金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

16

新聞購読のお申込み

ユウワ CO2排出量の削減など環境負荷低減

脱炭素社会に向けた金型づくり

渡辺  稔社長

スマートフォン向け電子部品などの微細精密モールド部品の金型から量産までを手掛けるユウワは、脱炭素社会の実現に向けた金型づくりを進めている。昨年7月から本社工場の全電力を再生可能エネルギー由来に切り替え、CO2排出量の削減など環境負荷低減に取り組む。国内だけでなく、海外工場も含めてグローバルで環境に配慮した工場づくりを目指す考え。

全電力を再エネ由来に

ワイヤ放電加工機
微細精密ワークサンプル

2020年10月、日本政府は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した。大企業を中心に達成に向けた取り組みが進む中、中小企業でも活動が広がっている。ユウワもその1社。渡辺稔社長は「このままでは地球環境は悪化の一途を辿る。未来の子供たちのためにもみんなで取り組み、温暖化を阻止しなければならない」と話す。

同社では昨年7月から、温暖化の原因となるCO2排出量を削減するために本社工場で使用する6700MWh分の電力を長野県内の水力発電所などで生み出された再生可能エネルギー由来の「信州Greenでんき」に置き換えた。これにより、年間で約20万5000本の杉の木が吸収する量に相当するCO2を削減できるという。

こうした電力の切り替えは環境負荷低減に効果がある一方、電力コストは従来に比べ10~20%ほど増加するという。ただ、渡辺社長は「コストアップ分を補うために、以前から使用電力の削減などに取り組んできた」。その一例が金型工場「金型技術センター」にある。

同センターは加工精度±1μmを実現するために、室温±0.5度で管理されている。通常、こうした恒温環境を維持するにはヒーターとクーラーを使って温度を調節する。「このヒーターが最も熱効率が悪く、電力量アップの要因となっている」(渡辺社長)。

そこでヒーターを使わずに機械とコンプレッサの排熱を利用した独自の恒温空調システムを開発。同社によるとヒーターを使用した方式に比べ、毎月100万円ほどの電力抑制効果があるという。加えて、壁や屋根に断熱塗料を塗布するなど様々な断熱・遮熱対策にも取り組み、熱の伝えやすさを表す熱貫流率を0.6W/㎡Kまで下げることで恒温環境を維持。渡辺社長は「保冷・保温機能の高い“魔法瓶”のような工場」と話す。

電力の他にも環境に配慮した様々なコストダウンを進める。その一つが地下水・雨水の活用。同社で使うワイヤ放電加工機の加工液は全て雨水を循環ろ過したものを使用している。こうすることでイオン交換樹脂の寿命が向上し、約80%のコスト低減につながるという。さらに、毎分600ℓの地下水をくみ上げ、工場空調や成形機の冷却水などに活用している。

本社工場・金型技術センター

現在、本社工場の屋根には太陽光パネルを搭載し、約300kWの電力を生み出している。今後は空いている屋根にもパネルを取り付け、自社消費によるピーク時の電力量抑制や「電力デマンド」の上限低減に取り組む考え。渡辺社長は「当社は国内だけでなく、中国やベトナムにも製造拠点を持つ。今後は海外拠点にも取り組みを広げ、脱炭素社会へグローバルに貢献していく」。

会社の自己評価シート

業界に先駆けて脱炭素社会実現に取り組み、未来に投資する力とチャレンジ精神は満点を付けた。加工精度や生産性に優れた製造システムも強みで、技術力や設備力、チーム力も高い。

会社概要

  • 本  社:長野県小諸市西原700-1
  • 電  話:0267-25-8001
  • 代 表 者:渡辺稔社長
  • 創  業:1975年
  • 従 業 員:1910人(連結)
  • 事業内容:プラスチック成形用金型の設計・製造、プラスチック成形加工

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

田岡秀樹氏

【プレス型特集】
本田技研工業 田岡 秀樹氏に聞く
プレス型メーカーの目指すべき方向性

自分の強み生かす道を 本田技研工業 完成車新機種推進部 主任技師 田岡 秀樹氏に聞く 高級車か、低価格車か、2極化も 金型なくして新車開発ならず 自動運転、ライドシェア、電気自動車(EV)の進化―。自動車業界では急激な変…

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く<br>新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く
新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

この人に聞く2017 『金型命』で社員一丸  今年5月、三菱日立ツールが新ブランド「MOLDINO(モルディノ)」を発表した。英語で金型を意味する「MOLD&DIE」と、革新を意味する「INNOVATION」か…

冨士ダイス、生産性向上へ自動化を推進 輪竹生産本部長「2030年までに30~40%省人化」

超硬合金の素材や金型などを手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、春田善和社長)が自動化・省人化に注力している。同社は2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(中計)で「生産性向上・業務効率化」を掲げ、今期だけで…

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜  1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、…

スワニー 耐久性高い金型、協業で製造【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…

トピックス

関連サイト