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【金型の底力】日本精機 金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積
ダイカスト金型メーカーの日本精機は金属3Dプリンタを活用した金型づくりに本格的に乗り出す。7月に金属3Dプリンタ2台を導入した。きっかけはSKD61相当材で造形が可能になり、金型への適用領域の可能性が広がってきたこと。まずはインサート部品から始め、知見や技術を高める。将来は自らが金属3Dプリンタ技術の情報発信源となり、金型づくりを変える考えだ。
製造子会社で貿易や金型のコンサルティングなどを手掛ける、ツーリングイノベーション(愛知県守山区)に、GEアディティブ傘下のコンセプト・レーザー社の金属3Dプリンタ「M2 cusing SL Series4」を2台導入した。金属粉末にレーザーを照射し造形していくレーザービーム方式のプリンタで、ほかにも後加工用に5軸マシニングセンタ(MC)や3軸MC、熱処理炉などと合わせて3億円以上投資した。
これまでも一部の顧客から金属3Dプリンタを使ったインサート部品の製作を依頼されることがあったという。しかし、社内に設備を持たないため、協力先に依頼してきた。「金属3Dプリンタを使ったインサート部品のニーズは増えつつあり、いずれ必要とは感じていた」(松原雅人常務取締役)。
本格参入の契機となったのは、SKD61相当材で造形が可能になったこと。松原常務は「これまでマルエージング鋼が一般的だったが、SKD61相当だとインサート部品だけでなく、金型づくりでの適用領域は広がると感じた」という。
2月中旬にSKD61相当材の話を聞いて、4月には設備の導入を決断。「いずれ金型づくりに金属3Dプリンタが必要になるのは間違いない。その時に、後発になるのは面白くない。他社に先んじてノウハウを蓄積する必要がある」と即決の理由を話す。
今回導入した金属3Dプリンタは、SKD61相当材の造形に特化させる考えで、まずはインサート部品の造形から始める。その理由は「(複数の素材を扱うと)パウダーの入れ替えに手間がかかりすぎるのと、マルエージング鋼からSKD61相当材への置き換えを提案していくため」という。
導入の狙いは部品を作ることそのものではなく、設計領域への提案強化と、業界の構造変化につなげることにある。松原常務は「今の金型づくりで最も重要なのは設計の領域。金属3Dプリンタで作った部品の採用が広がれば、金型全体の設計から見直す必要がある。造形に関する知見と、当社が持つ金型技術と融合できれば、設計領域に提案できる」と話す。さらに「設計だけでなく、加工、熱処理、解析までトータルで手掛ける必要がある」とし、熱処理や5軸MCなども合わせて導入した。
「これまでの金型づくりでは顧客ニーズありきで、金型メーカー発信の技術開発は難しかった。金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積し、自らが発信源となることで、金型のつくり方や業界の慣行など色んなものを変えていきたい」とし、金属3Dプリンタの技術をベースに、業界のゲームチェンジャーを目指す。
会社概要
- 本社 : 愛知県名古屋市守山区中志段味2799
- 電話 : 052・736・0611
- 代表者 : 辻村 正稔社長
- 創業 : 1920年
- 従業員 : 60人
- 事業内容: ダイカスト金型の設計製作及びメンテナンス、金型部品製作、金型コンサルティング、航空機部品製作。
会社の自己評価シート
自社のどんな「力」に強みを感じ、どんな「力」をウィークポイントと感じているのか。10種類の「力」をそれぞれ10点満点で自己評価してもらいました。
金型新聞 2021年8月10日
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