金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

2年に1度の専門展「2022日本ダイカスト展示会」開幕 見どころをピックアップ

ダイカスト関連技術が一堂に会する「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec2022)」が11月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される。主催は日本ダイカスト協会。展示会にはダイカストマシンや周辺機器、金型関連メーカーなど154社・団体が出展。会議では27件の研究論文、7件の現場改善事例が発表される。最新鋭の機械や機器、最先端の技術や事例などが発表され、ダイカストに関連する最新情報が集結する。同展の見どころをピックアップする。

脱炭素、EV対応に注目

アルミダイカスト製フロントサブフレーム(リョービ)
ダイカストマシン(芝浦機械)

「日本ダイカスト会議・展示会」は2年に一度開催され、今年で22回目を迎える。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で展示会の開催は中止。18年に開かれた前回展は、ダイカストメーカーや自動車メーカーなど2万人以上が来場した。

ダイカスト製品やダイカストマシンの他、周辺装置や金型、表面処理、炉、検査・測定、ソフトウエアなどダイカストに関連するあらゆる技術、製品が展示され、技術発表などが行われる。特に見どころの一つになりそうなのが、近年あらゆる産業で大きなテーマとなっているカーボンニュートラル。ダイカスト業界も例外ではなく、カーボンニュートラルに対応した製品や環境負荷を低減する技術などに注目が集まっており、多くの出展企業がカーボンニュートラルや環境負荷低減、省エネなどをテーマに掲げた展示の披露や技術論文が発表される。

環境負荷低減する技術

前回展のダイカスト協会ブース

ダイカストマシンや溶解炉メーカーでは、環境負荷低減の性能を持つ機械や装置だけでなく、IoT技術を活用した可視化システムも展示する。機械の稼働状態や生産状況を見える化したり、CO2排出量を数値化したりすることで、効率的な運用や省エネ化、不良率の低減などを提案。また、部品の一体化を実現する生産技術や、CO2排出量の少ない溶解技術なども紹介される。

HV・EV部品(美濃工業)

日本ダイカスト協会のブースでも環境対応を意識した展示が並ぶ。アルミニウム合金のリサイクル性を紹介するパネルや、ダイカスト製品の薄肉化の変遷を辿る展示の他、米テスラ社のEV車体の一部やEVのフォーミュラーカーなども展示する。同協会は「サスティナブルを中心に、リサイクル、省エネ・環境、カーボンニュートラルをテーマとし、業界内外にアピールしていきたい」と意気込む。

もう一つ大きなテーマとなりそうなのが、ここ数年で急加速する自動車の電動化に対応した技術や製品。バッテリーケースやモータケース、eアクスルケースなどの電動化部品や、車体の軽量化ニーズに応えるボディやシャシー関連部品、薄肉化を実現する鋳造技術などが数多くみられそうだ。

金型メーカーも多数出展

また、金型メーカーを始めとした金型関連の展示も目立つ。日本金型工業会中部支部ダイカスト部会は8社共同で出展し、金型技術や、補修技術などを紹介する。また、金型メーカーの日本精機は、金属3Dプリンタで造形し、冷却効率を向上させた金型部品を展示。同じく金型メーカーの吉田金型工業は金型技術に加え、自社製品の電動作業台などを展示する。

その他、現場環境を改善する段取り改善装置やダイカスト品質を向上させる表面処理技術、検査測定装置、生産性を向上させる潤滑・離型剤など、さまざまな周辺製品・技術が出品される。また、3D技術を活用した解析やリバースエンジニアリングなどのサービスや提案にも注目したい。

また、展示会や論文、事例発表の他、特別講演も行われる。愛知工業大学工学部客員教授の藤村俊夫氏が「自動車用燃料・エネルギーの脱化石化と電動車展開シナリオの提示」をテーマに講演。トヨタ自動車モノづくり開発センター素形材技術部ダイキャスト技術室長の須田智和氏が「自動車の動向とダイカストへのニーズ」をテーマに講演する。

展示会や特別講演は無料。研究論文や現場改善事例発表の聴講は有料。詳細は公式ウェブサイトから。

開催概要
  • 会  期:2022年11月10日(木)~12日(土)
  • 開場時間:9:00~17:00(初日のみ開会式終了後9:30開場、最終日のみ16:00閉会)
  • 会  場:みなとみらいパシフィコ横浜 展示C・Dホール
  • 主  催:日本ダイカスト協会
  • 出 展 者:154社・団体
  • 入 場 料:無料

金型新聞 2022年11月9日

関連記事

明星金属が残業時間を減らすために徹底した2つのこと

金型の品質高めトライ減らす 明星金属工業が手掛けるのは、ボンネットやドアなど自動車ボディー部品のプレス金型。トライ&エラーを重ねて品質を高めていくため完成までの時間が予測しにくい。受注は新車開発の時期に集中するな…

TCTJapan2021 閉幕、セミナーアーカイブ配信

金属造形機の最新機もウェブで  最新の3Dプリンティングやアディティブマニファクチャリング(AM)関連技術が一堂に介する「TCT Japan2021」(主催JTBコミュニケーションデザイン/Rapid News Publ…

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…

豊田自動織機が金属AMのコスト増を吸収した方法とは

金型や部品の造形で金属AMを活用する際、必ず指摘されるのがコスト。装置の価格はもとより、粉末材料が高価なことに加え、設計や解析などに多くの工数が発生するため、どうしても製造コストは高くなる。一方で、高い冷却効果による生産…

関連サイト