金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

29

新聞購読のお申込み

金型でも金属AM技術の活用が広がる理由

コスト低減、用途開発進む

国際規格の策定も進む

金型分野でも金属粉末を使った付加製造(AM)技術の活用が広がりつつある。背景には、装置を始めとしたAM技術の進化やユーザーの改善などによって、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが挙げられる。また、製造コストに見合った用途開発が進み、費用対効果の高い活用方法を見出す企業が増えていることも一つだ。今後のさらなる適用範囲拡大が期待される。

支援企業、団体も増加

金属AMの市場規模は拡大傾向にある。昨年、日本能率協会総合研究所が発表した資料によると、世界の金属3Dプリンタ市場の規模は2019年の1300億円から25年には約2倍の2500億円まで拡大するとみられている。航空機や医療、自動車分野などで導入が進んでおり、金型分野での活用も広がっている。

電子部品などを手掛ける南信精機製作所(長野県飯島町)は樹脂製自動車部品の金型に金属AMを適用する。豊田自動織機(愛知県刈谷市)では金属AM装置を導入し、カーエアコン用コンプレッサのダイカスト金型部品を製造している。

こうした企業が増えているのは、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが大きい。あるドイツの調査会社によると、1㎤の製造コストは、13年は3・14ユーロ(約420円)だったが、18年には1・6ユーロ(約210円)に半減し、23年には1・1ユーロ(約150円)まで低下するという。

ある金属AM装置メーカーは「装置の性能が向上し、生産性が向上していることに加え、普及に伴い、材料価格も低下する可能性がある」と話す。またあるソフトウェアメーカーは「シミュレーション精度が向上し、失敗や手戻りが減っていることもコスト低下の要因になっている」と指摘。

ユーザーでもコスト低減に向けた取り組みが進む。豊田自動織機ではAM造形部を減らしたり、機械稼働率を向上させたり、設計工数を削減したりすることで、製造コストを低減している。

一方で、単なる従来工法からの置き換えではコストメリットは得にくい。そこで重要となるのが、適した用途の見極めだ。金型分野では冷却効率を改善するためにAM技術を活用する事例が目立つ。南信精機製作所は「複雑形状で冷却に課題のある製品を中心に適用範囲を広げていきたい」とする。

最近では用途開発を支援する企業や団体なども増えている。また、国際規格の策定なども進んでおり、金属AMを活用しやすい環境が整いつつある。今後、金型分野でもさらに活用する企業が増えそうだ。

金型新聞 2022年5月10日

関連記事

金型経営者アンケート 次の10年を勝ち残るために取り組むこととは?【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

自動車の電動化などによる金型需要の変化、少子高齢化による人手不足、アディティブ・マニファクチャリング(AM=付加製造)を始めとした新たな製造技術や技術革新―。金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型…

JIMTOF総集編 PART2:DX、デジタルツイン
加工プログラムや解析、自動で

JIMTOF2022で次世代の技術としてひときわ注目を集めたのがデジタル技術だ。IoTやAI、クラウドなどを活用し機械の稼働状況監視や加工の不具合低減に生かす。金型づくりでもデジタルトランスフォーメーション(DX)が課題…

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

センシング機能のダイセットで不良品発生を防ぐ ニチダイ【特集:利益を生むDX】

DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 金型の長寿命化、自動化へ  冷間鍛造金型を手掛けるニ…

特集〜世界需要をどう取り込む
どう取り込む 変わる金型の世界地図

 国際金型協会(ISTMA)の統計によると、2008年以降の10年近くで金型生産額は約3割増加した。新興国の経済発展に伴う消費財の需要増や、自動車の生産台数の増加などを背景に金型需要が拡大したからだ。ただ、かつて日本が金…

トピックス

関連サイト