デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世…
金型でも金属AM技術の活用が広がる理由
コスト低減、用途開発進む

金型分野でも金属粉末を使った付加製造(AM)技術の活用が広がりつつある。背景には、装置を始めとしたAM技術の進化やユーザーの改善などによって、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが挙げられる。また、製造コストに見合った用途開発が進み、費用対効果の高い活用方法を見出す企業が増えていることも一つだ。今後のさらなる適用範囲拡大が期待される。
支援企業、団体も増加
金属AMの市場規模は拡大傾向にある。昨年、日本能率協会総合研究所が発表した資料によると、世界の金属3Dプリンタ市場の規模は2019年の1300億円から25年には約2倍の2500億円まで拡大するとみられている。航空機や医療、自動車分野などで導入が進んでおり、金型分野での活用も広がっている。
電子部品などを手掛ける南信精機製作所(長野県飯島町)は樹脂製自動車部品の金型に金属AMを適用する。豊田自動織機(愛知県刈谷市)では金属AM装置を導入し、カーエアコン用コンプレッサのダイカスト金型部品を製造している。
こうした企業が増えているのは、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが大きい。あるドイツの調査会社によると、1㎤の製造コストは、13年は3・14ユーロ(約420円)だったが、18年には1・6ユーロ(約210円)に半減し、23年には1・1ユーロ(約150円)まで低下するという。
ある金属AM装置メーカーは「装置の性能が向上し、生産性が向上していることに加え、普及に伴い、材料価格も低下する可能性がある」と話す。またあるソフトウェアメーカーは「シミュレーション精度が向上し、失敗や手戻りが減っていることもコスト低下の要因になっている」と指摘。
ユーザーでもコスト低減に向けた取り組みが進む。豊田自動織機ではAM造形部を減らしたり、機械稼働率を向上させたり、設計工数を削減したりすることで、製造コストを低減している。
一方で、単なる従来工法からの置き換えではコストメリットは得にくい。そこで重要となるのが、適した用途の見極めだ。金型分野では冷却効率を改善するためにAM技術を活用する事例が目立つ。南信精機製作所は「複雑形状で冷却に課題のある製品を中心に適用範囲を広げていきたい」とする。
最近では用途開発を支援する企業や団体なども増えている。また、国際規格の策定なども進んでおり、金属AMを活用しやすい環境が整いつつある。今後、金型分野でもさらに活用する企業が増えそうだ。
金型新聞 2022年5月10日
関連記事
AIで自動作成 金型の加工プログラム作成は、熟練技能者の経験や知識に依存するケースが多い。金型づくりにおける長年の経験に基づくノウハウが必要とされる。しかしそれをAI(人工知能)で効率化し、経験の浅い技術者が経験者並みの…
活路を創造、混沌に挑む 日本の金型業界にも少しずつ明るさが戻ってきた。とはいえ、受注水準はいまだリーマンショック前の8割程度だ。そんななか、日本金型工業会は「新金型産業ビジョン」を策定した。そこでは、金型業界の向かうべ…
自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 電極の測定プログラム自動作成 精密プラスチック金型を…
