金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

18

新聞購読のお申込み

金型でも金属AM技術の活用が広がる理由

コスト低減、用途開発進む

国際規格の策定も進む

金型分野でも金属粉末を使った付加製造(AM)技術の活用が広がりつつある。背景には、装置を始めとしたAM技術の進化やユーザーの改善などによって、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが挙げられる。また、製造コストに見合った用途開発が進み、費用対効果の高い活用方法を見出す企業が増えていることも一つだ。今後のさらなる適用範囲拡大が期待される。

支援企業、団体も増加

金属AMの市場規模は拡大傾向にある。昨年、日本能率協会総合研究所が発表した資料によると、世界の金属3Dプリンタ市場の規模は2019年の1300億円から25年には約2倍の2500億円まで拡大するとみられている。航空機や医療、自動車分野などで導入が進んでおり、金型分野での活用も広がっている。

電子部品などを手掛ける南信精機製作所(長野県飯島町)は樹脂製自動車部品の金型に金属AMを適用する。豊田自動織機(愛知県刈谷市)では金属AM装置を導入し、カーエアコン用コンプレッサのダイカスト金型部品を製造している。

こうした企業が増えているのは、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが大きい。あるドイツの調査会社によると、1㎤の製造コストは、13年は3・14ユーロ(約420円)だったが、18年には1・6ユーロ(約210円)に半減し、23年には1・1ユーロ(約150円)まで低下するという。

ある金属AM装置メーカーは「装置の性能が向上し、生産性が向上していることに加え、普及に伴い、材料価格も低下する可能性がある」と話す。またあるソフトウェアメーカーは「シミュレーション精度が向上し、失敗や手戻りが減っていることもコスト低下の要因になっている」と指摘。

ユーザーでもコスト低減に向けた取り組みが進む。豊田自動織機ではAM造形部を減らしたり、機械稼働率を向上させたり、設計工数を削減したりすることで、製造コストを低減している。

一方で、単なる従来工法からの置き換えではコストメリットは得にくい。そこで重要となるのが、適した用途の見極めだ。金型分野では冷却効率を改善するためにAM技術を活用する事例が目立つ。南信精機製作所は「複雑形状で冷却に課題のある製品を中心に適用範囲を広げていきたい」とする。

最近では用途開発を支援する企業や団体なども増えている。また、国際規格の策定なども進んでおり、金属AMを活用しやすい環境が整いつつある。今後、金型分野でもさらに活用する企業が増えそうだ。

金型新聞 2022年5月10日

関連記事

小出製作所 機上計測を独自開発【特集:大型化する金型への対応技術】

ギガキャストへの対応を進めているダイカスト金型メーカーの小出製作所。ギガだけに限らず、近年は左右対称の部品を一つの金型で成形する「セット取り」なども大型化を加速させているという。しかも「大型化しても精度は高く、生産性も高…

2年に1度の専門展「2022日本ダイカスト展示会」開幕 見どころをピックアップ

ダイカスト関連技術が一堂に会する「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec2022)」が11月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される。主催は日本ダイカスト協会。展示会にはダイカストマ…

金型メーカーが考える次世代の匠とは?

金型メーカーアンケート  次世代の匠に必要な技は? 熟練の金型職人が持つ「匠の技」を機械に行わせたり数値化したりする取り組みは広がり続けている。新技術が登場する中、「匠」に求められる能力に変化はあるのか。それを…

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

【検証】変わる金型基金 新たな船出3<br>年金有期化で安定運用

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのよ…

トピックス

関連サイト