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デジタル技術を活用し工法の最適化、人材育成、新製品開発に挑む熱間鍛造金型メーカー【金型の底力】

伊藤製作所(愛知県弥富市)は熱間鍛造金型やダイセットを主力とし、クランクシャフトなどの自動車向けや建機・重機、免振装置、航空機といった幅広い市場で活躍する。特に大型の金型やダイセットが得意で、ダイセットは500~6300tプレスまで対応。近年は生産管理システムの導入、3Dスキャナーによるリバースエンジニアリング、自社製品である「反転機」の開発などデジタル技術を活用した現場改善や人材育成を図り、新たな未来づくりへ踏み出した。

伊藤 康敏社長
大型加工機など設備も充実

金型業界は競争力強化のため、自動化・省人化を図ることが大きな課題となっている。同社はデジタル技術を活用しながら、加工方法や工程管理の最適化を目指している。具体的には刃物の研究や加工方法(CAM)を見直し、加工の成功率向上(やり直しの削減)を図る。「成功例と失敗例を集め、知見とノウハウの小さな積み重ねが重要」と話すのは伊藤康敏社長。1発で加工できるよう地道な研究を続けている。

さらに、2009年に生産管理システムを導入。工程の進捗状況を見える化することで、休日や夜間に無人加工できる環境を整えた。「夜間稼働などを行うには進捗状況を正確に把握する必要がある」と伊藤社長。今後はIoT技術も取り入れ、リアルな加工時間(予測値と実際値との比較)を把握し改善に努めたいという。

熱間鍛造金型やダイセットが主力
自社製品の反転機を開発

こうしたデジタル化への取り組みは人材育成や評価制度の刷新にもつながっている。個々の評価に対して主観ではなく、データで力量を評価することで(面談含む)、強みや弱みを把握してもらい、成長を促す仕組み作りだ。例えば、機械加工をチーム制とし、同じような部品を加工した場合、加工時間に差があるのか、その要因はどこにあるかなど比較・分析も可能だ。「金型メーカーの評価制度は主観な部分も多い。数値化することで正当な評価につながり、社員のモチベーション向上を図りたい」と伊藤社長。16年以降は現場社員も含め、他社への工場見学に積極的に参加し、研鑽の場を増やしている。

同社は昨年、企業ビジョンを策定。技術と心を磨きながら、製品を通じて希望に満ちた未来の実現を目指す。そのために、新たな挑戦を始めた。まずはリバースエンジニアリング技術を活用し、弥富市のブランドである金魚の模型やキーホルダーを製作。ふるさと返礼品にも登録され、地域の活性化を後押し。さらに、大物(最大20tまで)に特化した自社製品の「反転機」を開発し、ユーザーの自動化・省人化に貢献。「国内は労働人口減少で自動化や省人化のニーズは強まっている。大物向け反転機は少なく、鍛造やプレスなど金型にこだわらず、幅広い市場で活用してもらいたい」と自信を見せる。直近は顧客からの相談も増え、「顧客の課題を解決することで社員と喜びを分かち合いたい」。今年6月にはSDGs推進を宣言。補助金を活用して新たな設備を導入し、材料の再利用などエコな「ダイセット」を開発している。材料のムダを削減できれば、コストダウンや社会貢献につながる。同社の新たな未来づくりは始まったばかりだ。

会社の自己評価シート

デジタルを活用しながら現場の効率化や人材の育成に取り組んでおり、「技術力」、「人材力」、「チーム力」に高評価。一方、「営業力」や「PR・発信力」など課題もあり、新たな自社製品の開発や設備投資で「未来に投資する力」を高めている。

会社概要

  • 本社:愛知県弥富市松名5-202-3
  • 電話:0567-68-8875
  • 代表者:伊藤康敏社長
  • 創業:1948年
  • 従業員:28人
  • 事業内容:熱間鍛造ダイセット・鍛造金型の設計製作

金型新聞 2022年10月10日

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