金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

01

新聞購読のお申込み

金型メーカーに「働き方改革」は実現できるのか

課題多き働き方改革

働き方改革関連法案の施行から4年。金型業界でも労働時間短縮や生産性の向上など、働き方改革は進んでいるのか。現状を調べるため、本紙ではアンケートを実施した。調査からは、改革には前向きに取り組んでいるものの、8割以上の回答者が何らかの課題を抱えていることが明らかになった。繁閑の差が激しすぎることや、ユーザーの意向に左右されたり、見積もりの手間が増えたりするなど、構造的な問題から、働き方改革を進める難しさが浮き彫りになった。

受注産業ならではの壁も

アンケートは3月下旬にネットを使い、約400社に送付し、41社から回答を得た。まず聞いたのは、働き方改革に取り組んでいるか否か。1社を除き全社が取り組んでいると回答。取り組みを進める意思は強い。

続いて聞いたのが取り組み内容(グラフ参照)。自動化や設備投資による生産性向上が最も多く、有給休暇や残業の制限などと続く。製造現場が必要なため、在宅勤務などへの対応は少なかった。

問題はこれらの取り組みが上手く進んでいるのかどうかだ。「部署ごとにグラフ化し有給休暇を推奨している」や「ワークシェアで残業削減につなげている」などうまく進んで回答も見られた。

しかし「うまく進んでいない」、「改善できない項目もある」との回答が85%を超えた。「改革は必要だが、コストや人材面でハードルが高い」というように、進めたいがうまくいかないというのが本音のようだ。

繁閑の差と構造的問題への対応必要

うまく行かない理由について聞いたところ、最も多かったのが「繁閑の差の激しさ」だ。「受注の波が大きい上、タイトな納期で受注し、仕事が集中するため、一時的に残業が集中してしまう」との意見が大半だった。

こうした問題に対し、前述のように、自動化投資や多能工化で対策は進めている。しかし「投資効果が低い」、「(業務効率化のための)デジタルに長けた人材不足」といった答えや「働き方改革で一般社員の休日が増える一方、穴埋めで管理職の残業で対応せざるを得ない」という意見も。

もう一つ多かった回答が、顧客都合に依存せざるを得ない構造的な問題だ。「発注側の出図遅れも多く、無理せざるを得ない」や「デジタル化が遅れているユーザーのしわ寄せがきている」などの意見も多かった。精度が必要な見積の数の多さや、そこに係る手間などから「見積の有料化が必要」とする声もあった。構造的な問題に対して「金型業界だけでなくサプライチェーン全体で取り組まないと変わらない」とする主張が大半だった。

では、こうした状況下で、改革を進めるにはどうすべきか。2面以降では、課題を抱えながらも、改革を進める企業を紹介する。

金型新聞 2022年4月10日

関連記事

日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入 AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用…

【特集:技能レス5大テーマ】4.磨きレス

新被膜やPCDでサブミクロン 仕上げや組付けなど金型の品質を決める領域には人の手は欠かせない。磨き工程もその一つ。しかし、磨きには時間や人手がかかることから、できるだけ機械加工で追い込み、磨きを減らしたいという声は多い。…

【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】4.AM

造形ワークの大型化 近年盛り上がりを見せるAM(アディティブマニュファクチュアリング)。ここ数年のJIMTOFやインターモールドでもAMに特化した特設展が併催されるなど、国内外での注目度が高まっており、高精度な積層造形を…

進化する超硬加工ー特集ー

進化する超硬加工ー特集ー

切削は高速、研削は高効率  超硬合金を金型材料として使う動きが広がりつつある。これまでは長寿命化などのメリットはあるが、加工しづらいことがボトルネックとなり、一部の金型でしか利用されていなかった。しかし近年、切削加工がで…

メンテナンスに革命を 清水一蔵氏(福井精機工業社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…

トピックス

関連サイト