金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

13

新聞購読のお申込み

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -デジタル化-

PART2 打田製作所 社長・打田尚道氏に聞く「デジタル化」

トップの判断が必要不可欠
 業務フローを簡素化し、
  現場が楽になること目指す

なぜ金型企業がデジタル化を進める必要があるか。ここでいうデジタル化を「人に依存していた情報や知識、ノウハウをデジタルデータ化すること」と定義した上で述べると、労働生産性を高め、競争力や付加価値、生活環境を向上させることが目的だと思います。

当社では2000年頃からデジタル化に取り組み始めました。それ以前から事務処理用パソコンをネットワークにつなぐといった取り組みは進めていたのですが、本格化したのは、インターネットが登場してからです。

取り組んだのはウェブシステムを活用したデータベースシステムを自社開発し、指示書や図面、部品発注など金型づくりに必要な情報を全て社内で共有できるようにしたことです。日々の引き合いや受注、生産状況などがリアルタイムで見られるため、紙で情報を管理していた時に比べ、格段に業務効率が向上しました。加えて、見積精度の向上や問い合わせへのレスポンスが良くなるなど顧客へのサービス向上にも効果がありました。

現在はさらに現場のデジタル化に取り組もうとしています。工作機械の稼働データを取得して効率的な設備運用を目指すためのシステム構築を検討し始めています。

約20年に渡ってこうした取り組みを進めてくると、デジタル活用における問題点もいくつか見えてきました。その一つが業務フローを変えずにデジタル化してしまうことです。デジタル化のために重複したデータ入力や、仕事のための仕事を作っていることがあるので、これらをまず整理し、業務フローを簡素化することが何よりも重要です。

もう一つが管理者目線でデジタル化してしまうこと。人は基本的に他人に拘束されたり、管理されたりすることを好みません。これを払拭するためには客観的にデジタル化の目的を説明することが必要です。あくまで現場担当者が楽になるデジタル化を目指すことが大切だと思います。

また、デジタルに依存してしまうことも問題点の一つだと感じます。デジタル化が進むと、「データに入っているから」とコミュニケーション不足に陥ることがあります。ただ、これではいけません。デジタル化はコミュニケーションをより早く、深く、正確にするためのものであり、主役はあくまで人だからです。

そして最後に挙げられるのは、やはり経営トップの決断・覚悟が必要ということです。過去にもOAやFA、CAD/CAMなどのトレンドがありましたが、これらは全て部分最適で済みました。しかし、今般のDXと表現されるデジタル化は、事業全体に関わるため、全業務フローで経営トップの判断が不可欠となります。また、対投資効果も見えにくく、数値にも表れにくいため、トップが将来の企業戦略を明示して取り組まないと、上手く成果につなげることはできないと思います。

デジタル化は特定のシステムを導入すれば解決するという道具論ではありません。自社の強みと弱み、外的な良い影響と悪い影響の分析はもちろん、社内にあふれるデータや情報を整理し、自社の見えざる資産や問題を見える化するという考えが必要だと思います。

※特集のトップページはこちらから

金型新聞 2022年1月10日

関連記事

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

JIMTOF総集編 PART3:自動化
人口減少時代に備える

金型業界含め国内製造業は慢性的な人手不足を抱え、加工や測定工程で自動化を図ることが大きな課題となっている。そのため、これまで複数の機械で加工していた加工工程を1台の機械に集約し、段取り工程の削減や短縮、さらに、工程間の搬…

スワニー 耐久性高い金型、協業で製造【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…

前澤金型と福井県工業技術センターは金属AMを活用してどんな金型を開発したのか

金型や部品の造形で金属AMを活用する際、必ず指摘されるのがコスト。装置の価格はもとより、粉末材料が高価なことに加え、設計や解析などに多くの工数が発生するため、どうしても製造コストは高くなる。一方で、高い冷却効果による生産…

短時間でプレス解析 南工【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

トライ後の改修減らし生産性アップ 自動車の骨格部品などのプレス金型を手掛ける南工は昨年、解析速度の速いプレスシミュレーションソフトを導入した。短期間で高精度の塑性変形予測を割り出し、設計品質を高め、トライ後の改修時間も短…

トピックス

関連サイト