金型加工技術の専門展「インターモールド名古屋」(日本金型工業会主催)が6月21~23日の3日間、ポートメッセ名古屋(名古屋市港区)で開催された。工作機械や切削工具、金型メーカーなど338社・団体が492小間に出展した。金…
金型なしでパネル成形
日産自動車

日産自動車はこのほど、金型を使わずにボディパネルなどのプレス部品を成形できる「対向式ダイレス成形」を開発した。2台のロボットと特殊な工具を使い成形していく方法で、少量生産に適しており、アフターサービス部品や補修部品での採用を見込む。3次元データとロボットがあれば成形できるので、型保管の減少にもつながる。
補修に対応、型保管減らせる
ロボットで工具を押し当て鋼板を成形する

対向式ダイレス成形は「インクリメンタル成形」技術を進化させたもので、2台のロボットの間に鋼板を設置し、両側から特殊な工具を押し当て、徐々に成形する。
実用化が難しいとされてきたこの技術を可能にしたのは自社開発した工具と、制御技術や加工パスのプログラムだ。工具(写真)は表面にダイヤモンドコーティングを採用し、摩耗の抑制とドライ加工を可能にした。

両側から2本の工具を最適に制御する技術も確立。加工プログラムも成形時に発生するスプリングバックを自動で補正するなど「プレス成形予測技術やノウハウを盛り込んだ」(冨山隆アライアンスグローバルダイレクター)ことで、高精度で面精度の高い成形を可能にした。現状では加工できる材料はスチールだけだが、アルミやハイテン材のほか、様々な板厚での採用も目指す。

ターゲットとするのはアフターマーケット部品や補修部品向け市場だ。写真のリアパネルは成形に約20時間程度かかり、現状では月産100枚くらいの成形に最も適しているためだ。同社によると、旧車ユーザーからの補修部品の要求は強いが、試作型を起こすにしても、1カ月半で数百万円はかかるっていたという。しかし、同技術はロボットがあれば、治具とデータ作製費だけで済み数十万から百万円以内で成形できる。
金型を使わず、安く早く成形できるので、型保管の減少にも期待されている。10月中旬に、経済産業省が自動車関連の部品の型保管の目安を15年程度と示したが、同技術を使えば型が不要で、補修部品を成形できるので型保管の最適化にもつながる可能性が高い。
将来的には、同技術をさらに進化させ「成形スピードの改善などは必要だが、造形の自由度も飛躍的に向上するので、少量生産での量産ラインでの採用も狙いたい」(坂本秀行副社長)としている。
金型しんぶん 2019年11月10日
関連記事
支える3つのコア技術、大型機導入、 新分野の提案も フレネルレンズをはじめとする特殊なプラスチックレンズの金型製造から成形までを手掛ける日本特殊光学樹脂。同社は分解能10ピコメートル(1000億分の1メートル)の加工機を…
工数半減・停止時間を縮小 スタートアップのカミナシ(東京都千代田区、03・6206・0374)は、設備保全業務を一元管理できるクラウド型DXサービス「カミナシ設備保全」の提案を強化している。同サービスは設備の異常発生や修…
プレス用金型は8.3%減、プラ用金型は8.0%減 2023年4月の金型生産は、前年同月比7.5%減の258億6,700万円、前月比では23.6%の大幅増となった。前月比の大幅減は、3月期末の駆け込み需要の影響とみられる。…
前年同月比12.9%増の313億2,100万円 プレス型は15・3%増、プラ型は18・8%増 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による平成26年12月の金型生産実績をまとめた。それ…


