金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

25

新聞購読のお申込み

【インタビュー】京セラ 執行役員 機械工具事業本部長・長島 千里氏「微細加工市場に参入 」

大手切削工具メーカーの京セラは9月、高硬度材加工用(微細加工)のソリッドボールエンドミル「2KMB」を発売し、微細加工市場に参入した。これまで旋削チップなどを強みとしていた同社が焼入れ鋼など高硬度材を使用する微細加工市場でどのような狙いや強み、今後の展望を持っているのかを機械工具事業本部長の長島千里氏に聞いた。

耐摩耗性などに強み

サンプル品を提供中

参入した背景は。

これまで旋削加工の精密工具に注力してきたが、今後、EV車や5Gなど多様な分野で精密金型が求められ、微細加工市場が広がると思っている。そこには当社の独自技術を活かせると判断した。

独自の技術とは。

微細加工のユーザーが工具に求める重要な要素は長寿命と面粗さ(光沢面)。そのニーズに応えるため、独自のコーティング技術と刃先形状を開発した。

その特長は。

微細加工は長時間加工になるため、耐摩耗性と耐チッピング性を両立させなければならない。新PVDコーティング『MEGACOAT HARD EX』は超硬母材に2層構造のコーティングを施し、上層は衝撃性に優れた高靭性結晶層を作り、下層には高温摩耗進行を抑制する特殊積層構造層を持たせることで、長寿命かつ耐チッピング性に優れた工具に仕上がった。

刃先形状では。

削っているのか削っていないのか目視では分からないほど繊細なのが微細加工の世界。その世界で工具が滑らずに安定加工を実現できるのはS字を描いた独自の切れ刃形状だ。

この2つの要素が組み合わさることで、プリハードン鋼や焼入れ鋼など70HRCまでの幅広い高硬度材領域を1材種でカバーでき、荒~仕上げまで対応する。

工具の拡販戦略は。

新規参入のため、まずは工具性能を実感してもらいたい。

お試しキャンペーンとしてサンプル品の提供(HP上で公開中)を始めた。使ってもらい、金型メーカーのニーズを聞くことで密な関係性を構築したい。

ユーザーの反応は。

プラスチック型やレンズ型、鍛造型など幅広い分野でサンプル依頼が来ており、これまでのテスト評価は上々のようだ。精密金型の需要は今後も伸びると予測しており、工具形状やコーティングなど他社と一味違った工具でユーザーの生産性向上に貢献したい。

今後の展望は。

ドリルやエンドミルなどソリッド工具のレパートリー拡充を図っていく。来春にはラジアスエンドミルも発売する予定で、様々な工具をラインアップし、金型加工を1社で賄えるように強化する。

また、脱炭素化に向けた省エネルギー加工の実現を図る。高能率な工具はもちろん、削る前のシミュレーションなどDXにも取り組んでいる。『切削工具×カーボンニュートラル』をテーマに、ユーザーの脱炭素化を後押ししたい。

金型新聞 2021年12月10日

関連記事

冨士ダイス、生産性向上へ自動化を推進 輪竹生産本部長「2030年までに30~40%省人化」

超硬合金の素材や金型などを手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、春田善和社長)が自動化・省人化に注力している。同社は2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(中計)で「生産性向上・業務効率化」を掲げ、今期だけで…

瑞穂工業 新社長 大澤史和氏に聞く

超硬工具や各種超硬素材の製造販売を手掛ける瑞穂工業(大阪市西淀川区、06・6471・4721)は4月、大澤史和氏が代表取締役社長に就任し、新たな船出を迎えた。同社は1944年創業以来、超硬工具や金型の製造に携わり、独自の…

日新精機 社長 中村 稔さん
〜ひと〜

ユーチューブでものづくりの魅力伝える  「皆さん、どうもこんにちは」。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、自身を模したキャラクターとアニメーションにのせてものづくりの基礎知識を解説する。話題は自身が手掛ける冷間圧造金型に関…

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く<br>セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く
セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

研究開発が新たな道  リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…

スペシャリスト<br>超硬材料 共立合金製作所

スペシャリスト
超硬材料 共立合金製作所

自動車の電動化に商機  「日本に残る分野に経営資源を投下していく」。そう話すのは「エバーロイ」ブランドで知られる、超硬材料メーカーの共立合金製作所の池田伸也超硬事業部長。同社が国内で伸びると判断するのは、①大型の超硬材料…

トピックス

関連サイト