も実現できる。それには海外も含め工場間の連携強化が不可欠。また、同じプラスチック金型メーカーや他の型種の金型メーカーなど幅広く協業することも重要だ。国内の受注環境は非常に厳しくなっている。他社とも力を合わせ、情報交流や互いの技術レベルの強化につながる関係を築きたい。

金型新聞 2021年11月10日

関連記事

企業と学生つなぎ交流の場をつくる 鳥飼祐介氏(経済産業省企画調整係長)【鳥瞰蟻瞰】

素形材産業の人手不足は、業界共通の課題です。製造業全体の平均から見ても、求人倍率が高い傾向にあります。中途採用や外国人労働者に頼り、人手を確保している企業が多い。 しかし、人手を確保できれば誰でも良いわけではありません。…

顧客目線で課題に応じた提案 金子善昭氏(MOLDINO社長)【この人に聞く】

今年4月、切削工具メーカーのMOLDINO(モルディノ)の社長に就任した金子善昭氏。親会社の三菱マテリアルで国内の営業企画や米国のマーケティング担当を務めた他、戦略部長や営業本部長を歴任した。金型加工に適した工具を多くそ…

【金型応援隊】ジーシステム 改善重ね導き出した生産システム

多台持ちで生産効率化 ジーシステムはプレス金型用プレートなどの研磨加工を手掛ける。車の電動化や5Gの広がりを背景に電子部品向けの需要が拡大している。於保信一郎社長は、「さらに効率化して生産性を高め、需要に応えていきたい」…

【この人に聞く】三菱電機産業メカトロニクス事業部事業部長・清水則之氏「生産性高めるサービスを提供する」

 高精度、高性能な放電加工機で金型産業に貢献してきた三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)。近年は、機械だけでなく、遠隔地からのメンテナンスサービスやAI技術の活用など金型づくりの高度化に対応するサービスや…

木村有貴さん 金属3D造形の困りごとを解決する【ひと】

金属3Dプリンタで造形した金型部品のトラブルを分析・解決する「診断士」のような業務を担当する。珍しいトラブルほどテンションが上がるそうで、「難しい問題を解明できた時の達成感が何よりも気持ちがいい」。 大学では金属材料を研…

トピックス

関連サイト