特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法 次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…
ボディ部品向け金型開拓へ 進恵技研が新工場設立で挑むこと[金型の底力]
自動車部品向けプレス金型メーカーの進恵技研は今年4月、本社工場に隣接する西工場に新棟を設立し、第7工場として稼働を開始した。門形マシニングセンタ(MC)5台や、40tクレーンなどを設備し、より大物加工に対応できる体制を構築。従来から手掛けるフレーム部品向け金型に加え、ボディ部品向け金型の開拓を目指す。製造の効率化なども進め、労働環境の改善にも挑む。
ボディ部品向け金型開拓へ
第7工場は補助金を活用し、約7億円(設備含む)をかけて設立。これによって、西工場の敷地面積は6827㎡、建物面積は3738㎡に拡大した。テーブルサイズ5m×3mと5m×2・5mの門形MC2台を新規導入した他、本社工場から4m×2m、4m×2・6m、4m×1・5mの門形MC3台を移設。また、40tクレーンや空調設備も導入した。
こうした設備体制を整えるのは、ボディ部品向け金型を開拓するためだ。同社はこれまで、フロントピラーやセンターピラー、レールルーフなどといった自動車の骨格となるフレーム部品のプレス金型を手掛けてきた。特に自動車の軽量化で需要が高まる高張力鋼板(ハイテン材)の金型技術に強みを持ち、成長を続けてきた。
一方で、「今後成長するには、幅広い金型づくりに対応できるようにする必要がある」(佐藤倫幸社長)。電動化や部品の共通化・一体化などによって自動車づくりが大きく変化する中、同社ではこの数年、ドアやフェンダー、ルーフ、ボンネットといったボディ部品向け金型の開拓に取り組んでいる。
2017年には西工場を約11億円かけて設立。加圧能力2000tのメカニカルプレスや同1000tの油圧トライアウトプレスなどを導入し、ボディ部品向け金型が製造できる体制を整えた。
今回第7工場を設立したことで、加工能力が向上。「本格的にボディ部品向け金型の開拓に取り組めるようになった。自動車のサイドパネル用金型が製造できる設備を揃えている」(佐藤社長)。今後は本社工場でフレーム部品向け金型、西工場でボディ部品向け金型を手掛けていく計画だ。また、将来的にはアルミニウムのプレス金型への挑戦も検討しているという。
こうした対応できる金型の領域拡大とともに、同社では働きやすい環境づくりにも注力する。目下、加工現場では休日出勤や残業を減らすために、夜間や休日も機械を稼働させることができる仕組みづくりに取り組んでいる。日中は自動加工の短い工程、夜間や休日は自動加工の長い工程を組み込むように工程設計を工夫するなど、より効率良く生産できる体制を目指している。
また、今年からは従業員の健康づくりのために「健康経営優良法人」の取得を目指し、健康診断の受診率100%や「ノー残業デー」の実施などに取り組んでいる。「今後、労働環境を整えなければ、良い人材の定着、確保が難しくなる」(佐藤社長)と、SDGs(持続可能な開発目標)を始めとした取り組みをより強化していく考えだ。
金型産業を取り巻く環境が大きく変化する中、金型メーカーには先を見据えた対応がこれまで以上に求められている。同社は今後も設備投資や技術開発、労働環境の整備などに積極的に取り組み、金型メーカーとしてさらなる成長を目指していく。
会社の自己評価シート
未来に投資する力や変化に対応する力に満点を付けた。また、人材力や設備力、PR・発信力、チャレンジ精神も 9点と高スコア。次いで技術力やチーム力が続いた。一方で、営業力や収益力を課題とした。
会社概要
- 本社:栃木県足利市藤本町262
- 電話:0284-73-2135
- 代表者:佐藤倫幸社長
- 創業:1983年
- 従業員:115人
- 事業内容:各種プレス金型設計・製作(トランスファー・プログレ・タンデム)
金型新聞 2022年7月1日
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