金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

20

新聞購読のお申込み

データ・デザイン メタデータ活用によるデータ管理の効率化

金型は大量生産の治具から個別少量生産へとシフトしたことで、高品質な「個の量産」技術が求められている。そこで必要になるのが膨大に増えるデータの適切な管理や共有。本稿では新たなデータ連動テクノロジー「メタデータ」を活用し、製造に関する諸データを紐付け連動させることで、ビッグデータ活用や、IoT連携、産業クラスターも視野に入れた情報共有の仕組みづくりを紹介する。

「フォルダ管理」の限界

Windowsエクスプローラに統合されたメタデータ・プラットフォーム

金型製造業の上流から下流までデジタルツールが使われ始め、個人や部門で生成されるデジタルデータは急激に増えている。こうした状況で、保存先を物理的な絶対位置で指定する「フォルダ管理」には限界がきている。特に、ナレッジ共有や個人や部門間のコミュニケーション、技能伝承などにおいて、データ管理や共有の不備で解決できていない課題が多い。

さらに、金型製造には個人ノウハウが集約されているが、近年はそのノウハウを数値化するためにビッグデータやIoTデータを集め、AIに活用しようと考えている企業も増えている。ここでも重要となるのがデータの管理や共有だ。

新たなデータ活用法「メタデータ管理」

このような課題を解決するための新たなデータ活用手法として、「メタデータ管理」が欧米で注目されている。メタデータは物理的な保存場所ではなく、デジタルデータの実態を示す属性情報を付加したもので、柔軟にデータ間の関連性を構成し直すことができる。

「データのためのデータ」とも表現されている、メタデータを活用することで、「フォルダ管理」では一方通行であったデータの共有や検索の煩雑さを排除できる。これにより、任意の条件で必要なデータを360度からリアルタイムに抽出することが可能になる。

「メタデータ」を採用した「MetaConnect」

「MetaConnect」は、メタデータを上位システムや社内のデータベースと同期し、取引先、受注、製品、部品、工程などの情報を属性データとして、簡単にタグ付けできるメタデータ活用のプラットフォームである。

デジタルデータの生成状況を元にした進捗管理のイメージ

例えば、取引先の種類や客先指定納期、受注品の難易度、製品・部品の特徴や関連設備など、ユーザーが分類したい項目群を一つにまとめたものをメタデータ・セットと呼び、ワン・クリックでそれぞれのファイルに関連づけることができる。メタデータが付与されたファイルは、1対1ではなく1対多の関連性を保持することになり、指定したメタデータによってファイル同士の連動が実現する。

抽出条件の違う個々の仮想フォルダにアクセスすると、特定のメタデータが付与されているデータが自動抽出される。ダイナミックに変化する進捗、承認状況などをメタデータとして与えることで、生成されたデジタルデータをベースとした進捗管理を行うことも可能になる。

また、ユーザーサイドで自由に追加や機能拡張ができるため、ベンダーが用意した「箱」に準ずる必要はない。ユーザーサイドで特別なプログラミングなしで、直感的に独自の仕組みを構築することができる。業務プロセスを理解している現場担当者であれば、誰でも自社に最適なデータ活用システムを構築することが可能になる。

今後の展開

新たなデータ活用手法である「メタデータ管理」によって、「フォルダ管理」では解決できなかったデジタルデータの整理だけでなくプロセスの連動、ナレッジの共有を加速させることが可能になる。

設計情報と製造情報を紐づけたり、仕掛品の状態をリアルタイムに把握したりすることができる。また、生産設備に関連した人的リソースを可視化できるようになるなど、これまで分断していた情報ギャップを埋めてプロセスを動的につなげることができる。

弊社からは、「MetaConnect」を活用した、仕組み構築に必要なソフトウェアナレッジやトレーニングサービスを提供する。さらに、メタデータ・セットのテンプレートや、プラットフォームのフレームをユーザーサイドで定期的な見直しや機能改善ができる環境をサポートする。

新たなデータ管理手法であるメタデータを活用することで、データの検索や管理に要する時間を削減し、新たな気づきやアイデアの創出につなげて頂きたい。

データ・デザイン

  • セールスユニット企画グループ 今田 智秀氏
  • 愛知県名古屋市中区錦3-4-6
  • TEL:052-953-1588

金型新聞 2022年5月10日

関連記事

三菱電機 本体変えずに性能アップ可能 ファイバーレーザー加工機を発売

三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)はこのほど、ファイバーレーザー加工機の上位機種「GX‐Fシリーズ」の性能をアップデートできるソリューションを提供していくと発表した。ユーザーは導入済みの機械本体に新技術…

シー・アイ・エム総合研究所 金型の情報をクラウド上で一元管理できるシステムを開発

企業間の情報共有を容易に Dr.型管Cloud シー・アイ・エム総合研究所(東京都目黒区、03-5745-1181)は11月、金型に関する様々な情報をクラウド上で一元管理できる「Dr.型管Cloud」をプレリリースする。…

【Breakthrough!】高硬度材加工工具

金型材の高硬度化で需要が高まっている「高硬度材向け切削工具」。メーカー各社は、独自の被膜を開発したり、刃形状を改良したり、より硬度の高い材料を精度良く、効率良く加工するための開発を続けている。進化を遂げる注目の高硬度材向…

アルム NCプログラム作成完全自動化へ

金型製作における時間とコストのボトルネックの一つがNCプログラム作成。今なおノウハウを持つ技能者が手間をかけて作成することが殆どだ。だがアルムが開発したソフトウェア「ARUMCODE1(アルムコードワン)」は人工知能(A…

刃先交換式工具を拡充
MOLDINO

荒、仕上げ用など3製品  MOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、刃先交換式工具シリーズから高送りラジアスミルなど3製品を発売した。製品ラインアップを拡充し、金型加工の多様なニーズに対応する。…

トピックス

関連サイト