シミュレーション、AIで効率化 デジタル変革(DX)の実現は近年の金型製造現場における最大の関心事の一つ。労働人口が減少する中で生産性を向上させるためには、人工知能(AI)やシミュレーションなどのデジタル技術を活用するこ…
武林製作所 「マスクのほね」がヒット」
培った技術活かす
自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えており、医療関連や半導体関連ではこれまで以上に部品の複雑化や微細化が進んでいる。多くの金型メーカーが、こうした変化をチャンスと捉え、自社の高い金型技術や加工技術などを生かし、新しい需要を上手く取り込もうと動き始めている。新規設備に投資したり、独自の商品や技術を開発したり、その取り組みは様々だ。政府も補助金などの支援制度を設け、金型メーカーの新分野の開拓を後押ししている。金型メーカーの新分野はどこにあるのか。“ニューフロンティア”を目指す各社の挑戦に迫る。
武林製作所 マスクのほね
使い易さや品質追求
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両方のフックをマスクの左右にかける。するとマスクはフレームに支えられ膨らみができる。口の周りに空間ができ、息がしやすく化粧も落ちにくい。白く、カーブを描くその形から名付けたのは「マスクのほね」。自社商品として2020年12月に発売しました。
当社は歯ブラシのプラスチック金型メーカー。新たな自社商品の開発に乗り出したのは新型コロナによる逆風がきっかけです。インバウンドが減り宿泊施設向けなどの歯ブラシの金型の需要が減りました。一方、ホテルや料亭から興味を持って頂いていたカトラリーレストなど自社商品の販売機会も失いました。
そこで20年4月、新たな商品をつくろうと全社員にアイデアを考えて貰いました。私も含めて金型づくりには精通しても消費者向けの商品開発には慣れていない。アイデア出しは何回にも及び、120のアイデアが出ました。その中の一つがマスクフレームでした。
アール状のプラスチックフレーム。デザインはシンプルですが開発には力を入れました。当社は高品質の製品を何百万ショットも打てる金型づくりを追求しています。それと同じようにフックが外れにくく、肌を傷つけないなど、長い間、安心して使えるマスクフレームを目指しました。
医療や食品、製造業向けを想定しテスト販売で消費者の声は聞いていましたがどれほど売れるか分からない。しかしBESEショップで発売するとテレビやネットで取り上げられた。すると医療や食品だけでなく一般の消費者からも沢山の注文を頂きました。その後小さなマスク用や子供のマスク用も発売しました。
多くの注文を頂ける商品となったのはカトラリーレストなど自社ブランド商品の開発やマーケティングの経験が活かされていると感じています。アイデアをカタチにし、品質を追求し、市場調査し、販売促進をする。マスクのほねはその経験のある6人が中心となり進めました。
取引先の要望に応える高品質の金型を手掛ける一方で、自らのアイデアで一般の消費者に喜んで貰える商品を作りたいとかねてから思いがありました。金型と自社商品。これからはその両面に取り組んでいきたい。
会社概要
- 本社:大阪府八尾市萱振町7-5-2
- 電話:072-998-1207
- 代表者:武林美孝社長
- 従業員数:18人
- 事業内容:歯ブラシのプラスチック金型の設計製作、カトラリーレストやマスクフレームなど自社製品の製造販売
金型新聞 2022年3月10日
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