金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

08

新聞購読のお申込み

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -連携-

PART1 共和工業 相談役・岩渕学氏(日本金型工業会副会長)に聞く「連携」

連携強化は時代の必然
 個社が自律した
  新たな協業のカタチを

金型メーカーの本質を突き詰めると「連携」が不可欠なのは明らかです。では、そもそも金型メーカーの本質とは何か。それは最終顧客が求めるものをカタチにすることです。例えば「椅子が欲しい」という顧客がいれば、どんなデザインにして、どういうプロセスで作るのかまで提案しなければいけない。

ただ、金型メーカーは製造プロセスの川中に位置するので単独でそうした提案をするのは難しい。だからこそ、一連の流れを一緒に提案できる「イコールパートナー」として連携先が重要になります。当社が三井化学グループに入ったのも、そうしたことが理由の一つです。

こうした本質的な理由に加え、外部環境の変化でも連携は加速せざるを得ません。自動車業界の変化を見てもそれは明らかです。トヨタ自動車の豊田章男社長が「トヨタは単に車を作る会社から車を活用するモビリティカンパニーになる」と宣言しました。

この発言はこれまでトヨタで行っていた自動車づくりの領域が段階的にTier1に移管していくことを意味します。自動車を活用するための事業領域が広がることで、自動車を作る部分までこれまで同様にカバーしきれないからです。だから、自動車部品メーカーの多くは、一部品を作るメーカーから複数の部品を組み合わせて「モジュール化」して納品する「メガサプライヤー化」していく可能性が高いでしょう。

つまり、プレス部品メーカーが樹脂部品を手掛けることなども出てくるわけです。多様な技術が必要な部品メーカーから「自社に不足する金型技術や成形品は取りまとめて提案して欲しい」という要求が増えるのは、間違いありません。

そうなるとサプライチェーンの縦の連携だけでなく、樹脂やプレス、ダイカスト金型など異業種間の横の連携が不可欠になります。これらを取りまとめることができる存在が求められるわけです。

こうした流れを受け、当社の本社のある新潟では日本金型工業会の「新潟地区会」を中心にして、連携が進みつつあります。新潟には、多様な型種やサイズの金型メーカーが多く、様々な金型を供給できる金型産地として価値があるので、連携の意味は大きい。

連携による設備の共有化も大きな利点になります。日本は中国のように大規模な設備投資は難しい。しかし、デジタルを活用すれば機械を共有し、生産能力を上げることも可能です。型種が違えば、繁忙期が異なるので共有しやすいですし、物理的な面からも集積地は共有しやすい。材料の共同購入なども利点です。

ただ、連携と言ってもかつてのような元請と下請のような関係ではダメで、個社が自分のビジネスを遂行する能力が必要です。親子のような関係になってしまうと、言われた通りの金型を作るだけの従来と変わらないし、技術の進歩が停滞してしまうからです。

あくまで、個社が商品として、金型をまとめ上げ品質を保証することが重要です。各社がそうした能力を持ったうえで協力しあうことが、次世代の連携のカタチではないでしょうか。新たな連携を進めて、再度金型世界一を目指したいですね。

※特集のトップページはこちらから

金型新聞 2022年1月10日

関連記事

リーダーの条件Part3
いま活躍するリーダーの心得

 新型コロナで需要が減速し、自動車の電動化で産業構造が変わるかもしれない。先の見通しにくい混沌とする時代に、リーダーはどういったことを心掛け、自らの指針としているのか。時代をリードに考えを聞いた。 伊藤製作所 伊藤 澄夫…

高硬度材を切削加工

加速する高硬度直彫り

工程短縮、精度安定に利点  超高張力鋼板やガラス繊維など成形材料が高度化していることから、HRC60を超える焼入れ鋼や超硬材を使うなど金型の高硬度化が進んでいる。こうしたニーズに合わせて、高硬度材料を効率よく高精度に加工…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -デジタル化-

PART2 打田製作所 社長・打田尚道氏に聞く「デジタル化」 トップの判断が必要不可欠 業務フローを簡素化し、  現場が楽になること目指す なぜ金型企業がデジタル化を進める必要があるか。ここでいうデジタル化を「人に依存し…

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて三豊機工 鹿児島工場(南九州)  5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産…

関連サイト