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日進精機 半導体部品分野に参入
培った技術活かす
自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えており、医療関連や半導体関連ではこれまで以上に部品の複雑化や微細化が進んでいる。多くの金型メーカーが、こうした変化をチャンスと捉え、自社の高い金型技術や加工技術などを生かし、新しい需要を上手く取り込もうと動き始めている。新規設備に投資したり、独自の商品や技術を開発したり、その取り組みは様々だ。政府も補助金などの支援制度を設け、金型メーカーの新分野の開拓を後押ししている。金型メーカーの新分野はどこにあるのか。“ニューフロンティア”を目指す各社の挑戦に迫る。
日進精機 半導体部品
社内体制の変化と時流掴む
今夏までに事業再構築補助金を活用して、飯田工場に300tプレス機を導入し、半導体部品の金型から量産までを手掛ける事業に参入します。近年言い続けてきた、強みである深絞りに他の技術を加える「深絞り+α」を実践できた結果だと思っています。
部品の詳細は言えませんが、絞りに加え、3.2㎜の板厚を4㎜まで増肉し、曲げやつぶしなど複数の技術を組み合わせたものです。過去7000型を製造した実績とこれまで培ったプレスや金型技術のおかげです。しかし、ここにたどり着くまで10年近くかかりました。
当社は精密金型の製作と、それを使ったプレス部品、樹脂部品、CNCフリーフォームパイプベンダーなど幅広く事業展開していますが、10年ほど前は新規顧客をほとんど開拓できていませんでした。技術はあるものの、お客様と積極的にコミュニケーションを取る雰囲気が薄かったからです。
こうした文化を変えるのは簡単ではありません。契機となったのが、2012年の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)による他社との連携です。メーカーや大学らと協同で、温間順送プレスを開発し、難加工材の切削からプレスの置き換えに成功しました。他社と交流する「他流試合」を経験し、社員も外向きになり、営業に注力できる体制になってきました。
それと同じころでしょうか。海外から日本に開発拠点を戻そうという動きや、パートナーを再び国内で探すお客様が増え始めていました。お客様とサプライチェーンの川上で共同開発する環境が整いつつありました。
社内体制と時流の変化のタイミングが合致したのでしょう。古くからお付き合いのあったパートナーと進行が深まり、今回の開発プロジェクトに結び付きました。とはいえ、今夏にやっと製品化するまで5年近くはかかりました。
今後も脱炭素の流れによる自動車の電動化を始め、5Gなどの伸長で半導体関連の市場は伸びていきます。そこで求められるのは当社が強みとする精密加工技術です。今後もそうした成長分野を今回と同じように、お客様と共同開発しながら開拓していきたいですね。
会社概要
- 本社:東京都大田区玉川2-29-21
- 電話:03-3758-1901
- 代表者:伊藤敬生社長
- 設立:1957年
- 従業員:900人
- 事業内容:精密プレス金型製作・プレス加工、リフレクターレンズ製作、CNC自由曲線パイプベンダー製作など
金型新聞 2022年3月10日
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