金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

11

新聞購読のお申込み

「常識にとらわれない挑戦が競争力の源泉」エフアンドエム代表取締役・市井宏行氏

事業を継続するために
常識にとらわれず挑戦する
それが競争力の原動力に

変わり者とか常識外れとよく言われます。世の中であまり知られてない頃に5軸加工機を購入したり、たびたびCAD/CAMや工作機械の機種を変えたり。どうも周りの人には理解しにくいようです。けれどそれは全て事業を継続するためにロジカルに導き出した答えです。

5軸機は今から17年前、初めて導入しました。当時、日本ではそのメリットがあまり知られていなかった。それなのに導入したのは他社に先駆けて使いこなすことができれば将来、大きなアドバンテージとなり得ると判断したからです。

初年度は稼働率を度外視し応用技術の研究に専念しました。応用の道が見えてくると少しずつ金型の加工に展開しました。その後は加工品質や生産効率を高めることに貢献したり、5軸でしか実現できない構造を金型に採用することで耐久性が改善しお客様に喜ばれたり。結果的に大活躍しています。

CAD/CAMや工作機械の機種もよく変えます。追加や入れ替えで既存と同じものを選ぶのが一般的ですが、それだと技術の進歩が無い。一方その時代の最新のものを導入すれば最新の技術を得ることができる。そのたびに現場は苦労するのですが、それが刺激となり技能につながります。

前例が少ない失敗するかもしれないことをなぜするのか。それは「事業の継続」を最優先して考えた最善策だからです。当社は社員数15人の自動車部品のアルミ押出金型メーカー。大企業のように大規模投資によって効率化したり技術開発したりすることはできません。

小さな会社が勝ち残るには、独自の強みを持ち、その分野でほかの会社を大きくリードする。価格ではなく技術力で競争する。競争相手の少ない得意なゾーンで勝負し、けっしてボリュームゾーンに入らない。そのために、ときには常識外れに挑むことも必要です。

常識にあまりとらわれないのは私の生まれながらの性格に加えて当社の特異な生い立ちや父の考え方に影響を受けていると感じています。当社は1991年、アルミ製品メーカーの金型技術者だった父(市井収氏)が自動車メーカーから金型開発の依頼を受けて創業しました。

しかし創業メンバー4人のうち私を含む3人は金型づくりの経験が無かった。そこで始めたのが擦り合わせの要らない金型づくりでした。CAD/CAMやNC工作機械を駆使して金型を加工し、できる限り職人技の領域を減らしました。当時は擦り合わせするのが当たり前ですから珍しがられました。

それに、かねてから父は人の技能の依存度が高い金型づくりに疑問を抱いていました。金型の本来の価値は職人の技によって精緻に作り上げることではなく、品質の良い製品を安定して量産すること。それを実現できれば作り方はどんな方法でも良い、と。

父はよく「やってみないとわからないことは、やってみないとわからない」と言いました。常識外れのことをする時はもちろん、リスクの可能性を突き詰めて考えます。ですが必要以上に臆病にならず、チャレンジを続けていきたいと思っています。

いま密かに心待ちにしているのが、家にいながらにして工場にいる感覚で工作機械を操作し、振動や臭いを感じ、トラブルなどにも対応できる仕組み。これが実現したら働き方をもっと柔軟に変えることができる。もし実現したら、誰よりも早く導入して使いこなしたいですね。

金型新聞 2022年4月10日

関連記事

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –アジア–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

米山金型製作所が「微細成形ラボ」を設立するワケ

微細成形ラボを設立 量産化までの支援サービスを提供 自動車や医療などの精密プラスチック射出成形用金型を手掛ける米山金型製作所は今年9月、微細成形技術が提供可能な「微細成形ラボ」を設立する。既存設備よりも大型の射出成形機を…

冨士ダイス、生産性向上へ自動化を推進 輪竹生産本部長「2030年までに30~40%省人化」

超硬合金の素材や金型などを手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、春田善和社長)が自動化・省人化に注力している。同社は2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(中計)で「生産性向上・業務効率化」を掲げ、今期だけで…

【この人に聞く】ハスキー統括部長・千葉紀久氏「ホットランナの市場拡大を」

ホットランナの市場拡大を  今年、日本法人設立30周年を迎えたハスキー(東京都町田市、042-788-1190)。プリフォーム射出成形システムの世界最大手でありながら、ホットランナメーカーとしての側面も持つ。日本では20…

【新社長に聞く】シー・アイ・エム総合研究所  富田 英史社長「現場と経営つなぐ司令塔に 」

とみた・ひでし1999年慶応義塾大卒。システム会社での開発経験を始め、日本ヒューレットパッカードや日本オラクルでコンサルティング部門の部門長を歴任。直近では政府系ファンド出資のランドデータバンクの立ち上げに専務執行役員と…

トピックス

関連サイト