金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

03

新聞購読のお申込み

「5軸加工の匠」 エフアンドエム

デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世代の金型づくりで注目されている「自動化」、「金属3Dプリンタ」、「5軸加工」で、匠の技を持つ金型メーカーにその活用術やノウハウを聞いた。

エフアンドエム 「機械の個性見極め、補正技術駆使」

自動車骨格部品のアルミ押出金型を手掛けるエフアンドエムは、加工設備の主力が5軸機だ。8台の5軸機が生産効率改善やコストダウンのエンジンとして活躍。軸を傾けて加工する特性を活かし性能の高い金型づくりにも取り組む。いかにして使いこなしているのか、それに必要なスキルや心掛けは。導入初期から運用に携わり技術開発を推進する「5軸の匠」、古市和人生技開発部長に聞いた。

設計に広がり、金型の性能向上 〜旋削や積層造形できる5軸も〜

当社では現在、新旧8台の5軸機が金型加工の主力として活躍しています。初めに導入したのは今から18年前。当時、国内では5軸のメリットが広く知られておらず、運用する金型メーカーは極めて少数でした。

そんな中なぜ導入したのか。それは当社の代表(市井宏行社長)が「未来を拓く可能性のある技術」と感じたからです。もともとチャレンジを生きがいにし固定概念にとらわれない。「先駆けて使いこなせば競争力になる」と感じたようです。

5軸機を運用するうえで大切なことの一つは「機械のクセ(個性)を理解すること」。これはほかの工作機械も同様ですが、同じ機種でも熱膨張などによる各軸のズレが異なる。このクセが原因で、同じプログラムなのに加工品質に違いが出る。

5軸機は軸が5つあるので、その違いの要因が複雑になる。そのため5軸は難しい、狙った加工精度を出しにくいと感じてしまうのです。それを解消するためにまずクセをしっかりと理解することです。

それからそのクセによるズレを補正すること。予めズレを考慮し各軸の動きを補正する。加工したワークは極力機上で測定して再加工し、加工のズレを補正する。機械を止めて段取り替えした後は十分に暖機運転して熱変位を補正する。クセの熟知+補正で5軸機はイメージ通りに動かせます。

そして5つの軸を使わなければならないと思わないこと。傾斜・回転軸で位置決めして加工してもいいし、3軸で加工してもいい。もちろん同時5軸でも。「軸が5つある機械」と捉え、ワークに合わせて最適な方法を選択するのが良いと思います。

当社では「5軸を使わないとできない加工」は全ての加工の約20~30%。同時5軸にこだわった時期もありましたが早々にその考えを捨てました。3軸としても5軸としても使える。そう考えることで加工の幅が広がり、生産性が高まりました。

5軸機を導入して良かったのは、「5軸を使いこなせているのなら」と仕事が増えたこと。仕事が増えるから課題解決の方法を考え、加工技術も向上する。その善循環ができ、そこから派生して新しい技術が生まれました。

5軸でしかできない構造の金型を作れるようにもなりました。例えば冷却水路。3軸では制限される形状でも5軸なら加工できる。それによって金型の寿命が長くなり、取引先に喜ばれました。

5軸機は使い方を理解すれば金型の品質も生産性も性能も良くすることができる。これからも5軸の加工技術開発にはまだまだ挑戦していきます。

いま注目しているのは旋削や金属積層が同時にできる5軸。これらを使いこなすことができれば、展開の幅がさらに広がるかもしれません。

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

新春座談会ー第2部ー
金型メーカー4社が語る
新時代の経営戦略

型青会を金型発注の窓口に 新春座談会ー第1部ー金型メーカー4社が語る 新時代の経営戦略  1月号では昨年の景況や各社の取り組みなどを報告してもらった。本号では日本金型工業会西部支部の青年部である「型青会」にスポットをあて…

短時間でプレス解析 南工【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

トライ後の改修減らし生産性アップ 自動車の骨格部品などのプレス金型を手掛ける南工は昨年、解析速度の速いプレスシミュレーションソフトを導入した。短期間で高精度の塑性変形予測を割り出し、設計品質を高め、トライ後の改修時間も短…

平岡工業 精密部品加工・調達代行【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

調達の効率化サポート 自動車のウェザーストリップのゴム金型や切断折曲機などを手掛ける平岡工業のもう一つの事業が、精密部品加工・調達代行サービスだ。金型や切断折曲機で培った技術や協力企業とのネットワークを活かし様々なニーズ…

新需要獲得に向け技術開発強化【特集:プレス加工の未来】

日本でのプレス加工の歴史が始まって約150年。日本の製造業の発展とともに、プレス加工は進化を続けてきた。近年では最大の需要先である自動車産業でEVシフトが活発化していることから、新しい需要獲得に向けた開発や事業に取り組む…

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした<br>日本のお家芸復活のカギは

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした
日本のお家芸復活のカギは

 今なおリーマン・ショック前の7割の生産額―。プラスチック金型は、リーマン前の水準に戻った鍛造型や8割のプレス金型などと比べると回復していない。技術力、そして生産力でも圧倒的に世界をリードした「日本のお家芸」の復活のカギ…

トピックス

関連サイト