金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

14

新聞購読のお申込み

【インタビュー】京セラ 執行役員 機械工具事業本部長・長島 千里氏「微細加工市場に参入 」

大手切削工具メーカーの京セラは9月、高硬度材加工用(微細加工)のソリッドボールエンドミル「2KMB」を発売し、微細加工市場に参入した。これまで旋削チップなどを強みとしていた同社が焼入れ鋼など高硬度材を使用する微細加工市場でどのような狙いや強み、今後の展望を持っているのかを機械工具事業本部長の長島千里氏に聞いた。

耐摩耗性などに強み

サンプル品を提供中

参入した背景は。

これまで旋削加工の精密工具に注力してきたが、今後、EV車や5Gなど多様な分野で精密金型が求められ、微細加工市場が広がると思っている。そこには当社の独自技術を活かせると判断した。

独自の技術とは。

微細加工のユーザーが工具に求める重要な要素は長寿命と面粗さ(光沢面)。そのニーズに応えるため、独自のコーティング技術と刃先形状を開発した。

その特長は。

微細加工は長時間加工になるため、耐摩耗性と耐チッピング性を両立させなければならない。新PVDコーティング『MEGACOAT HARD EX』は超硬母材に2層構造のコーティングを施し、上層は衝撃性に優れた高靭性結晶層を作り、下層には高温摩耗進行を抑制する特殊積層構造層を持たせることで、長寿命かつ耐チッピング性に優れた工具に仕上がった。

刃先形状では。

削っているのか削っていないのか目視では分からないほど繊細なのが微細加工の世界。その世界で工具が滑らずに安定加工を実現できるのはS字を描いた独自の切れ刃形状だ。

この2つの要素が組み合わさることで、プリハードン鋼や焼入れ鋼など70HRCまでの幅広い高硬度材領域を1材種でカバーでき、荒~仕上げまで対応する。

工具の拡販戦略は。

新規参入のため、まずは工具性能を実感してもらいたい。

お試しキャンペーンとしてサンプル品の提供(HP上で公開中)を始めた。使ってもらい、金型メーカーのニーズを聞くことで密な関係性を構築したい。

ユーザーの反応は。

プラスチック型やレンズ型、鍛造型など幅広い分野でサンプル依頼が来ており、これまでのテスト評価は上々のようだ。精密金型の需要は今後も伸びると予測しており、工具形状やコーティングなど他社と一味違った工具でユーザーの生産性向上に貢献したい。

今後の展望は。

ドリルやエンドミルなどソリッド工具のレパートリー拡充を図っていく。来春にはラジアスエンドミルも発売する予定で、様々な工具をラインアップし、金型加工を1社で賄えるように強化する。

また、脱炭素化に向けた省エネルギー加工の実現を図る。高能率な工具はもちろん、削る前のシミュレーションなどDXにも取り組んでいる。『切削工具×カーボンニュートラル』をテーマに、ユーザーの脱炭素化を後押ししたい。

金型新聞 2021年12月10日

関連記事

AI活用や形状認識による設計支援 塩田聖一氏(C&Gシステムズ 社長)【この人に聞く】

金型向けのCAD/CAMから生産管理システムまでを手掛けるC&Gシステムズ。2021年に「研究開発部門」を設けるなどソフトウェアの開発体制を強化している。そこではAI(人工知能)の活用や、形状認識による設計支援な…

日本金型工業会 会長 小出 悟氏 (小出製作所社長)
〜鳥瞰蟻瞰〜

金型は量産の道具 理解するマスターが必要人材発掘が経営者の仕事  「金型は量産のための道具である」と長年言い続けています。金型というものの本質がそこにあると思うからです。お客様は金型が欲しいわけじゃない。金型を使って効率…

【この人に聞く】三菱電機産業メカトロニクス事業部事業部長・清水則之氏「生産性高めるサービスを提供する」

 高精度、高性能な放電加工機で金型産業に貢献してきた三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)。近年は、機械だけでなく、遠隔地からのメンテナンスサービスやAI技術の活用など金型づくりの高度化に対応するサービスや…

【ひと】ベントム工業社長・本田大介さん システム会社を立ち上げた金型経営者

システム会社立ち上げた金型経営者  クラシック音楽事務所の営業から父親が創業した鋳造・ダイカスト金型メーカーに転職。会社を受け継いだ後、工程管理を手掛けるシステム開発会社を設立した。異色の金型経営者だ。  入社した当初は…

堀江亜衣奈さん 醍醐味は職人技の瞬間【ひと】 

「六角パンチやピンの研削加工では多少寸法のズレが発生するため、補正するのが常ですが、狙い通りに寸法がハマッた瞬間はヨシッとガッツポーズします」と笑顔を見せるのは堀江亜衣奈さん(22)。精密鍛造金型や部品を手掛ける阪村エン…

トピックス

関連サイト